【平安S】荒れるダート重賞 「二桁人気で馬券に絡んだ穴馬」に似ている2頭を紹介

佐藤永記

平安ステークスで馬券に絡んだ、主な人気薄の馬,ⒸSPAIA

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結局以前とそんなに変わらない京都ダート

改修明けの京都競馬場で初のダート重賞となる平安S。過去の結果を見ても上位人気の平穏な決着だった年は少なく、1900m戦という距離も手伝って、難解なイメージがある重賞だ。改修後の京都競馬場は外枠でも戦えるようになったとか、重くなったとか、様々な見解が出ているが、4週の開催を終えた内容を見る限り、個々のレースはともかく、全体的には改修前と極端に傾向が変わったようには感じない。改修前の2020年での時計や枠番傾向と比べても何か特別に違う、と思える数字は出てこないからだ。

ならば過去の平安Sの穴パターンを振り返って、今回それに該当する馬がいないかを探してみようというのが今回のテーマだ。「単勝二桁人気馬が馬券に絡んだ、京都開催の平安S」を遡って2例取り上げ、今年の該当馬を探す。


2019年12番人気2着モズアトラクション

まずは2019年、12番人気で2着に入ったモズアトラクションを取り上げる。この時は1着が1番人気のチュウワウィザードであったにも関わらず、馬連で21,830円、3連単は218,430円となり、波乱の立役者となった。

モズアトラクションは、明け5歳で1600万下(現3勝クラス)を追い込みで勝ち、ようやくオープン入りしたが、同クラスで6着、リステッドで11着と頭打ちの可能性があったため人気がなかった。この年の平安Sは上位3頭が道中を二桁順位で通過した馬ばかりで、追込決着。一貫して追い込みで走っていたこの馬にとって、ようやくハマる展開となった感じだ。

昇級して数戦、追込スタイルを貫いていてまだ結果が出ていない馬となると、ハイエンドが近い。完全一致とはいかないのは、2勝クラスまでは先行して勝ち上がっていたことと、3勝クラスを勝ち上がった時は15頭立て10番手からと、モズアトラクションほど極端に後ろから競馬するタイプではないからだ。昇級して1戦しているが、その平城京Sでは9番手スタートから出番なく、11着に敗れている。追い込みが恵まれる展開であれば一考したい馬だ。


2014年12番人気1着クリノスターオー

二桁人気で勝利した例となるのが2014年、12番人気1着のクリノスターオーだ。当時は4歳で戦歴はまだ浅く、3歳時に500万下から3連勝して一気にオープン入りした。しかし、そこからアルデバランS5着、マーチS5着。そして前走のアンタレスSでは逃げ先行で戦っていた戦歴から一変して、後方のまま最下位に敗れた。このように順調ではなかったため人気がなかった。だが、アルデバランSとマーチSでは騎手が乗り替わっており、かつ連勝時は良馬場か稍重馬場だったのに対して、この2戦は不良、重馬場であった。

アンタレスSは良馬場で騎手も連勝中に騎乗していた幸英明騎手に戻っていたが、逃げ・先行馬だったにも関わらず、15番枠で内の先行馬が行ったため控えたことが裏目に出た。実際に平安Sでは先行2番手からの抜け出しで快勝。ようやく連勝時の競馬ができた、といった感じである。

今年これに近いのはロードヴァレンチ。現在4歳、1勝クラスから全て良馬場の条件戦を3連勝してオープン入り。そして、前走のマーチSは不良馬場で逃げて4着だった。まだまだやれそうである。こちらはそこそこ人気になるだろうが、過去の勝ちパターンでもあるので、思い切って単勝まで狙うのも面白そうである。

というわけで平安Sで過去に二桁人気から馬券に絡んだ馬と、今年の似ている馬を2頭取り上げてみた。絡めておきたいパターンの馬として、荒れる平安Sでは1枚足しておきたいと思うのだが、いかがだろうか。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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