【AJCC】横山典弘騎手が他を圧倒する7勝 1月の中山名物重賞の「記録」を振り返る
緒方きしん
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AJCCのスペシャリスト、横山典弘騎手
新年早々、京成杯で横山典弘騎手が自身の持つJRA最年長重賞勝利記録を更新。なんと55歳10カ月23日という記録で、華々しいスタートを切った。昨年の12月10日には柴田善臣騎手が自身の持つJRA騎手最年長勝利記録を57歳4カ月11日に更新、年末には武豊騎手が有馬記念を制覇するなど、ベテラン勢の活躍が見られている。
今週はAJCCが開催される。過去にはブラストワンピースやマツリダゴッホらが制した中山競馬場の名門GⅡにおける1986年以降の記録を紐解いていく。
AJCCの最多勝騎手は、7勝をあげている横山典騎手。2番手が3勝をあげている柴田政人騎手で、2勝をあげているのがO.ペリエ騎手、江田照男騎手、柴田善騎手、小島太騎手(通算では5勝)、的場均騎手、田辺裕信騎手ということを考えると、その圧倒的な相性の良さが見てとれる。
横山典騎手のAJCC初勝利は、メジロモントレー。同コンビで金杯やアルゼンチン共和国杯などを制した名牝の引退前最後の勝利が、1991年のAJCCだった。そしてメジロモントレーは引退後、繁殖牝馬としても活躍。孫からは名馬モーリスが登場し、その名を血統表に残している。2009・10年にはネヴァブションでAJCC連覇、一昨年もキングオブコージで見事に差し切るなど、ここでの勝ち方を熟知した乗り方を見せている。
3連覇にワンツー決着、中山重賞に強かった伊藤正厩舎
AJCCはいわゆる東高西低の重賞。1986年以降、関東馬が26勝、関西馬が12勝でダブルスコアとなっている。直近で勝利を挙げた関西馬といえばキングオブコージだが、上述の通り鞍上は横山典騎手である。
関西の厩舎として最多タイの2勝をあげているのは音無秀孝厩舎・角居勝彦厩舎・池江泰寿厩舎。特に角居厩舎の送り出したシャケトラは骨折明けの復活劇でもあり、中391日の長期休養明けの重賞制覇は当時歴代2位の記録でもあった。
関東の厩舎にも2勝の厩舎はいくつかあるが、唯一3勝をあげているのが、伊藤正徳厩舎。しかも2008~2010年と3連覇を成し遂げている。2008年の勝ち馬はエアシェイディ。ここで重賞初制覇をあげた同馬は年末の有馬記念で10番人気3着と激走、三連複1925倍の波乱を演出した。2009・2010年に連覇したのはネヴァブション。2009年には中山金杯5着からの過密日程で勝利をあげ、2着のエアシェイディとともに管理馬でのワンツーを達成している。同厩舎は中山競馬場での重賞を得意とし、同厩舎における重賞勝利のラスト5勝は全て中山競馬場であげたものである。
AJCCのレコードは、2005年にクラフトワークが記録した2:11.4。鞍上は、ここでも横山典騎手である。函館記念、中山金杯に続く重賞3連勝で記録を達成した。逆に最遅決着は不良馬場で行われた2021年アリストテレスの記録した2:17.9で、同じく不良馬場で行われていた2012年ルーラーシップの2:17.3を大きく更新した。良馬場での最遅決着は1999年スペシャルウィークの2:16.8である。
名馬やその父や母、祖母などを多く輩出してきたAJCC。次世代の横山典騎手となる騎手や、次世代の伊藤正厩舎となる厩舎の登場にも期待したい。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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