【AJCC】参考レース振り返り データ拮抗も安定感抜群ボッケリーニに熱視線、マイネルウィルトスは距離短縮や雨天も歓迎

三木俊幸

2024年AJCC出走予定のボッケリーニ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

参考レースを振り返る

GⅠ馬ブラストワンピースの勝利こそあるものの、中山巧者や重賞で堅実な成績を残す馬たちの好走が目立つAJCC。今年は13頭の登録があるが、前走レース別成績を見ると過去10年で最多の2勝をあげている有馬記念や連対率40.0%の菊花賞、複勝率62.5%の中日新聞杯からの参戦はなし。各レースともに拮抗している。

ステイヤーズS【データ:C メンバーレベル:C】

過去10年の成績【1-0-0-9】勝率10.0%、連対率10.0%、複勝率10.0%

好走率は低いものの、今回の出走予定馬たちが該当する前走別成績では唯一勝利をあげているステイヤーズS組。2015年クリールカイザー以来の優勝馬を送り出すことはできるのだろうか。

スタートしてすぐにアフリカンゴールドが逃げ、2番手にアイアンバローズという展開となるも、最初の向正面でアイアンバローズが先頭に入れ替わり、再びスタンド前を通過するところでは2番手以下に10馬身以上の差をつける大逃げとなった。勝負所でリードがなくなるも、最後の直線では再びリードを広げて後続に2馬身半差をつけ重賞初制覇を飾った。

3着のマイネルウィルトスは中団追走から直線で一旦は単独2番手まで浮上したが、ゴール前でテーオーロイヤルに詰め寄られてクビ差交わされた。2200mへの距離短縮は歓迎、週末は雨予報も出ており、プラスに働くと考える。

シルブロンは道中後方2〜3番手を追走。直線は外から追い込むも1.3秒差の7着だった。ペースが遅く展開が向かなかったという面もあるが、今回のメンバーに入るとスピードでも一枚落ちる印象だ。

チャレンジC【データ:C メンバーレベル:B】

過去10年(1800mのハンデ重賞時代含む)の成績【0-2-0-4】勝率0.0%、連対率33.3%、複勝率33.3%

勝利こそないが、2020年ステイフーリッシュ、2023年エヒトがともに5番人気で2着と好走を果たしている。

レースはテーオーシリウスが逃げ、2番手フリームファクシ以下も一団となって前半1000m通過は59.9。ゴール前は道中5番手のインで脚を溜め、直線で外へと持ち出したベラジオオペラと、その直後から最内を突いたボッケリーニによる追い比べとなる。日本ダービー4着以来の実戦となったベラジオオペラがハナ差先着、勝ちタイムは1:58.8だった。

このレースからは7着だったリカンカブールが次走で中山金杯を制しており、GⅢとしてはそれなりにメンバーレベルが高かったと言っていい。

ボッケリーニはGⅠでこそ結果を残せていないが、重賞では堅実な成績を残す。中山コースでは2022年のAJCCで3着、2022年・23年の日経賞でそれぞれ2着になるなど実績十分。マイナス要素は見当たらない。

ジャパンC【データ:C メンバーレベル:S】

過去10年の成績【0-0-2-3】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率40.0%

5頭が出走して3着内への好走は2016年ショウナンバッハと2023年ユーバーレーベンの2頭で、ともに3着という結果だった。それ以外の3頭も全て5着以内と、総合的に見ると安定した結果を残している。

レースは大逃げを見せたパンサラッサが1000mを57.6で通過して直線へと向いたが、道中3番手から運んだイクイノックスが残り250mで前を捉えると、三冠牝馬リバティアイランドらを全く寄せつけず。勝ちタイム2:21.8で4馬身差をつける圧巻の走りを披露した。

ショウナンバシットは8番手を追走するも、イクイノックスからは2.0秒差の11着。先週末の日経新春杯にも登録があったが、こちらに矛先を向けた。中山コースでは重馬場の皐月賞で5着という実績があり、稍重の若葉Sも勝利するなど道悪はめっぽう得意。週末の天気は味方しそうだ。

アルゼンチン共和国杯【データ:C メンバーレベル:B】

過去10年の成績【0-0-1-7】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率12.5%

8頭の出走があり、3着内への好走は2021年の3着馬ラストドラフトのみとなっている。

レースはアフリカンゴールドが逃げて1100m通過が1:07.0。直線はずらっと横に広がる展開で外からマイネルウィルトスが一旦は先頭へ。しかし、内からゼッフィーロがJ.モレイラ騎手の見事な手綱捌きに導かれて馬群を突き抜けた。勝ちタイム2:29.9での決着だった。

チャックネイトは道中8番手を追走。直線は馬群を捌くのにややモタついたが、勝ち馬から0.2秒差の3着に入った。頭数が少ないのはプラス材料、スムーズなら今回も相手なりに走ってくるだろう。

秋華賞【データ:なし メンバーレベル:A】

過去10年で出走馬なし

稍重で行われた秋華賞はコナコーストが逃げ、2番手ミシシッピテソーロがピタッとマークする展開で1000m通過は1:01.9。大外から4角3番手までポジションを押し上げたリバティアイランドが直線で早め先頭に躍り出ると、そのまま押し切った。勝ちタイムは2:01.1、ただ一頭差を詰めてきたマスクトディーヴァを1馬身差凌いで牝馬三冠を達成した。

5着モリアーナは、中団やや後方を追走。終始内にこだわった騎乗で直線は一旦進路が狭くなる場面もあったが、強引にこじ開けて勝ち馬からは0.6秒差だった。しかし、3着ハーパーとは0.1秒差、そのハーパーは次走エリザベス女王杯でも3着に好走している。2200mは初距離となるが、展開がはまれば一発の可能性を秘めている。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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