【北九州記念】出走間隔と馬体重増減の見極めが鍵 京大競馬研の本命はデュガ

京都大学競馬研究会

北九州記念 前走レース間隔別複勝率(過去10年),ⒸSPAIA

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6月以降、未出走の馬は勝利なし 使い詰めは高評価

8月20日(日)に小倉競馬場にて北九州記念(GⅢ)が行われる。逃げ切りで重賞2勝のモズメイメイや、同じく逃げの手でCBC賞を勝ったジャスパークローネ、ソダシの妹ママコチャなど18頭が揃った。

昨年は16番人気のボンボヤージが勝利する大波乱の決着だったが、勝ち馬もその後はイマイチで、未だに勝因がつかみ切れていない。しかし、調査の中で彼女にも過去の勝ち馬と共通する点が見つかった。今回は「夏バテしない」をテーマに、前走間隔と馬体重増減について調べた。

北九州記念の出走間隔別成績,ⒸSPAIA


まずは過去10年の北九州記念における、前走からの間隔別成績を調べた。連闘で参戦した馬はゼロ、最も成績が良かったのは中1~3週の馬で【4-5-3-31】、複勝率は27.9%。そのほとんどが中2週(※年により中3週)のアイビスSD組【3-3-2-26】で、かつては非常に重要なステップレースだった。しかし、アイビスSDは格上挑戦が増えてレベルが落ちているため、近年はこことのつながりが薄くなっている。

代わって台頭するのが中4~8週の馬たちで【6-3-5-76】。複勝率は15.6%しかないが、頭数が多いためそこまで気にする必要はない。この中には中6週のCBC賞【3-2-3-36】や、中4週のバーデンバーデンC【2-0-2-19】などのオープン戦が組まれており、6月以降に1度使い、状態を上げてここで全力投球する馬が続出している。夏競馬を使っている馬を重視したい。

一方、中9~24週の馬は【0-2-2-30】と不振。モズメイメイの該当する葵Sは中11週で、ローテーションとしてはあまり良くない。能力は間違いないが、ここでは疑ってかかりたい。


体重増なら体調不良の心配がない分プラスに

北九州記念の前走比馬体重別成績,ⒸSPAIA


次に、前走からの馬体重増減について調査した。暑さに弱い馬が猛暑の小倉で好走するためには、よく食べ、よく調教を積めるほどに体調が良好であることが前提となる。

その裏付けに、馬体重が前走比プラス4~9kgの馬の成績が【7-1-5-37】と抜けて良く、昨年のボンボヤージも福島テレビオープンを叩いてプラス8kgと、それまで減らしていた馬体重を戻す状態の良さがうかがえた。

馬体増減が3kg以内に収まった馬も、前走の状態をキープできているため悪くない。【3-6-3-60】と特に連対を多く出している。

馬体重を4kg以上減らして出走した馬の成績は【0-2-1-30】。2013年には前走比マイナス12kgで出走したサドンストームが1番人気ながら10着に大敗しており、体調不良を思わせる結果となった。力差を埋めるハンデ戦のここでは、実績馬でも体調次第であっさり負けてしまうため、夏負けと考えられる大幅マイナスは軽視したい。当日のパドックは要注目だ。


夏の関東輸送を2回乗り越えた夏男

◎デュガ
昨年は春の重賞大敗後、2勝クラスで躓いていたが、半年の休養を経て馬が一変した。東京の2勝クラス、福島の3勝クラスと連勝し、特に前走は荒れた内を突き抜ける強い内容だった。短期間に長距離輸送を2回しながらも馬体を大きく減らさず、体質も安定してきたことが読み取れる。実績に比してハンデを見込まれた牝馬と比較すると、こちらは昇級初戦でハンデも手頃であることはプラス。また、森秀行厩舎2頭出しの実績がない方であるため、より賞金を積ませたい、つまり当馬の方がより本気度が高いと考え本命を打った。

◯ジャスパークローネ
森厩舎の実績がある方。CBC賞は少頭数で人気馬の不発に助けられた面はあったが、殿負けから立てなおした厩舎力には目を見張るものがあった。直線競馬で実績を積んだ点から時計勝負に強く、CBC賞と同様に速い時計の出やすい今回の条件は向いていると考える。前走できっちり絞って出走した分、上積みがあるかは微妙だが、前走の出来をキープしていれば力は出し切ってくるのではないか。モズメイメイが逃げなかった場合、単騎逃げが叶うため展開も向く。

▲ママコチャ
安土城Sを1分19秒0という好時計で圧勝。条件戦での走破時計がどれも速く、マイルよりも1400mの方が濃い内容で走れているため、初の1200mも問題ないだろう。ただ、今年の夏に使っていないことと、ハンデが55.5kgと見込まれた点がマイナス。また、近走は480kg前後でほとんど馬体重が変動しておらず、ここで馬体を大幅に増やして出走することが見込みづらいため3番手までとした。大幅に馬体が増えてくるようなら本命もあり得る一頭だ。

△モズメイメイ
逃げて重賞2勝。しかしその2勝は、マイルのチューリップ賞では距離を保たせ、スプリントの葵Sでは好スタートから早めに勝負を決めるような、武豊騎手の技量によるところが大きいと考えている。テン乗りの松若風馬騎手に同じことを求めるのはどうか。すんなり先行しづらい大外枠もマイナスとなる。

×スマートリアン
福島でオープン初勝利。元々オープン特別では上位の力を持っており、前走から状態を上げるようならここでも一発ある。

馬券はデュガからの馬連4点で勝負する。高額取引で話題になる藤田晋オーナーの馬であるが、当馬は落札額19万ドル(約2100万円)と低め。短距離GⅠで高額馬を打ち負かすサクセスロードの始まりがここにあるはずだ。(文:福山)

北九州記念 予想印
◎デュガ
◯ジャスパークローネ
▲ママコチャ
△モズメイメイ
×スマートリアン

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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