【オークス】過去15年で二冠牝馬は6頭 大本命リバティアイランドに迫るのは桜花賞組
門田光生
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馬券に絡んだ馬の過半数が桜花賞組
2023年5月21日に東京競馬場で行われる第84回オークス。牝馬三冠の初戦・桜花賞はリバティアイランドが勝利した。あの決め脚を見せられると「オークスもこの馬で決まり」という雰囲気も漂ってくるが、果たしてデータ的にも鉄板なのか。それとも、伏兵に台頭の余地はあるのか。
今回もGⅠということで、2008年からの過去15回の成績を基にして検証していきたい。なお、2010年に1着同着が発生しているので、データでは1着馬が16頭、2着馬は14頭となっている。
☆所属
美浦所属馬が7勝、栗東所属馬が9勝。連対馬はそれぞれ15頭と互角で、勝率、連対率ともに大きな差はない。ちなみに、次週に行われるダービーは栗東所属馬が12勝と圧倒している。
☆キャリア
勝ち馬が出ているのはキャリア3~6戦、そして8戦。勝ち馬が最も多いのはキャリア6戦組で、5勝(2着なし)を挙げている。連対馬だと、キャリア5戦組の10連対(4勝)が最多。頭狙いならキャリア6戦、連軸として考えるなら、キャリア3~5戦から選ぶのがよさそう。
☆前走クラスと前走
勝ち馬が出ているのは、前走がGⅠ、GⅡ、そしてオープン。GⅢ組は10頭出走して、馬券に絡んだのは2022年スタニングローズの2着だけだ。条件組は21頭が出走し、2021年ハギノピリナの3着が最高着順となっている。
相性のいいステップレースはもちろん桜花賞。【11-7-8-98】だから、馬券に絡んだ馬の半分以上が、前走で桜花賞を走っていたことになる。オープン組の3勝はいずれも忘れな草賞組(今年はなし)で、3頭とも栗東所属馬。トライアルであるフローラS組は7頭の連対馬を出しているが、勝ち馬は2頭だけ。勝率も3.2%と高くなく、頭からは狙いづらい。もう1つのトライアルレース、スイートピーSからは勝ち馬が出ていない。
☆前走着順と前走人気
勝ち馬16頭中、10頭が前走1着、14頭が前走3着以内だった。ちなみに、桜花賞、オークスと連勝したのは、ここ15年で6頭。うち、4頭が牝馬三冠を達成している。前走が4~7着だと【0-1-1-58】となり、好走確率が一気に下がってしまう。
また、前走で1、2番人気に支持されていた馬が13勝。これもチェックしておきたいデータだ。
☆前走馬体重
前走馬体重が418キロ以下だった馬は【0-0-1-21】。小柄な馬は結果が出ていない。かといって大きければいいかといえばそうでもなく、前走馬体重が490キロ以上だった馬は【0-1-1-18】。一方、近15年での桜花賞はというと、490キロを超えた馬も勝っている。オークスに関しては、大きすぎず、小さすぎずという馬がいいのだろう。今年の桜花賞馬リバティアイランドも馬体重の項目はクリアしている。
☆その他
そのほかで気になったデータを挙げてみる。まず前走距離だが、1800mを走っていた馬は49頭と結構な頭数がいるのだが、結果は2着が2回あるだけ。この半分以上が、本番で結果が出ていないスイートピーS組というのもあるだろう。
続いて中2週で挑んできた馬は41頭いて、連対したのは1頭だけ。また、前走で1.1秒以上負けていた馬で馬券に絡んだ馬はいない。前走1着馬が強い傾向が出ているので、大敗からの巻き返しは厳しいレースといえる。
最後に参考データだが、本番で逃げた馬は【0-1-0-14】と苦戦している。
過去の二冠牝馬は……
オークスのデータをまとめてみよう。
【好走データ】
A「キャリア3~5戦」
B「前走が桜花賞」
C「前走1着馬」
D「前走1、2番人気」
【勝ち馬なし】
E「キャリア7戦、またはキャリア9戦以上」
F「前走がGⅢ」
G「前走4~7着」
H「前走馬体重が490キロ以上」
I「前走が1800m」
J「中2週以内」
【連対馬なし】
K「キャリア2戦」
L「前走が条件戦」
M「前走馬体重が418キロ以下」
N「前走が1.1秒以上の負け」
注目は、やはり桜花賞を制したリバティアイランドだろう。データ範囲内の近15年で桜花賞とオークスの二冠を達成したのは6頭。このうち、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、デアリングタクトはプラスデータA~Dのすべてを満たしていた。
アパパネはAのキャリア以外はクリア。昨年のスターズオンアースはAのキャリアとDの前走人気に該当しなかった。スターズオンアースを二冠馬の例外とみるかどうかは置いておいて、プラスデータをたくさん満たした方が二冠の確率が上がるのは間違いないだろう。リバティアイランドは4つのプラスデータに該当し、かつマイナスデータは1つもない。ここも勝つ可能性は高いとみる。
よくよく考えると、過去15年で6頭ということは、3分の1以上の確率で二冠馬が誕生している。数字でいえば、これも強データの一つといえるだろう。
リバティアイランドが勝つ前提で相手を探してみる。二冠馬が誕生した過去6回の配当を調べると、馬単は2022年以外が20倍以下の配当。桜花賞馬が勝っているのだから、配当が安くなるのは納得のいくところ。2022年のスターズオンアースは3番人気で、2着に10番人気の馬が入ったこともあり、馬単が万馬券、3連単は10万円を超える高配当となった。
今年のリバティアイランドはデータ的にスターズオンアースではなく、ほかの5頭のパターンなので、大きな波乱はないとみる。二冠馬が誕生した6年のうち、半分が桜花賞組同士の決着。その桜花賞組では、ライトクオンタムがA、B、Dのプラスデータを持っている。マイナスデータもなしということで、これが相手でいいだろう。
プラスデータ2つという馬がたくさんいて絞り切れないので、切り口を変えて近年の騎手傾向から探ってみる。ここ5年のデータで目立っているのは、外国人騎手の活躍だ。C.ルメール騎手が2勝、2着1回、M.デムーロ騎手も2勝、D.レーン騎手が2着1回と好成績を残している。相手には、この3人が騎乗予定のハーパー、エミュー、コナコーストを押さえたい。
◎リバティアイランド
◯ライトクオンタム
▲ハーパー
△エミュー
×コナコースト
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
オークスのデータを調べていて、ジェンティルドンナが3番人気だったことに驚き。何が1番人気だったかといえば、フローラSを勝ったミッドサマーフェア。全く思い出せませんでした。
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