【天皇賞(秋)】穴馬台頭の余地なし、上位拮抗の一戦を楽しもう 京大競馬研の本命はドウデュース

京都大学競馬研究会

天皇賞(秋)前半5F58~59秒台時の脚質別成績,ⒸSPAIA

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近年はノーザンファームの独壇場

10月29日(日)に東京競馬場で天皇賞(秋)(GⅠ)が行われる。現在レーティング世界1位のイクイノックスと同期のダービー馬ドウデュースが久しぶりの再戦。同じくダービーで覇を争ったダノンベルーガや、春の天皇賞馬ジャスティンパレスなど、11頭の少頭数ながらハイレベルなメンバーが集まった。

令和初の天覧競馬になることが発表され、メンバーも相まって例年以上の盛り上がりになることが予想される。我々の思い、そして天皇陛下のご期待を裏切らない熱いレースを期待したい。

天皇賞(秋)の生産者別成績,ⒸSPAIA


まずは過去10年の生産者別成績を調べた。生産者リーディングトップをひた走るノーザンファームは天皇賞(秋)でも当然強く、【6-6-6-45】の好成績を残している。特に2018年以降は5連覇中で、人気のノーザンF産馬を勝っておけば当たるようになっている。今回の出走馬はドウデュース、ダノンベルーガ、ジャスティンパレス、イクイノックス、ヒシイグアス、アドマイヤハダルの6頭だ。

これに押されるように他の牧場の成績は悪く、プログノーシスが該当する社台ファーム産の成績は【1-0-1-15】、2014年スピルバーグ以降馬券になった馬はいない。

その他、社台系以外の牧場の成績は【2-3-1-59】。馬券になった馬は全頭GⅠ馬で、勝った2頭はともに1番人気だった。基本的にはノーザンFの生産馬を中心に買っていきたい。

東京コースらしく上がりの脚は重要

天皇賞(秋)の上がり3F別成績,ⒸSPAIA


次に過去10年の上がり3ハロン別成績を調べた。直線の長い東京コースということで上がりの脚が着順につながりやすく、上がり1位の馬は【4-5-1-3】の複勝率76.9%と優秀だ。馬券を外した3頭は5番人気以下の人気薄であり、上位人気で末脚自慢の馬は押さえないといけない。

上がり2位【2-1-3-3】も同様の傾向があり、人気があれば買わないといけない。上がり3位の馬は【2-1-0-5】と成績が落ちるが、3番人気以内に絞ると【2-1-0-1】と跳ね上がる。

そして上がり1~3位の馬で3着まではほとんど埋まってしまうため、上がり4、5位は【1-0-2-21】、6位以下は【1-3-4-95】。展開に恵まれないと勝つのは厳しい。今回は末脚自慢が多く、粘りが持ち味の馬にはやはり厳しい展開になりそうだ。

ハイペースなら勝機あり、力差はほとんどない

◎ドウデュース
昨年のダービー馬。ドバイターフ取り消しから7ヶ月ぶりの競馬となるが、9月初頭に帰厩し乗り込まれているように状態面は問題ない。ハイペースのダービー、京都記念を勝ったように前半が速いレースを得意としており、ジャックドールの逃げるペースは合うと判断した。右手前多用の馬で東京コースとの相性も良く、成長に伴ってマイル向きの馬になっているのであれば、ジャパンCより距離の短いこちらの方が適性は高いだろう。ノーザンファーム産の速い上がりを使える馬でデータ上も問題ない。イクイノックスとの力差はほとんどなく、印の差は好みの差だ。

◯イクイノックス
目下GⅠ・4連勝中。内容がどれも圧勝といっていいもので、レーティング129は納得の評価だろう。母父欧州型で、血統的には東京での上がり勝負だと本来米国型にキレ負けしてしまうところを、昨年秋以降は能力の差で全て倒してきている。先述したデータ上の問題もなく、昨年のような上がり勝負になれば負けないだろう。しかしジャックドールがハイペースで逃げる展開になると、昨年敗れたダービーと似た条件のため、今回の舞台では隙を突かれる可能性があると考えた。と、今書いたことも難癖のようなもので、勝ちきる展開も当然考えられる。

▲ダノンベルーガ
札幌記念4着からの参戦。「右回り×」と3歳時から公言されており、前走は馬場の悪い内を回るなど、ほとんど力を発揮できていないにもかかわらず4着に入った。そういった点で能力を再確認できた。昨年の天皇賞(秋)3着、ドバイターフ2着でワンターン左回りは最高の条件だが、それでもイクイノックスには勝てず、この2頭の勝負付けは済んだと考えていい。3番手評価だが、陣営が仕上がりについて弱気な発言をしているため4着もある。

△プログノーシス
札幌記念を快勝して臨む。川田将雅騎手とのコンビで【6-0-0-0】と息ぴったりなのだが、その川田騎手が札幌記念のレース後に「ポテンシャルは非常に高いが、それを発揮することが難しい馬」と述べたように、ゲートやレース運びに課題が多い。またディープインパクト産駒は当レースで【1-8-2-44】と、成長力やキレの問題で勝ちきるには至らないことが多く、今回上に2頭いる時点で3位以下になってしまう。ダノンベルーガとの差はほとんどないが、自滅の可能性も高いため4番手とした。

同じくディープインパクト産駒のジャスティンパレスは中距離における直線の切れ味に劣る馬で、東京コース(日本ダービー)では通用しなかった。成長を加味しても上位は厳しいと考える。有馬記念なら出番があるかもしれないが、今回は消しとする。

長々と予想を書いたが、馬券はドウデュースの単勝1本で勝負する。

上位2頭に関しては甲乙つけがたく予想記事執筆も難航した。記事を書く者としてはよくないことを述べるが、好きな馬を買って、直線楽しむことも1つの競馬の楽しみ方だと思う。そして今回のような上位拮抗のメンバー構成は予想を投げ、楽しむだけの競馬をするに最適だと思うのだ。(文:福山)

天皇賞(秋)予想印
◎ドウデュース
◯イクイノックス
▲ダノンベルーガ
△プログノーシス

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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