【神戸新聞杯】上がりの脚重視、ダービー本命馬がここから出世だ 京大競馬研の本命はハーツコンチェルト

京都大学競馬研究会

神戸新聞杯の上がり3F別連対率(2007~2019年)

ⒸSPAIA

4年ぶりの阪神開催

9月24日(日)に阪神競馬場で神戸新聞杯(GⅡ)が行われる。ダービー3着のハーツコンチェルトや皐月賞で1番人気のファントムシーフなど、ダービーからの巻き返しを狙う馬が5頭、3連勝中のロードデルレイやナイトインロンドンなど上がり馬が8頭の計13頭が参戦。菊花賞を見据える精鋭が集まった印象だ。

4年ぶりに阪神芝2400mに舞台が戻り、中京とは全く傾向が変わることは言うまでもない。今回はこのコースで行われた神戸新聞杯全13回に共通するデータを基に、好走しそうな馬をあぶり出すことにした。

菊花賞を想定した末脚勝負になりやすい

神戸新聞杯の上がり3F順位別成績,ⒸSPAIA


過去の神戸新聞杯(阪神芝2400mで施行された2007~2019年)における上がり順位別成績を調べた。全馬が菊花賞出走を目標にしているためここで無茶な競馬をする馬はおらず、例外なく道中スロー、直線だけ末脚を使うレースになるのが神戸新聞杯の特徴だ。

よって末脚上位が着順でも上位に来ることが多く、その証拠に当レース上がり3ハロン1位の馬は【6-6-3-0】と馬券圏内を外していない。前走ダービー組に絞ると【5-3-0-0】のパーフェクト連対まで成績が伸びる。

上がり2位の馬は【5-4-2-2】の複勝率84.6%で、こちらも前走ダービー組は【4-3-1-0】と優秀。そして先の話になるが、前走ダービーかつ神戸新聞杯上がり2位以内で連対を果たした15頭のうち13頭は、菊花賞はじめとする以降のGⅠで連対を果たしており、ほぼ出世が確約されている。今年もここから名馬が生まれてくれるだろう。

一方、上がり3位以下になると成績が一気に悪くなり、上がり3位が【1-2-3-7】、上がり4、5位が【1-1-5-22】、上がり6位以下に至っては【0-0-0-111】と全く通用していない。上がり3位以下ながら当レースを勝った2頭はどちらもダービー馬で、世代最上位の馬が余裕残しで勝ったものである。上がりの使えない格下は無視で問題ないだろう。

基本は上がり2位以上を期待できる切れ味の持ち主を重視し、上がりの使えない馬は前走ダービー組であっても軽視した馬券を組みたい。

オッズ上は混戦も「1強」と見る

◎ハーツコンチェルト
ダービー3着以来の実戦。米国血統を見込んでダービーで本命を打ったが、そのダービーはスローの流れを速めに動いて最後まで伸びる、◎を打って後悔のない内容だった。

溜めれば良い切れ味を使えることはこれまでのレースで証明済み。また当馬は収得賞金が2勝クラス勝ちの馬と同じ額しかなく、ここでしくじると菊花賞どころか当分重賞を使えなくなるため、本気度も非常に高いと考える。ダービーでタイム差なしの3着馬が条件戦からやり直すなどあってはならない。右回りが若干の不安要素だが、力を出しきれば突き抜けるだろう。勝つこと前提の馬券を組みたい。勿論菊花賞でも期待大だ。

◯サトノグランツ
ダービー11着。大外枠を引いた時点でどうしようもなかったため、度外視でいいだろう。京都新聞杯を先行して上がり2位で勝利したことをはじめ、毎回良い末脚を使っているため当レース向きの馬だ。リーディング争いをしている川田騎手の継続騎乗はプラスで、前走ほど枠の有利不利がない今回は、京都新聞杯と同じレースが期待できるだろう。更なる距離延長も問題なく、ハーツコンチェルトと同じく菊花賞でも期待したい。

▲ロードデルレイ
休みを挟んで新馬戦から3連勝中の馬だ。東京や新潟など上がりのタイムが出やすいコースを使っている側面はあるが、毎回33秒前半の末脚を使ってくるのは大きな脅威になりうる。特に前走の赤倉特別は、翌日の重賞に見劣らないタイムで駆け抜けるなど、条件戦では明らかに力上位だ。今回は距離延長が課題になる。3000mとなると怪しいが、2400mであれば絶対能力で何とかこなしてくれるだろう。

△ファントムシーフ
ダービー8着、上位馬と比較するとキレ負けした印象が強く、2400mは少し長い。2000m以下では33秒台の末脚を繰り出す素質があるため、地力に期待だ。

×マイネルラウレア
若駒Sを素晴らしい切れ味で勝利。課題は父ゴールドシップ譲りの道中のズブさで、休んで行きっぷりが良くなっていれば。

消ナイトインロンドン
未勝利戦から3連勝中。しかし東京コースでも34秒前半の上がりが限界で、時計、末脚勝負だと見劣る。阪神芝2400mの神戸新聞杯において前走2600m組は【0-0-0-20】、一気の相手強化とレース質の変化についていけていないことが原因である。当馬もデータ上消し。筆者は能力の面でもあまり信用していない。

馬券はハーツコンチェルト1着軸の三連単12点で勝負する。ダービーの悔しさを胸に今後GⅠを何個も取れるような名馬になると信じている。(文:福山)

▽神戸新聞杯予想印▽
◎ハーツコンチェルト
◯サトノグランツ
▲ロードデルレイ
△ファントムシーフ
×マイネルラウレア

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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