【スプリンターズS】4歳馬×セントウルS組を信頼 本命は再びの激走に期待、テイエムスパーダ

門田光生

スプリンターズSの前走クラス別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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前哨戦を快勝 テイエムスパーダが連勝で頂点へ

2023年10月1日に中山競馬場で行われる第57回スプリンターズS。下半期最初のGⅠということで、心待ちにしていたファンも多いのではないか。

JRA・GⅠの中で、最も短い距離で争われる一戦。極限のスピード勝負を堪能したいところだが、2009年のローレルゲレイロ以降、このレースを逃げ切った馬は出ていない。逆に追い込み馬では2003年デュランダル、2020年グランアレグリアがともに印象に残る末脚で勝利を挙げている。

そんなスプリンターズSだが今年はどんなドラマが待っているのか。今回はGⅠということで、過去15年分の成績を基にして検証していきたい。

☆所属
美浦5勝(9連対)、栗東9勝(20連対)、そして海外所属馬が1勝(1連対)。数字上は栗東勢が圧倒しているが、勝率、連対率で比較すると、美浦が上回っている。近6年では美浦、栗東とも3勝ずつ。美浦勢が挙げた5勝のうち、3勝はここ6年で挙げたもので、近年は美浦勢が盛り返していると考えていいだろう。

スプリンターズS出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆性別
続いて性別。こちらも牡馬・セン馬が11勝(20連対)で、数字上は牝馬を大きくリード。ただ、勝率、連対率では大差なく、この項目は互角の評価としたい。

スプリンターズS出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆年齢
年齢別で見ると、最も勝ち馬を出しているのが4歳で、5頭の勝ち馬を出している。勝率10%、連対率20%を超えているのも4歳だけ。この世代が中心と考えていいだろう。ほかの世代からもまんべんなく勝ち馬は出ているが、7歳以上で馬券に絡んでいるのは、すべて牡馬かセン馬となっている。

スプリンターズS出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆前走クラス
条件戦から挑んできた馬はおらず、また前走をオープンで走っていた馬からも連対馬が出ていない。このあたりは、さすがGⅠといったところ。

スプリンターズS出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆主な前走レース

主なステップレースは、出走頭数が多い順にセントウルS、キーンランドC、北九州記念。同距離で行われることからも、3レースとも重要な前哨戦として存在感を見せている。このうち、セントウルSとキーンランドCは1着馬に優先出走権が与えられるトライアルレース。前者は88頭、後者は64頭が出走しているが(北九州記念は25頭)、セントウルSは7頭の勝ち馬を出しており、勝ち馬が2頭のキーンランドC、北九州記念を大きくリードしている。

ただ、昨年は北九州記念組→キーンランドC組のワンツーで、4年連続で続いていたセントウルS組の連対記録が途切れた。これで風向きが変わるのかどうかだが、ひとまずセントウルSが優勢としておく。別路線では安田記念組が【2-1-1-9】。高確率で馬券に絡んでいる。前走GⅠ組の中では、この路線を押さえておきたい。

スプリンターズS出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆毛色
過去15年で芦毛は16頭しか出走していないが、その中から4頭の勝ち馬が出ている。対して栗毛は54頭が出走して、勝ち馬が1頭も出ていない。面白いデータなので加えておく。

スプリンターズS出走馬の毛色,ⒸSPAIA


☆その他
その他で気になったデータを挙げていこう。まず前走着差。コンマ4秒からコンマ9秒差で負けた馬90頭中、連対したのは2頭(ともに2着)だけ。続いて前走人気だが、5番人気以下だった馬100頭中、連対したのは2頭(1、2着、1頭ずつ)。最後に、「牡馬で前走馬体重が460キロ以下」「前走の馬番が1、3、10番」「前走1400m」のいずれかに該当する馬は、すべて連を外している。

スプリンターズSにおけるその他のデータ,ⒸSPAIA


セントウルS組の4歳馬に注目

スプリンターズSの傾向をまとめてみよう。

【好走データ】
A「美浦所属」
B「4歳馬」
C「前走がセントウルSか安田記念」
D「芦毛」

【凡走データ】
E「前走が5番人気以下」

【勝ち馬なし】
F「栗毛」
G「前走がコンマ4秒~9秒差の負け」

【連対馬なし】
H「牡馬で前走馬体重460キロ以下」

今回は、特にこれといった強力なプラスデータは見当たらない(強いていえばD「芦毛」だが、さすがに毛色を決め手にはできない)。そこで、ここ数年の成績に絞って見てみると、2019~2021年まで3年連続で4歳馬が連対、セントウルS組は2018~2021年まで4年連続で連対。昨年は4歳馬でもなく、またセントウルS組でもない馬が1、2着だったが、その昨年を例外と考えると、やはり「4歳馬」で「セントウルS」組が中心と考えてよさそうだ。

今回の登録馬でそれに当てはまるのはアグリ、エイシンスポッター、ジャングロ、テイエムスパーダの4頭。このうち、プラスデータを3つ以上持っているのはテイエムスパーダだけ。マイナスデータであるEの「前走が5番人気以下」に該当するのは気になるが、少ないながらも勝ち馬は出ており、ここは目をつむって本命に抜擢。この馬は上記で少し触れた強データのD「芦毛」に該当するが、芦毛の牝馬で思い出されるのは2011年勝ち馬カレンチャン。当馬も4歳での戴冠だった。

残る3頭のセントウルS組のうち、マイナスデータを1つも持たないアグリも有力な候補といえ、2番手としたい。3番手には、セントウルS以上に勝率、連対率がいい安田記念組のメイケイエール。これも◎と同様、Eの「前走が5番人気以下」に該当するが、今回安田記念組はメイケイエール1頭だけということで、印に入れておきたい。あとは、「4歳馬」の「芦毛」でマイナスデータを持たないマッドクールを推す。

◎テイエムスパーダ
○アグリ
▲メイケイエール
△マッドクール

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
若い頃はそれなりの量を食べていたので、今でもそのイメージがあって「大盛」を頼んでしまうことがあるのですが、十中八九後悔します。最近は自重して食べる量が減らしているのですが、それでも腹は出てくるっていうのは、ちょっと納得いかない事案です。

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