【共同通信杯】ジャンタルマンタル、エコロヴァルツは消し ハイブリッド式消去法

藤川祐輔

過去10回の共同通信杯『前走1600m以下』かつ『上がり最速34.0秒以上』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週の東京新聞杯では4頭が消去条件を免れたが、その中から馬券に絡んだ馬は1頭もいなかった。特注としたアスクコンナモンダは11人気ながら4着に善戦しただけに、3着とはハナ差で馬券圏内を逃したことは悔しい限りだ。

今週は2月11日に東京競馬場で行われる共同通信杯(GⅢ)を予想する。今回は登録馬11頭を対象に絞りこみを行う。過去10年のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。

『前走新馬&未勝利戦』×『前走2番人気以下』 ★0.0%★

前走クラスに着目すると、新馬&未勝利戦からの転戦組が【2-3-2-16】(複勝率30.4%)と好成績を残している。前走で初勝利を挙げた期待馬が賞金加算を狙って本レースに駒を進めてくることを踏まえれば、納得のいくデータだ。

しかし、これを前走2番人気以下だった馬に限定すると【0-0-0-10】(同0.0%)と成績が一気に悪化する。新馬&未勝利戦の段階で高い評価を受けていなかった馬は、本レースで重賞の壁に跳ね返されていることが分かる。

このデータにはジャスティンミラノ、ディマイザキッドの2頭が該当。両馬共に前走は勝利しているが、今回は一気の相手強化となる。重賞級の面々が揃った中で好走を期待することは荷が重いと判断する。

【今年の該当馬】
・ジャスティンミラノ
・ディマイザキッド

『前走京都』×『前走2着以下』 ★0.0%★

前走場所別に成績を比較すると、京都競馬場だった馬が【0-0-2-14】(複勝率12.5%)と良くなかった。この組を更に前走2着以下だった馬に限定すると【0-0-0-9】(同0.0%)と1頭も好走馬がいなくなる。

この組には、前走シンザン記念2着のタイセイスターリー(17年4着)、前走京都2歳S2着のリスペクトアース(16年4着)といった重賞好走馬も含まれる。今年のメンバーからは2頭が該当するが、共に前走は重賞で馬券圏外に敗れている。データ通りに消去リストに加えて問題ないだろう。

【今年の該当馬】
・ショーマンフリート
・パワーホール

『前走1600m以下』×『上がり最速34.0秒以上』 ★7.7%★

前走1600m以下だった馬の成績は【1-3-2-26】(複勝率18.8%)。一方、前走1800m以上が【9-7-8-54】(同30.8%)と好成績で、距離延長組の不振が際立っている。

この距離延長組の中でも、上がりタイム33.9秒以下を記録した経験がない馬は【0-0-1-12】(同7.7%)と特に成績が悪かった。近年の当レースはほとんどが道中でペースが落ち着き、最後の長い直線でのトップスピードが勝負の決め手となっている。レース終盤で瞬発力を発揮できない馬にとって、厳しいレースとなることは必然だ。

このデータには朝日杯FSの1、2着馬ジャンタルマンタル、エコロヴァルツも含まれる。特にジャンタルマンタルは自身の最速上がりが34.6秒であり、トップスピードの部分で不安が残る。瞬発力が問われる当レースの傾向を踏まえれば、疑ってかかるべき存在だ。

【今年の該当馬】
・エコロヴァルツ
・ジャンタルマンタル
・(ショーマンフリート)

『キャリア5戦以上』×『芝1800m勝利経験なし』 ★0.0%★

これまでにキャリア5戦以上の馬は【0-1-0-21】(複勝率4.5%)と苦戦している。この組から唯一馬券に絡んだのはエトルディーニュ(17年2着)だが、この馬には芝1800mでの勝利経験があった。同経験がなかった馬に限ると【0-0-0-16】(同0.0%)と一頭も好走できていない。

このデータにはレリッシュが新たに該当する。唯一の勝利は門別でのデビュー戦で、中央転入初戦の前走は8着に敗れている。戦績を見る限りでは力不足と考えるのが妥当で、データ通りに消去リストに加える。

【今年の該当馬】
・レリッシュ

『前走馬体重増減なし』×『今回馬体重減』 ★0.0%★

前走馬体重が増減なしで、本レースで馬体重がマイナスだった馬は【0-0-0-9】(複勝率0.0%)と結果が出ていなかった。この中には、ステラヴェローチェ(21年1人気5着)、ステイフーリッシュ(18年2人気10着)といった上位人気馬の凡走例も含まれる。

この時期の若駒は、成長と共に馬体重が増加していくことが自然だ。前走が太目残りだった場合は別だが、今回で馬体重がマイナスの馬はコンディション面で不安が残る。ハッキリとデータにも表れているだけに、下記の該当候補馬の当日馬体重は注視したい。

【今年の該当候補馬】
・フォスターボンド
・(ジャンタルマンタル)

全ての条件を終えて確実に不安データに該当しない馬は、エンヤラヴフェイス、ベラジオボンド、ミスタージーティーの3頭となった。中でも今回はミスタージーティーを推奨する。

前走ホープフルSは5着に善戦。フルゲートの大外枠、直線でも明確に進路を失う不利がありながら、上がり2位をマークして掲示板内を確保したパフォーマンスは高く評価するべきだ。

また、新馬戦はスローペースで前が止まらない展開を、後方から一気に差し脚を伸ばして勝利。この時には上がり最速の33.7秒をマークしており、瞬発力が問われる展開にも十分に対応可能だ。

過去2走を見る限りエンジンのかかりが遅い印象。直線の長い東京コースに替わることはプラスに働くだろう。クラシックに向けて賞金加算が必要な立場であり、今回は勝負度合いも高いはず。不完全燃焼だった暮れの大舞台での悔しさを晴らす、フルスロットルの豪脚に期待だ。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを活かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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