【スプリンターズS】上位人気のアグリ、ナムラクレアは消し メイケイエールの復活を期待

藤川祐輔

中山開催の過去10回のスプリンターズS『前走4角10番手以下』かつ『斤量据え置きor増加』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週は菊花賞トライアル・神戸新聞杯を予想した。推奨したマイネルラウレアは自慢の豪脚が不発で8着に惨敗、条件をクリアしていたロードデルレイも4着惜敗と悔しい結果だった。

今週は10月1日に中山競馬場で行われるスプリンターズS(GⅠ)を予想する。トウシンマカオの回避が発表されたため、今回は25日時点で除外対象(*)である2頭を含む18頭を対象に絞り込みを行う。新潟で開催された2014年を除く過去10回(12~13年、15~22年)のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。


『前走GⅢ』×『前走4角4番手以内』 ★8.0%★

今年は登録馬全てが重賞からの転戦となるが、半数以上を占める前走GⅢの馬は過去10回で【2-2-5-66】(複勝率12.0%)と苦戦傾向だ。その中でも前走で4角4番手以内だった馬は【0-2-0-23】(同8.0%)と大半が好走できていない。

ステップレースとなっているGⅢの多くはローカルの平坦コースが舞台だが、当レースが行われる中山コースは起伏が激しく、ゴール前には2.4mの急坂が待ち受ける。特に前半から飛ばして前目のポジションに付けた馬にとっては、この最後の急坂が堪えるはずだ。

このデータに該当していた25頭のうち15頭が前走では連対を果たしており、決して母集団のレベルは低くない。それにも関わらず厳しい結果が出ていることから、前走GⅢで積極策を取っていた馬は軽視したい。

【今年の該当馬】
・ジャスパークローネ
・ジュビリーヘッド
・ナムラクレア
・マッドクール
・モズメイメイ


『前走4角10番手以下』×『斤量据え置きor増加』 ★0.0%★

先ほどは先行馬の不安要素を挙げたが、出走馬全体を見ると前走4角9番手以内だった馬が【9-9-8-82】(複勝率24.1%)と馬券圏内のほとんどを占めている。反対に前走4角10番手以下だった馬は【1-1-2-40】(同9.1%)と低調で、後方からの差し・追込を決めるのは難しい。

その中でも、前走から斤量が据え置き、もしくは斤量が増加した馬は【0-0-0-30】(同0.0%)と全く好走できていない。今年のメンバーでは6頭がこのデータに該当。特にアグリは前哨戦で控える競馬を試したことが好意的に捉えられているが、データ上は裏目であり消去対象に加える。

【今年の該当馬】
・アグリ
・ウインマーベル
・エイシンスポッター
・ドルチェモア
・ナランフレグ
・ピクシーナイト


『前走セントウルS』×『0.3秒差以上の負け』 ★6.7%★

前走セントウルS組は【6-5-2-42】(複勝率23.6%)と成績良好で、過去10回の半数以上の連対馬はこの組から出ている。連対した11頭の内9頭はセントウルSでも連対を果たしており、この前哨戦での結果が当レースでの結果と結びついてることが分かる。

この関係は凡走した馬も同様であり、セントウルSで0.3秒以上の差で敗れた馬は【0-0-2-28】(同6.7%)と当レースでもほとんどが凡走している。今年は7頭がこのローテーションで挑んでくるが、連対したテイエムスパーダ、アグリ以外の5頭はこのデータに該当している。巻き返しは厳しいとみて消去する。

【今年の該当馬】
・ジャングロ*
・ボンボヤージ*
・(エイシンスポッター)
・(ドルチェモア)
・(ピクシーナイト)


『前走1~2着』×『前走4番人気以下』 ★5.9%★

前走で1~2着に好走していた馬の成績は【7-6-3-41】(複勝率28.1%)と良好であり、前項で触れたセントウルS組に限らず、前走で連対を果たした馬は信頼できるように見える。

だが、この組を前走での人気別に分けると興味深い傾向が現れる。前走で1~3番人気に支持されていた馬が【7-6-2-22】(同40.5%)と好成績である一方で、前走4番人気以下の馬は【0-0-1-16】(同5.9%)と通用していない。

このデータには新たにテイエムスパーダとオールアットワンスの2頭が該当。どちらも前走では低評価を覆して波乱を演出したが、GⅠの舞台で再度の激走は厳しいとみて消去リスト行きとする。

【今年の該当馬】
・テイエムスパーダ
・オールアットワンス
・(ジャスパークローネ)


『父ノーザンダンサー系』×『内国産馬』 ★8.7%★

最後は血統に関するデータを取り上げる。父がノーザンダンサー系の馬は過去10回で【1-1-2-31】(複勝率11.4%)と苦戦を強いられているが、近年ではジャンダルム(22年1着)、シヴァージ(21年3着)と2年連続で好走馬を輩出している。

この2頭はともに外国生産馬であり、内国産馬に限ると成績は【0-1-1-21】(同8.7%)と更に悪化する。このデータには新たにママコチャが該当。上位人気が想定される1頭だが、戦績を見る限りでは1400m~1600mが向きそう。トップクラスのスプリンターが集う当レースでは荷が重いとみて消去する。

【今年の該当馬】
・ママコチャ
・(アグリ)

全ての条件を終えて凡走データに該当しなかったのはメイケイエール、キミワクイーンの2頭となった。特にメイケイエールは気性面の課題こそあるが、持っている能力はGⅠ級。春GⅠの凡走で人気が落ちるようなら、妙味の面からも積極的に狙いたい1頭だ。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。いつの日か馬を買うのが夢。

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