【ユニコーンS】同コース2戦2勝、ペリエールがスキのない競馬で力の差を見せる! サンライズジークは負けて強し
勝木淳
ⒸSPAIA
ハイペースで最後はスタミナ問われる
JRAでは3歳ダート重賞がユニコーンSまでないため、中央馬は海外に活路を見出すようになった。今年もサウジ、ドバイ、そして米国ケンタッキーまで遠征は続いた。帰国組の多くがJDDに向かうなか、唯一ドバイからここに参戦したペリエールが3馬身差圧勝。国内組との力の差を見せつける結果となった。
来年からは南関東で三冠レースが整備される。新たな目標ができたことで、ダート戦線はどう変化するだろうか。海外遠征はこれまでと変わらず活発だろうか。それとも国内に目標ができたことで、そちらにトップ戦線が向かうのだろうか。今年とは異なり、海外遠征組と国内組の力差が埋まっていくのか。興味は尽きない。
現行の施行条件で行われる最後になる今年はこの舞台で2勝クラスを1:35.0で逃げ切ったニシノカシミヤが中1週で出走。それも抜群のダッシュ力で芝からダートに入る時点で完全に主導権を握った。前回は重馬場で逃げて前半800m47.8だったが、今回は良馬場ながら前半800m46.3とかなり突っ込んで入った。重賞で勝ち負けするにはこれぐらいで入らないと、後ろに差されるという判断だったのではないか。これで差されるようなら、まだ勝つ力はない。ニシノカシミヤにかける期待の大きさがハイペースを演出した。
スタートから残り400mまですべて11秒台。1200m通過1:09.9はスプリント重賞レベルのラップだった。残り400mでニシノカシミヤは一杯になり、そこから12.7-12.4とスタミナを試される流れになった。離れた2番手から早め先頭に立ったサンライズジークは相当粘った。母プロヴィナージュは芝でGⅠ・3着など活躍したが、関東オークス2着などダートも走った。その父はフレンチデピュティなので、サンライズジークもダートのスタミナ寄りの流れに強い。この舞台2戦2勝のコース巧者を三浦皇成騎手が上手く流れに乗せた。
ブライアンセンスは経験さえ積めば
負けて強しのサンライズジーク。これを差し切ったペリエールは、ヒヤシンスSから4キロ減の472キロでの出走で、遠征の影響は一切なかった。ヒヤシンスS1:37.2に対し、今回は1:35.0なので、遠征を経験してむしろパワーアップした。それにしてもC.ルメール騎手はソツがない。ニシノカシミヤが離し気味に逃げる変則的なハイペースは動きづらいレース展開ではある。それでもレースで勝てる位置、どんな流れでもどこからでも動けるポジションを確保。最後は前を行くサンライズジークをとらえれば勝てるというシンプルな競馬に持ち込んだ。勝たせる技術を改めて痛感した競馬だった。
3着ブライアンセンスは1、2着馬から2列ぐらい後ろでレースを進めた。少し下げた位置からの競馬はハイペースを察知したものか。末脚を存分に発揮するも、前を行く2頭が強かった。ハイペースでも東京ダート1600mは差しが効きにくいスピードコース。速い時計でも前で流れに乗れる強さを身につければ、まだまだ上を目指せる。
3番人気グレートサンドシーは5着。レース運びは悪くなかったが、最後に伸びを欠いた。ヒヤシンスS4着と同じく、やはり1400mとは最後の伸びが違うので、距離の問題だろう。Into Mischief産駒はこのコース【3-2-3-13】、東京ダート1400m【6-4-2-8】。現状は1400mがベストだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『ゴールドシップ伝説 愛さずにいられない反逆児』(星海社新書)に寄稿。
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