【スプリンターズS】最高齢優勝は8歳の香港馬ウルトラファンタジー JRA所属馬の「記録」も振り返る

緒方きしん

スプリンターズSの「記録」,ⒸSPAIA

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昨年は良血馬ジャンダルムが7歳で優勝

いよいよ秋競馬も本格化を迎え、今週はGⅠスプリンターズSが開催される。昨年は8番人気ジャンダルムと7番人気ウインマーベルによる決着で、馬連配当153.4倍となった。2着ウインマーベルが3歳なのに対し、勝ち馬のジャンダルムは7歳。これはJRA所属馬として最年長でのスプリンターズS制覇でもあった。

ジャンダルムは母が2002年のスプリンターズS勝ち馬ビリーヴという良血馬。兄姉にも阪神C、京阪杯2着のファリダット(父Kingmambo)や、アイビスSDで2着の7勝馬フィドゥーシア(父Medaglia d'Oro)など、快速馬が並ぶ。ただしKitten's Joy産駒のジャンダルム自身は、マイル戦でデビューを迎えた。

デビュー戦、デイリー杯2歳Sとマイルを連勝したジャンダルム。3戦目では距離を延長し、GⅠ昇格初年度のホープフルSに参戦するも、タイムフライヤーの2着とタイトルを逃した。ちなみにこの時の馬券圏内3頭は2歳GⅠ好走組にもかかわらず、活躍期間が長かった。3着馬ステイフーリッシュは7歳で海外重賞2勝、勝ち馬タイムフライヤーは8歳まで現役を続けたが、9月24日に引退が発表された。

ジャンダルムは弥生賞3着と2000mでも戦えるところを見せ、皐月賞、ダービーにも出走。秋にはマイルCSへと向かったものの、スプリント戦を使われることはしばらくなかった。転機となったのは6歳春。初めて挑戦した1200m戦の春雷Sで快勝。そこから引退まで1200m戦に出走し続けた。

6歳秋のセントウルSで4着と掲示板に入ると、翌年のオーシャンSではナランフレグらを相手に粘り込み優勝。これはジャンダルムにとって2歳時のデイリー杯2歳S以来となる重賞制覇だった。そしてその秋、悲願のGⅠ制覇を成し遂げた。ジャンダルムは引退後、種牡馬として次なる戦いに身を投じている。世界的にも評価の高いKitten's Joyの血を武器に、産駒の活躍も期待したい。

8歳で優勝した香港馬ウルトラファンタジー

ジャンダルムによる7歳でのスプリンターズS優勝は、JRA所属馬としては最年長だ。しかし、セン馬の多い海外からの遠征馬には、他にもベテランでスプリンターズSを制した馬がいる。まずは、7歳で制したテイクオーバーターゲット。こちらはオーストラリアからの遠征馬で、前哨戦のセントウルS2着からスプリンターズSを制した。前年にも香港からの遠征馬サイレントウィットネスが勝利していたため、2年連続で外国馬が本レースを制したことになる。

そしてスプリンターズS史上、最年長で勝利をあげたのが、香港から来た8歳馬ウルトラファンタジーだ。その年の1番人気は同じく香港馬のグリーンバーディー。前走のセントウルSで2着だったこともあり、グリーンバーディーが本命視され、ウルトラファンタジーは10番人気だった。しかしレースが始まると、ややゆったりとした流れのなか、ウルトラファンタジーが逃げ切り勝ち。ダッシャーゴーゴーが2着で入線したが降着となり、繰り上がりの2着にはキンシャサノキセキが入った。同馬も当時すでに7歳で、1、2着馬の合計馬齢は15歳というベテランコンビでの決着となった。

スプリンターズSへの海外馬の参戦は2018年ラッキーバブルズが最後となっている。また、香港やオーストラリアからの遠征馬で賑わう短距離戦が見たいファンもいるだろう。

ベテランの参戦という意味では、今年は7歳のナランフレグがスプリンターズSに出走予定。ここ数戦は本調子ではない同馬だが、昨年の3着馬でもある。昨年のジャンダルムのようにベテランが活躍する姿を見せてくれるだろうか。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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