【秋華賞】リバティアイランドを素直に評価 タイトな展開得意なヒップホップソウルが相手筆頭
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
先週の京都大賞典ではボッケリーニを推奨し3番人気2着。直線は狭いところを割って全力での追い出しがやや遅れたが持ち前の機動力と長い脚で、改めて中距離重賞では上位であることを示した。さて、今回は10月15日(日)に京都競馬場で行われる秋華賞について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の敗因」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった23頭を検討対象とし、過去10年分のデータを使用する。
重要データ:圧倒的な成績の王道路線
秋華賞は牝馬三冠の最終戦で今年はリバティアイランドの三冠に注目が集まる。勝ち馬が出ているローテーションにははっきりと傾向が表れていて、オークスからの直行組が4勝、紫苑S組が4勝、ローズS組が2勝となっていて、それ以外のレースからは勝ち馬が出ていない。レース全体の単勝回収率31%、複勝回収率57%となっていて、全体的に堅く決まるレースと言えるだろう。
まずはオークス組から見ていこう。こちらは【4-1-1-15】という成績で、秋華賞を勝った馬はオークスで3着以内だったという共通点がある。今回はオークス1~3着馬が勢ぞろいするが、ドゥーラはクイーンSからの臨戦のためこのデータには非該当。となると直行組から注目したいのは1着リバティアイランドと2着ハーパーとなる。
続いて紫苑S組。こちらは【4-4-0-38】という成績だが、紫苑SがGⅢに格上げされる前は【1-0-0-12】、格上げ後は【3-4-0-26】となっていて明らかに成績が向上している。今年からGⅡに格上げされているからより有力馬が出やすいローテーションになってくるかもしれない。紫苑S組で注目したいのは同レースでの人気と着順。紫苑Sで4番人気以内かつ4着以内だった馬の成績は【4-2-0-7】となり単勝回収率218%、複勝回収率90%となる。今年このデータに該当する馬は2番人気2着のヒップホップソウル、4番人気1着のモリアーナの2頭だ。
最後に挙げるのがローズS組。こちらは【2-3-7-54】という成績で、単勝回収率12%、複勝回収率80%となっている。こちらは単勝回収率こそ低く、人気馬でないと勝ち切れていないが、複勝回収率はレース平均を大幅に上回っており、相手としての注意は必要だ。注目したいのはローズSで5番人気以内かつ5着以内の馬だ。このデータに該当する馬は【2-3-3-10】という成績で単勝回収率45%、複勝回収率114%となっている。今年このデータに該当するのは5番人気3着のマラキナイアのみだ。
【オークス、紫苑S、ローズS組で注目データ該当の出走予定馬】
・ハーパー
・リバティアイランド
・ヒップホップソウル
・モリアーナ
・マラキナイア
前走の敗因:紫苑Sのヒップホップソウル
ヒップホップソウルの前走は紫苑S2着。このレースは前傾1.8秒というタイトなラップを刻んだレースで、逃げ馬が後続を離した逃げたわけではなく、後ろ有利のレース展開とだった。
1番人気だったグランベルナデットが初角4番手、3番人気だったソレイユヴィータが初角2番手と前々で競馬し、それぞれ10、12着と大敗した。しかし、ヒップホップソウルは初角4番手から粘りこんで0.1秒差の2着と好走。血統面からもタイトなレース展開は得意と、紫苑S時に記載したがそれを差し引いても強い競馬だった。
勝ち馬のモリアーナはラップとしての展開は向いたが、4角で前が壁になり追い出しが遅れるという不利があった。そういったことからモリアーナとヒップホップソウルはデータ面だけでなく、前走内容からも同等の評価で良いだろう。その上でモリアーナの方が当日人気があるのであれば、ヒップホップソウルに注目したい。
血統解説:ヒップホップソウル、リバティアイランド
・ヒップホップソウル
日本での牝祖は3代母ダンシングキイ。同馬は繁殖として非常に優秀でエアダブリン、ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードなど多数のGⅠ級を輩出している。本馬は祖母にダンスインザムードを持つ良血馬で、活力で言えばGⅠの舞台でも胸を張れる一頭だろう。
このファミリーはタフなタイプが多く、その上、本馬はキタサンブラック産駒でより強調されたような馬に出ている。前走はタイトな流れで持ち前のタフさを存分に発揮しての好走だったが、GⅠとなる今回もゆったりとした流れになることは想像しづらい。改めて期待したい一頭だ。
・リバティアイランド
父はドゥラメンテ。母ヤンキーローズは現役時オーストラリアでスプリングチャンピオンS(GⅠ・芝2000m)とATCサイアーズプロデュースS(GⅠ・芝1400m)を勝利した。牝系を辿ればビコーペガサスやシンボリグランなども同じ一族。母が早期から活躍していたように春の時点での完成度は世代でも頭一つ抜けていた。今回はひと夏を超してどれくらい成長してくるかというところで、馬体はもちろん馬体重にも注目したい。
本馬は瞬発力が魅力の一頭だがトライマイベストとEl Gran Senorの全兄弟の血も有していて、決して一瞬のスピード一辺倒の馬ではない。ある程度前のポジションで競馬をすることもできるし、桜花賞のように急坂コースで大外一気も可能だ。阪神JF、桜花賞、オークスとすでにGⅠを3勝していることからも世代トップの馬であることは周知の事実だろう。2400mから2000mに距離短縮する点は好感。問題は京都の内回りを克服できるかという点だが、器用な面も持ち合わせているから問題はないだろう。
Cアナライズではリバティアイランドを推奨
今回のCアナライズではリバティアイランドを推奨する。ここまで世代トップレベルなのは疑いようもない事実。あとは秋になってそれを超える馬が出てきているのかという点だが、春の時点のリバティアイランドを超えるポテンシャルを感じる馬は出てきていない。
加えて秋華賞は堅いレースであるということも踏まえれば、リバティアイランドの相手探しをするのが良いだろう。相手を絞らないと勝てる馬券にならないので、まずは注目データに該当したリバティアイランド以外の4頭を中心に考えたい。その中でもモリアーナと同等の評価ができるヒップホップソウルは注目したい一頭だ。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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