【菊花賞】神戸新聞杯で見せた末脚を評価 東大HCの本命はサトノグランツ

東大ホースメンクラブ

菊花賞 前走着順別複勝率(京都開催の直近8回)

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三冠ロードの終着点

今週日曜日、京都競馬場でGⅠ・菊花賞が行われる。雨中の皐月賞で衝撃の末脚を見せたソールオリエンス、大混戦のダービーをクビ差で制したタスティエーラをはじめ、神戸新聞杯をレコード勝ちしたサトノグランツ、新潟記念で古馬を撃破したノッキングポイント、札幌記念2着のトップナイフ、目下4連勝中のドゥレッツァなど好メンバーが集結した。

今年は皐月賞馬とダービー馬が揃い踏みとなったクラシック三冠最終戦。「最も強い馬」の称号を手に入れるのはどの馬か。過去10年のうち、京都開催である13〜20年のデータを用いて馬券戦略を検討する。

道中折り合って速い上がりを出せるか

菊花賞の上がり3F順位別成績,ⒸSPAIA


<菊花賞・上がり3F順位別成績>
1位【4-4-1-4】勝率30.8%/連対率61.5%/複勝率69.2%
2位【3-2-1-2】勝率37.5%/連対率62.5%/複勝率75.0%
3位【1-0-1-4】勝率16.7%/連対率16.7%/複勝率33.3%
4位以下【0-2-5-110】勝率0.0%/連対率1.7%/複勝率6.0%

菊花賞は3000mという長丁場のレースであり、坂を2回登る。加えて全馬が初めて走る距離のため、前半は体力温存のためにペースが落ち着き、最後の末脚勝負という形になりやすい。データを見ても上がり3F1、2位だった馬が【7-6-2-6】複勝率71.4%。連対馬のほとんどが上がり3Fでも2位以内に入っている。道中しっかり折り合い、2周目坂の下りから始まるラストスパートに体力を残せるかが重要だ。

対照的に、上がり3F4位以下と最後の加速を欠いた馬は【0-2-5-110】。2着に入った2頭はいずれも不良馬場の年(13年サトノノブレス、17年クリンチャー)で、良馬場での施行時に限れば【0-0-4-83】と3着に入るのが精一杯。週末にそれほどの降雨が予想されない今年は苦戦を強いられそうだ。長距離戦といっても、ただしぶとさに長けているだけでは勝てないことがわかる。

菊花賞の前走着順別成績,ⒸSPAIA


<菊花賞・前走着順別成績>
1着【4-1-5-33】勝率9.3%/連対率11.6%/複勝率23.3%
2着【2-4-2-11】勝率10.5%/連対率31.6%/複勝率42.1%
3着【2-2-0-13】勝率11.8%/連対率23.5%/複勝率23.5%
4着以下【0-1-1-63】勝率0.0%/連対率1.5%/複勝率3.1%

また、前走の着順も極めて重要なファクター。前走4着以下の馬は複勝圏に入ることも難しく、前走で結果を出した馬から素直に選ぶのが吉だ。

レース別だと、中心は神戸新聞杯組で、その1着【3-0-1-1】、2着【1-3-1-3】、3着【2-1-0-4】といずれも好成績。ただし阪神施行の近2年はタイトルホルダー、アスクビクターモアと続けてセントライト記念組が勝った。京都に戻ってもこの傾向が続くかは注意したい。

サトノグランツ3代制覇へ

◎サトノグランツ
神戸新聞杯はファントムシーフが逃げに打って出て、前半6Fは73秒8とスロー、後半6Fは69秒7。前後半で実に4秒も差がついた。最後の3Fは10.7-10.9-12.0と前が止まらず、2〜4着を前目で進めた馬が占める展開。これを差し切ったのはまさに鮮烈の一言で、高いスタミナとしっかり折り合える力を示した。11着に敗れたダービーも展開が向かないなか着差0秒7と着順ほど負けていない。祖父ディープインパクト、父サトノダイヤモンドに続く菊花賞3代制覇に期待だ。

◯ソールオリエンス
2年連続で勝ち馬を輩出したセントライト記念組。そのセントライト記念は内枠の馬が1、3~5着を確保する中、ただ一頭外の14番枠から馬券に絡んだ。4コーナーでは大外を回る不利もありながら上がり3F2位の脚で鋭く追い上げ、着順以上に強い競馬をしたと言っていい。今回は7枠14番と外枠を引いてしまったのが懸念点だが、皐月賞を制しダービーもクビ差2着と、世代トップクラスの実力を示し続けてきた。ここでも勝機は十分だ。

▲タスティエーラ
ダービーは大混戦の中をしぶとく伸び、クビ差抜け出して競り勝った。長くいい脚を使えるのがウリだ。ダービーからの参戦例は今回集計対象とした8回にはなく、86年以降のすべての菊花賞では【0-0-0-5】。もっとも、この敗れた5頭はすべてダービーで着外に沈んでいた馬で、単純比較はできない。皐月賞でもソールオリエンスの脚に屈したが粘り込んで2着を確保している。有力候補であることには変わりない。

以下ノッキングポイント、サヴォーナ、ファントムシーフに印を回す。馬券は◎1着固定の馬単で勝負する。

▽菊花賞予想▽
◎サトノグランツ
◯ソールオリエンス
▲タスティエーラ
△ノッキングポイント
×サヴォーナ
×ファントムシーフ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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