【東京新聞杯】6歳以上ならマイル重賞実績が重要 データで導く「過信禁物の注目馬」
藤川祐輔
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GⅠ馬を多数輩出する出世レース
2月4日、東京競馬場では東京新聞杯(GⅢ)が行われる。近10年の当レース出走馬のうち、実に5頭もの馬が後に同年のGⅠを制しており、ビッグタイトル獲得へ向けた登竜門ともいえる一戦だ。
過去の傾向を見ると、1~2番人気の馬が近10年で【1-2-4-13】(複勝率35.0%)となっており、勝ち馬は1頭しか出ていない。心許ない成績であるだけに、馬券検討においては人気馬の取捨選択を慎重に行いたい。今回は過去10年における当レースのデータを基に、「過信禁物の注目馬」を導いていく。
6歳以上の馬はマイル実績を確認
出走各馬の年齢に着目すると、4~5歳の馬が【6-8-9-56】勝率7.6%、連対率17.7%、複勝率29.1%と良好な成績を収めている。これに対して、6歳以上の馬は【4-2-1-62】勝率5.8%、連対率8.7%、複勝率10.1%と好走率が極端に落ち込んでいる。
当レースは別定重賞であり、実力ある若い馬が賞金加算を狙って出走してくるケースが多い。こうした側面も影響して、ベテラン勢にとっては厳しいレースとなっている。
また、6歳以上の馬からも好走馬は出ているが、大半は過去にマイル重賞を制していた。マイル重賞勝利歴がある馬は【2-2-1-15】勝率10.0%、複勝率20.0%、連対率25.0%と十分に通用しているが、勝利歴なしの馬は【2-0-0-47】勝率、連対率、複勝率4.1%と振るっていない。
好走率に大きな差が生じているだけに、6歳以上の馬はマイル重賞での実績を確認して取捨選択を判断するべきだ。
マイルCSで上がり5位以内の馬は危険
マイルCSから転戦してくる馬は、メンバーレベルが高いことを考えれば当レースでも活躍が見込めるように思う。だがデータを見てみると意外にも、前走マイルCS組は【2-0-1-11】勝率、連対率14.3%、複勝率21.4%と特段良好とはいえない。前走が京都金杯組の成績は【1-2-3-28】勝率2.9%、連対率8.8%、複勝率17.6%であり、これと見比べるとマイルCSからの転戦組には物足りなさを感じてしまう。
このマイルCSからの転戦組を、前走の上がり順位別に分類するとさらに意外なデータが得られる。前走で上がり1~5位の馬は【0-0-0-5】複勝率0.0%と全く好走できておらず、一方の上がり6位以下の馬が【2-0-1-6】勝率、連対率22.2%、複勝率33.3%と好成績を収めていた。
マイルCSは開催が進んだ馬場で行われるが、東京新聞杯は馬場状態が良好な開催2週目に行われる。当然ながら有利な脚質も異なっており、マイルCSでの末脚比べで苦戦を強いられた馬が、当レースを先行粘り込みの競馬で巻き返している。
データを見る限りでは、マイルCSでのパフォーマンスは当レースに直結していない。特に、前走で速い上がりを使っていた馬は評価を下げた方が良さそうだ。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。
・6歳以上でマイル重賞勝利歴なし
・前走マイルCSで上がり5位以内
これらを踏まえて、今回はジャスティンカフェを「過信禁物の注目馬」として挙げる。
当馬は前走のマイルCSで3着に好走しているが、このレースは先行勢が総崩れの展開であった。馬場の内側が荒れ気味だった点も含めて、差し脚質の当馬には絶好の条件であったことは間違いない。
また、当馬は昨年も同様のローテーションで当レースに臨んでいるが、その際は1番人気に支持されながら4着に敗れている。この時は前走のマイルCSで上がり2位をマークしており、不安データに該当しての凡走だった。
今年も同様のデータに該当しており、加えて6歳を迎えたことでもう1つの不安要素にも当てはまる。前走の結果から人気を集めることは必至なだけに、重い印は打ちにくい。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
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