【チャンピオンズC】機動力に優れたNureyevの血が後押し クラウンプライドのGⅠ初制覇に期待
坂上明大
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傾向解説
ジャパンカップダートからチャンピオンズカップに名称を変え、舞台も中京ダ1800mへ移って早10年目。中央GⅠとあってメンバーレベルは相当高い反面、内有利が顕著なイス取りゲーム的側面もあるレースです。
過去9年間のチャンピオンズCの勝ち馬は8/9頭が一桁馬番。中京ダ1800m全体の成績を確認すると外枠不利の傾向はより顕著に出ています。改修後の中京ダ1800mではスタート位置やコーナー角の関係から内有利が顕著で、好走パターンも「先行」あるいは「イン差し」がセオリーとなっている特異なコースのひとつといえるでしょう。
<チャンピオンズCの枠別成績(過去9年)>
1枠【0-2-2-12】勝率0.0%/連対率12.5%/複勝率25.0%/単回収率0%/複回収率95%
2枠【2-2-2-12】勝率11.1%/連対率22.2%/複勝率33.3%/単回収率379%/複回収率136%
3枠【3-0-1-14】勝率16.7%/連対率16.7%/複勝率22.2%/単回収率86%/複回収率67%
4枠【1-0-0-17】勝率5.6%/連対率5.6%/複勝率5.6%/単回収率32%/複回収率10%
5枠【2-1-1-14】勝率11.1%/連対率16.7%/複勝率22.2%/単回収率160%/複回収率72%
6枠【1-1-2-14】勝率5.6%/連対率11.1%/複勝率22.2%/単回収率73%/複回収率103%
7枠【0-3-1-14】勝率0.0%/連対率16.7%/複勝率22.2%/単回収率0%/複回収率128%
8枠【0-0-0-17】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
また、ダート重賞共通の傾向として前走クラス別成績は要注目のデータです。芝ほどレース選択に幅がないダート路線においては格の高いレースに素直に実力馬が集結する傾向にあり、どこを使ってきたかが重要となってきます。チャンピオンズCにおいても前走ダートGⅠ(JpnⅠ)組の成績は非常に良く、今年もこの中から軸馬を選ぶのがベターでしょう。
注意点としては前走1着馬の成績が悪いということ。地方交流のJpnⅠでパフォーマンスを上げる馬の多くは、少頭数のレースだからこそ能力を発揮できていることが多い印象です。そのため、機動力が求められるチャンピオンズCでは能力を発揮し切れないことがほとんどで、むしろ押し切れなかった馬の人気落ちを狙うのがセオリーといえそうです。
<前走ダートGⅠ(JpnⅠ)組の着順別成績(過去9年)>
1着【1-1-0-11】勝率7.7%/連対率15.4%/複勝率15.4%/単回収率14%/複回収率18%
2~5着【6-3-3-19】勝率19.4%/連対率29.0%/複勝率38.7%/単回収率380%/複回収率140%
6~9着【0-1-1-8】勝率0.0%/連対率10.0%/複勝率20.0%/単回収率0%/複回収率188%
10着~【0-0-0-3】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
血統面での最注目はNureyev。日本ではゴールドアリュールやKingmamboの母父に見られる種牡馬です。中京ダ1800mはコーナーで減速が求められやすいため、機動力に優れたNureyevの血が生きやすい舞台のひとつといえるでしょう。ちなみに、2017年勝ち馬ゴールドドリームと2021年勝ち馬テーオーケインズはNureyevの3/4同血の妹Numberを持つ血統馬です。データではNureyevやNumberの母である名繁殖牝馬Specialを対象に集計しています。
<Special内包馬の成績(過去9年)>
Special【7-5-5-52】勝率10.1%/連対率17.4%/複勝率24.6%/単回収率165%/複回収率111%
血統解説
・レモンポップ
大種牡馬デインヒルの全妹Harpiaを母母に持つ名牝系で、母父にはStorm Cat系Giant's Causewayを持つスピード豊かな血筋。フェブラリーSとマイルCS南部杯で見せたスピードはまさに現役トップの走りだったといえるでしょう。ただ、1800m以上への出走は初めてで、父父にKingmamboを持つとはいえ、本馬自身はマイル以下にも対応できるスピードのある馬。1番人気が予想されますが、あくまで挑戦者の1頭という存在です。
・セラフィックコール
デビューから5連勝でみやこS制覇を果たした新星。GⅢではありますが、3歳馬での古馬混合ダ1800m以上のJRA重賞勝ち馬はカフェファラオやオメガパフュームなど限られた素質馬しか達成していません。血統面でも5代母Balladeに遡る名牝系に属し、母母父は本レースと相性の良いNureyev。大幅相手強化のなか人気を集めそうで、中心視するにはリスクが大きいですが、軽視禁物の素質馬といえるでしょう。
・クラウンプライド
昨年のチャンピオンズC2着馬。父リーチザクラウンは大トビに出やすいSeattle Slewの影響が強い種牡馬ですが、本馬は母方のスピード血脈がバランスを取っており、母父に本レースと相性の良いキングカメハメハの血が入る点も◎。GⅠ制覇は叶っていませんが、世界を相手に崩れず走ってきた実績は他のメンバーとの比較でも決してヒケを取りません。レースセンスの良さを生かして初GⅠ制覇に期待したい一頭です。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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