【ファンタジーS】前走GⅢ組が単勝回収率400%超え 距離延長がプラスのキャンシーエンゼル

貴シンジ

2023年ファンタジーステークス、前走GⅢ組の成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は11月4日(土)に京都競馬場で行われるファンタジーSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の敗因」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった19頭を検討対象とし、過去10年分のデータを使用する。


重要データ:前走クラス別で全く異なる期待値

ファンタジーS 前走クラス別成績,ⒸSPAIA


ファンタジーSでは前走クラス別の成績に注目するのが良い。まずは新馬勝ちから上がってきた馬と未勝利勝ちから上がってきた馬の比較。新馬勝ちの馬は1戦しかパフォーマンスを見せておらず、その1戦を勝っているわけだから実際よりも過剰に評価されてしまう場合がある。牝馬限定重賞ということもあってか本レースもそのパターンである。

新馬勝ちの馬は【3-2-1-25】で単勝回収率72%、複勝回収率53%。対して未勝利勝ちの馬は【3-0-4-15】で単勝回収率381%、複勝回収率190%となっている。これは純粋に未勝利勝ちの馬の好走率が高いということもあるが、そもそもの平均人気が新馬勝ち組は7.8番人気、未勝利勝ち組は8.3番人気となっていて、同じ1勝馬ながら新馬勝ちの馬の方が評価されているという点には注意すべきだ。

続いては1勝クラス組とOP組だがこちらは両者ともにあまり相性が良いとは言えない。1勝クラス組は【1-3-0-17】で単勝回収率18%、複勝回収率37%。OP組は【0-1-3-23】で単勝回収率0%、複勝回収率88%。また、1勝クラス組で馬券内に入った馬は「前走連対」という共通点があることには注意しておきたい。

最後は重賞のGⅢ組(JpnⅢ含む)。こちらは【3-3-2-17】で単勝回収率404%、単勝回収率122%。前走上位馬はもちろんだが、どんな着順からでも好走馬が出ているのでGⅢ組というだけで注意が必要だ。

<前走GⅢ組>
・キャンシーエンゼル
・セイウンデセオ
・テイエムチュララン
・ヒヒーン
・ロータスワンド


前走の敗因:小倉2歳Sのキャンシーエンゼル

キャンシーエンゼルの前走は小倉2歳Sで3着。この日の小倉競馬場は外差し傾向の強い馬場状態だった。本馬は五分のスタートから好ダッシュで単独3番手のポジションを確保したが、レースラップは33.3-35.3で前傾2.0秒の前の馬には不利なペースだった。

1、2着はいずれも8枠の差し馬でレースバイアスに合致した馬たち。キャンシーエンゼルは展開に反しおり、4コーナーでビッグドリームに早めに来られたことも厳しかった。そのビッグドリームは次走カンナSで3着だったことから一定以上のレースレベルだったと言えるだろう。

血統解説:キャプテンネキ、キャンシーエンゼル

・キャプテンネキ
日本での牝祖は8代母セレタ。長く日本で繋がっているファミリーだが、モガミポイントを根幹とした一族からはローレルゲレイロ、ディープボンドなどが出ていて近年でも活躍馬を出している。

ただこれらはいずれもモガミヒメの分岐。本馬はツーツーエイプリルの分岐でこちらはモガミヒメほどの活躍馬は出せていない。とはいえ母キャプテンガールの牝駒はよく走っていてキャプテンネキ以外の3頭はいずれもJRA3勝で準OP馬となっている。2歳の牝馬限定重賞であれば十分の活力だろう。

基本的には母父キャプテンスティーヴの影響が強くスピードタイプの馬が多い母の産駒だが、父がダイワメジャーでスピードを伸ばしつつパワーも備えたタイプに出た。先行してしぶといのが強みで、520キロを超える大型の馬体からも3戦目となる今回は期待がかかる。

キャプテンネキの血統表,ⒸSPAIA


・キャンシーエンゼル
母ヴォルドニュイが米国産馬だったので日本での牝祖は母となる。従兄弟のデルタバローズがNZT3着などの実績馬で日本でも活力を見せているファミリーだ。

本馬は父がバゴだが、母に似たタイプの馬でスピード性能の高さが光る。まだ成長の余地を残しているが早期から活躍できる一族でここでも期待が持てる。ストライドを伸ばして走るタイプでスプリンターといった感じではないから、ここでの1ハロン延長は好感が持てる。プラス体重で出てきてほしい一頭だ。

キャンシーエンゼルの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではキャンシーエンゼルを推奨

今回はキャンシーエンゼルを推奨する。本馬の持つ早熟性とこれまでに示したパフォーマンスレベルはこのメンバーに入っても上位。他では新馬戦を圧勝しているシュークリームが出てくれば人気になりそうだが、パワータイプの身体つきで、パワーを必要とした重馬場での前走だけでは人気で推せるほどの要素は揃っていない。

キャンシーエンゼルは距離延長でさらに良さを出せそうで、抽選対象とはなるが、出走にこぎつければ妙味のある一頭となるだろう。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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