【ホープフルS】良血シンエンペラーは消し ハイブリッド式消去法
藤川祐輔
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5つのデータから絞れた馬は?
先週の有馬記念では5頭が凡走条件を免れ、その中の1頭だったドウデュースが勝利した。しかし特注としたジャスティンパレスは4着と馬券圏内には1歩及ばず。好走したスターズオンアース、タイトルホルダーは消去しており、悔しい結果だった。
今週は12月28日に中山競馬場で行われるホープフルS(GⅠ)を予想。出走馬18頭を対象に絞り込みを行う。GⅠ昇格後の過去6年(17~22年)のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。
『前走条件戦』×『前走4角2~4番手以外』 ★0.0%★
前走が条件戦だった馬は【0-2-3-45】(複勝率10.0%)と振るっておらず、勝ち馬に関しては1頭も出ていない。前走が中央のOPクラス以上だった馬が【6-4-3-27】(同32.5%)と好成績を残しており、前走クラスは馬柱を見る上で重視したいポイントだ。
また、前走条件戦組から好走した5頭は全て、「前走4角2~4番手」の位置につけていた。小回りかつ直線の短い中山コースが舞台だけに、勝負所で好位につけた経験が好走に繋がっている。対照的に前走4角で2~4番手以外の位置にいた馬は【0-0-0-28】(同0.0%)と全く好走できておらず、このデータに該当する馬は軽視が妥当だ。
【今年の該当馬】
・インザモーメント
・ウインマクシマム
・サンライズアース
・タリフライン
・テンエースワン
・ミスタージーティー
『前走3着以下』×『前走GⅢ以下』 ★0.0%★
前走での着順に注目すると、2着以内だった馬が【5-6-6-51】(複勝率25.0%)。好走馬のほとんどが該当していた。反対に前走で3着以下だった馬は【1-0-0-22】(同4.3%)と全く結果を残せていない。
前走3着以下で本レースを好走したのは、昨年14番人気で勝利したドゥラエレーデ1頭のみ。同馬は前走4着だったが、これは東スポ杯2歳S(GⅡ)での結果。前走GⅢ以下かつ3着以下だった馬に限ると、【0-0-0-20】(同0.0%)と厳しいものとなる。
このデータには新たに4頭が該当し、牝馬ながら人気の一角と目されるレガレイラも該当。前走アイビーSでは6頭立ての3着に敗れており、そこで2着だったホウオウプロサンゲは続く京都2歳Sで9着に敗れている。前走での結果を見る限り、牡馬混合GⅠで通用するかは疑わしく、今回はデータに従って消去対象とする。
【今年の該当馬】
・サンライズジパング
・ディスペランツァ
・ホルトバージ
・レガレイラ
・(テンエースワン)
『前走2000m』×『前走初角8番手以下』 ★0.0%★
過去の出走馬のほとんどが前走1800m戦か2000m戦だった。この2つの距離で好走率には大きな差が生じている。前走1800mだった馬は【5-2-2-24】(複勝率27.3%)と成績良好であるのに対して、前走2000m組は【1-3-4-46】(同14.8%)とやや劣る。
この前走2000m組の中でも、前走初角が8番手以下だった馬は【0-0-0-10】(同0.0%)と全て馬券圏外に敗れている。特に昨年はミッキーカプチーノ(1番人気5着)、セブンマジシャン(3番人気6着)と上位人気馬が揃って凡走した。
このデータには新たに、凱旋門賞馬ソットサスの全弟として注目を集めるシンエンペラーが該当。前走の京都2歳Sでは勝利こそしたが、上手く馬群を捌いたJ.モレイラ騎手の好騎乗が光る内容だった。ゲートや折り合い面に不安があり、後方脚質の馬に不利なデータも出ていることから、今回は軽視する。
【今年の該当馬】
・シンエンペラー
・(ディスペランツァ)
『前走上がり3位以下』×『前走4番人気以下』 ★5.3%★
続いては前走の上がり順位に注目する。前走で上がり2位以内の末脚を使っていた馬は【5-5-5-40】(複勝率27.3%)と好成績だが、これが上がり3位以下になると【1-1-1-32】(同8.6%)と大きく落ちる。この組で更に前走4番人気以下だった馬に限ると、【1-0-0-18】(同5.3%)と厳しいデータが浮かび上がる。
このデータには新たにアンモシエラが該当する。本馬は今回が芝レース初挑戦。世代のトップクラスが集う本レースで、いきなりの好走を期待するのは流石に荷が重い。データに従って消去リストに加える。
【今年の該当馬】
・アンモシエラ
・(サンライズジパング)
・(ホルトバージ)
『誕生月が3月以降』×『今回馬体重減』 ★0.0%★
ここまでに6頭が凡走データを潜り抜けている。最後は誕生月と馬体重に関するデータから絞り込みを行なっていく。
生月が1、2月の馬は【4-2-4-24】(複勝率29.4%)と好成績なのに対して、3月以降に生まれた馬は【2-4-2-49】(同14.0%)と好走率が落ちる。完成度の高さが求められる2歳GⅠだけに、生まれが早い馬の方が優勢であることがデータにも表れている。
3月以降に生まれた組からも好走馬は8頭出ているが、いずれも前走より馬体重が増加、もしくは増減なしだった。前走よりも馬体重が減っていた馬に限ると、【0-0-0-17】(同0.0%)と全く好走できていなかった。
残る6頭の中で誕生月が3月以降なのは、アドミラルシップ、ショウナンラプンタ、シリウスコルト、ヴェロキラプトルの4頭だ。当日発表の馬体重には特に注意を払いたい。
【今年の該当候補馬】
・アドミラルシップ
・ヴェロキラプトル
・ショウナンラプンタ
・シリウスコルト
・(ウインマクシマム)
・(サンライズジパング)
・(シンエンペラー)
・(タリフライン)
・(ディスペランツァ)
・(ホルトバージ)
・(ミスタージーティー)
・(レガレイラ)
全ての条件を終えて確実に凡走データに該当しない馬は、ゴンバデカーブース、センチュリボンドの2頭だ。なかでもゴンバデカーブースに期待したい。
前走のサウジアラビアRCは、上がり最速33.5秒の末脚で快勝。ボンドガール、シュトラウスといった有力馬を直線で一気に抜き去る走りは素晴らしかった。
また、父ブリックスアンドモルタルは米国の芝中距離GⅠを5勝しており、血統面を踏まえれば2000mへの距離延長は問題ない。ノーザンダンサー系の産駒が【0-2-1-4】(複勝率42.9%)というデータも心強い。力を発揮できれば2歳王者の座につくことも夢ではない。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを活かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
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