【中山記念】先行力が最重要な舞台 欧州血脈持ちソーヴァリアントが距離延長でリベンジ

坂上明大

中山記念の有力血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

今年で第98回を迎える伝統のGⅡ中山記念。2月の別定戦GⅡという、GⅠへ向かう強豪馬にも、本レースを目標とする中山巧者にも使いやすい舞台であり、地力、適性、状態などさまざまな要素が絡み合う一戦です。本記事では血統面を中心に、中山記念のレース傾向を整理していきます。

最初に紹介したいデータは単勝オッズ別成績。先述の通り、GⅠ馬も数多く出走するGⅡ戦のため、適性と調子だけで好走できる重賞ではありません。過去10年、単勝オッズ20倍以上で好走した馬は3頭しかおらず、手広く抑えるべきではない重賞といえます。単勝オッズにこだわる必要はありませんが、ある程度の地力を示していることは最低条件といえそうです。

単勝オッズ別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<単勝オッズ別成績(過去10年)>
~9.9【10-6-5-25】勝率21.7%/連対率34.8%/複勝率45.7%/単回収率108%/複回収率87%
10.0~19.9【0-3-3-14】勝率0.0%/連対率15.0%/複勝率30.0%/単回収率0%/複回収率119%
20.0~29.9【0-0-1-5】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率16.7%/単回収率0%/複回収率61%
30.0~49.9【0-1-1-7】勝率0.0%/連対率11.1%/複勝率22.2%/単回収率0%/複回収率147%
50.0~【0-0-0-41】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%

また、先行力も重要なポイント。開幕週、かつ1角までの距離が短い中山芝1800mという舞台設定のため、後方待機勢の追い込みはなかなか決まりづらい傾向にあります。単勝オッズ20倍以上で好走した3頭が先行馬orイン差しだったことからも、好位置につけられる先行力は重要な資質といえそうです。

初角位置別成績(単勝オッズ19.9倍以下・過去10年),ⒸSPAIA


<初角位置別成績(単勝オッズ19.9倍以下・過去10年)>
真ん中より前【9-5-7-20】勝率22.0%/連対率34.1%/複勝率51.2%/単回収率99%/複回収率118%
真ん中から後ろ【1-4-1-19】勝率4.0%/連対率20.0%/複勝率24.0%/単回収率36%/複回収率62%

血統面では、Nureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingに注目。ヨーロッパの主流血脈であるこれらの血は中山内回りの中距離重賞に滅法強く、本レースでも好走率、回収率ともに水準以上の成績を残しています。特に近年は同血脈を複数本持つ馬も多く、一昨年は1着馬パンサラッサがNureyev≒Sadler's Wellsの5×3、昨年は2着馬ラーグルフがSadler's Wells=Fairy Kingの4×3を持っていました。

血統別成績(単勝オッズ19.9倍以下・過去10年),ⒸSPAIA


<血統別成績(単勝オッズ19.9倍以下・過去10年)>
Nureyev【3-5-5-19】勝率9.4%/連対率25.0%/複勝率40.6%/単回収率35%/複回収率86%
Sadler's Wells【1-5-2-4】勝率8.3%/連対率50.0%/複勝率66.7%/単回収率36%/複回収率167%
Fairy King【0-1-1-2】勝率0.0%/連対率25.0%/複勝率50.0%/単回収率0%/複回収率147%


血統解説

・ソールオリエンス
2021年ドバイターフ2着馬ヴァンドギャルドの半弟。母父MotivatorはSadler's Wells→Montjeu系のなかでも瞬発力に優れた種牡馬で、日本の芝適性も非常に高い血統です。皐月賞馬でもあり、血統面は文句なしの一頭。課題は先行力。ゲートを決めて、ある程度のポジションは取りたいところです。

・エルトンバローズ
ディープインパクト父系ではありますが、ディープブリランテ×ブライアンズタイムという馬力型血統で、内回り適性も十分に評価できる一頭です。母母ニュースヴァリューのスピード血脈が先行力を補強している点も強み。仕上がりさえ良ければ、大崩れは考えづらいタイプです。

・ソーヴァリアント
母ソーマジックは2008年桜花賞3着馬で、本馬の3/4同血の兄には2020年エプソムC2着馬ソーグリッタリング、半姉には2021年愛知杯勝ち馬マジックキャッスルがいる良血馬です。母母父に本レースと相性の良いFairy Kingの血を持ち、内回りコースの実績も十分。1600mからの距離延長となる今年はポジション取りも楽になりそうです。

2024年中山記念の有力馬の血統と評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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