【競馬】過去5年で芝1200m×逃げは勝率50.0% 武豊騎手の「得意条件・不得意条件」
東大ホースメンクラブ
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競馬界の生ける伝説
誰もが認める競馬界のレジェンド武豊騎手。今週末のGⅠ天皇賞(秋)でもダービー馬ドウデュースで世界最高レーティングのイクイノックス撃破に挑む。今年は中央、地方合わせて既に重賞9勝と、まだまだ最前線で活躍中だ。そんな彼の「得意条件・不得意条件」を過去5年のデータを用いて分析していく(参照するデータ2018年10月21日~2023年10月22日)。
意外にもここ5年はスプリント戦>長距離戦
<武豊騎手の「得意条件」>
芝1200m【64-43-35-180】勝率19.9%/連対率33.2%/複勝率44.1%
京都芝内回り【20-12-15-63】勝率18.2%/連対率29.1%/複勝率42.7%
札幌ダート【22-13-10-47】勝率23.9%/連対率38.0%/複勝率48.9%
ダート×前走上がり3F最速【46-29-14-88】勝率26.0%/連対率42.4%/複勝率50.3%
この章では武豊騎手の得意条件について検討する。
まずは芝コースについて見ていく。菊花賞5勝、天皇賞(春)8勝を挙げ、すっかり長距離の名手というイメージが定着している武豊騎手であるが、ここ5年に関しては意外にもスプリント戦の方が好成績を残している。特に1200mは勝率19.9%、単勝回収率100%と素晴らしい成績。ちなみに1200m戦で逃げた場合は【19-6-4-9】で勝率50.0%、複勝率76.3%、単勝回収率252%を記録しており、テンの速い馬に騎乗する際は鉄板級と言っていいだろう。
競馬場別では、「武豊の庭」こと京都コースを取り上げる。特に得意としているのが内回り。外回りが勝率14.2%、複勝率33.3%であるのに対し、内回りは勝率18.2%、複勝率42.7%と勝率は4%、複勝率は10%近くの差がついている。また内回りコースの中で最も得意としているのが、先述した1200m戦。【8-1-2-15】で勝率30.8%、単勝回収率140%と絶好調だ。まさに鬼に金棒、武豊に京都芝×スプリント戦である。阪神コースの改修により、京都開催が増える来年以降も活用できるデータだ。
次にダートコースについて見ていく。実は武豊騎手は、芝よりもダートの方が勝率、回収率が高い。芝は勝率13.7%、単勝回収率66%であるのに対し、ダートは勝率16.9%、単勝回収率82%を記録。その中でも札幌ダートの成績は圧巻であり、【22-13-10-47】で勝率23.9%、単勝回収率は149%とプラス域だ。来年の夏まで忘れないでおきたい。
また末脚を生かす騎乗にも長けており、前走で上がり3F最速だった馬に騎乗した際は勝率26.0%、複勝率50.3%と安定感を発揮している。京都コースや札幌コースだとこの条件下で信頼度、妙味の両方がアップ。京都コースでは【16-8-3-12】で勝率41.0%、単勝回収率99%、札幌コースでは【6-1-2-7】で勝率37.5%、単勝回収率231%を記録している。
府中では苦戦傾向
<武豊騎手の「不得意条件」>
東京芝重賞【3-2-4-45】勝率5.6%/連対率9.3%/複勝率16.7%
芝2500m以上【5-12-5-46】勝率7.4%/連対率25.0%/複勝率32.4%
ダート×ハンデ戦【4-3-5-66】勝率5.1%/連対率9.0%/複勝率15.4%
次に不得意条件について見ていく。現役屈指のオールラウンダーとして知られる武豊騎手だが、この章ではそんな彼の数少ない、勝率10%以下の条件を3つ取り上げる。
意外にも中央の主要4場の芝コースのうち、唯一勝率10%を割っているのが東京競馬場だ。【23-28-27-157】で勝率9.8%と他の主場より4~7%ほど低く、単系馬券の頭で狙うのは控えるべきだろう。ただ、複勝率は33.2%で、紐としての信頼度はまずまずである。
また、長距離の名手である武豊Jであるが、ここ5年の芝2500m以上では複勝率32.4%に対して勝率7.4%とやや勝ち切れていない。平均4.3人気で平均6.1着とやや過剰人気の傾向が見られるので、明らかに騎手人気している場合はバッサリ切り捨てるのも手だ。
ダートではハンデ戦を苦手としており、勝率は5.1%、複勝率もわずか15.4%にとどまっている。斤量別の成績を見ていくと53kg以下は【1-1-2-6】で複勝率40.0%、55.5kg以上は【2-2-0-19】で同17.4%とまずまず。苦戦しているのは、これらの間の54~55kgのゾーンであり、【1-0-3-41】で勝率2.2%、複勝率8.9%と厳しい値が並んでいる。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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