【愛知杯】冬の小倉は末脚勝負の傾向 条件に合致するセントカメリア

佐藤永記

小倉芝2000mの上がり3F別成績(過去10年の冬開催3勝クラス以上),ⒸSPAIA

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関門橋Sが数少ない類似レース

例年は中京開催の愛知杯だが、阪神競馬場のスタンド工事による変則日程の影響で、今年は小倉開催となる。2020年にも小倉で愛知杯が開催されたことはあるが、当時は雨・重馬場だったことから、過去データを参考にしづらい。今年はいまのところ週中に雨が降りそうだが、レース当日前後は晴れる見込みなのでなおさらだ。

ということで、参考データとして冬の小倉芝2000mの3勝クラス以上、過去10年で検索したところ……これも5レースしかない。該当するのは関門橋S(2000m戦になった2020年以降の計4レース)と、2020年の愛知杯のみだ。とはいえ貴重な冬の小倉での上位クラスによる芝2000m戦データ。さっそく傾向をみていこう。


差し馬の上がり勝負傾向

小倉芝2000m 
冬開催3勝クラス以上 脚質別成績,ⒸSPAIA


まずは脚質別成績。逃げ・先行1勝ずつ、差し3勝と差し優勢の傾向だ。逃げの1勝は関門橋Sがまだ3勝クラスだった2020年に、1番人気のカウディーリョがあげた。前走菊花賞で逃げ、その後、丹頂Sを先行して勝つなど、長距離戦線で頑張っていた馬で、2000m戦の当レースではやや異色の存在だ。基本は脚を溜めた馬が優勢と見ていい。

小倉芝2000m 
冬開催3勝クラス以上 上がり順位別成績,ⒸSPAIA


さらに上がり3Fでも1位の馬が4勝と圧倒的。ちなみに残りの1勝は2020年逃げ切りのカウディーリョだ。2着馬も全て上がり3F3位以内である。つまり、先行馬でも上がり勝負できる馬でなければ厳しいということだ。よって、過去に速い上がりを使った馬をピックアップしたい。


条件ピッタリのセントカメリア

「差し馬」、「上がりが使える」という2つの条件を満たす馬で、取り上げたいのはセントカメリアだ。前走のサンタクロースSでは前で激しい逃げ争いがあったとはいえ、差し馬のなかで最速の上がり3F33.8を使って大外を突き抜けており、同じ走りができれば今回の条件にマッチしそうだ。問題があるとすれば脚はあるのに3勝クラスを抜けるまで5戦かかったこと。鞍上も過去に1度、騎乗経験のある西村淳也騎手で、その時は2番人気12着大敗と相性も心配。しかし逆に失敗しているからこそ対応することに期待してみるのも手だ。当欄での本命としたい。

相手候補は昨年10月の府中牝馬S出走組の3頭を取り上げたい。府中牝馬Sはディヴィーナの大逃げが決まったレースだが、レースラップを見ると中盤で溜めができており、大逃げの割には余裕のあるペースで逃げ切りが決まった印象だ。

そのレースで2、3番手を走っていたコスタボニータとルージュスティリアも、ゴール前の大接戦に加わっており、速い上がり勝負にも食らいついていた。コスタボニータは初の2000m戦、ルージュスティリアはその後スワンS、ターコイズSと短距離マイルを走った後ということで、一変する可能性を秘めている。

さらに府中牝馬Sで4番手を走り11着に大敗したエリカヴィータは、中山金杯に出走を予定していたが非抽選で除外され、ここに回ってきた。3歳時にフローラSを勝ったため、ずっとオープンクラスを走るなかでなかなか勝利に結びついていない馬ではあるが、3走前のメイSでは4角12番手から追い込んで5着と好走した。展開やハンデ次第では復活してもおかしくない。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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