【福島牝馬S】積極的に狙いたい愛知杯組 大敗でも「重賞に出ていたこと」が重要
佐藤永記
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出走数が多い中山牝馬S組
福島での牝馬限定重賞・福島牝馬Sが土曜日に開催される。福島で牝馬限定と聞くといかにも荒れそうな印象を持ってしまうところ。確かに荒れることもあるけれど、案外そう荒れていない年もある。ハンデ戦ではなく別定戦であることも大きいのだろう。昨年は上位人気が拮抗しているなかで3-6-5番人気決着。3年前の2020年は3連単227万8000円の大波乱だったが、その前の2019年は同6670円の配当だった。
過去10年、前走別では中山牝馬S組が7勝しており、有力ローテとして紹介されていることが多い。確かに有力ローテではあるが、牝馬限定重賞を順調に使った場合に他の選択肢があまりないから、単純に中山牝馬S組の割合が多いというのが実情だ。
この10年間で延べ148頭が福島牝馬Sに出走しているが、そのうち66頭が中山牝馬S組で約45%を占めているのだから、有力でなければ困るくらいだ。なお前走が条件戦だった馬は33頭おり、それを除外、つまり前走OPクラスに出走していた115頭のうちで考えれば、前走中山牝馬S組の割合は約57%に上る。日程・番組的にこうなってしまうのも当然であり、上位を占めやすいのも単純に数が多いからである。
中山牝馬S組にオッズが寄ってしまっている
前走が中山牝馬Sだった馬の成績は【7-7-1-51】、このローテが有力なのも納得だが、愛知杯組も【2-0-1-5】である。数は少ないが勝率、連対率、複勝率全てで上回っているのだ。さらに単勝回収率は750%、複勝回収率でも503%である。世間が数の多い中山牝馬S組を王道だと思ってくれているため、配当効率は愛知杯組のほうがよい。
そしてこの数字にはさらなる罠がある。「前走中山牝馬S」に集計されているなかで1頭、中山牝馬Sは出走取消だった馬がいる。それが2015年勝ち馬のスイートサルサなのだが、中山牝馬Sを取り消したさらに前となる前々走は……愛知杯(3着)だったのである。これは実質、「前走愛知杯」に含めるほうが正しいのではないのだろうか? そうなると実質的には愛知杯組が【3-0-1-5】となり、実はローテとして中山牝馬Sよりこちらのほうが強いまである。
愛知杯大敗でも無問題
今年愛知杯組は2頭の登録。14着エリカヴィータと、11着ホウオウイクセルだ。2頭とも着順は芳しくなかったが、実は過去に愛知杯組で馬券圏内になった3例も、愛知杯の成績は「全然」よくない。
2022年1着 アナザーリリック 愛知杯8着
2020年3着 ランドネ 愛知杯(小倉開催)16着
2016年1着 マコトブリジャール 愛知杯18着
通常の中京以外に代替の小倉も含んでいるが、いずれにしても福島とは適性面で全然違うコースであるため、大敗していてもあまりマイナスにはならないということだろう。それよりも、数少ない牝馬重賞をステップにしているというだけで、福島牝馬Sでは軽視できない存在になるわけだ。
中山牝馬S組が人気しているところへ、愛知杯組を単純に「逆張り」してみても面白いはずである。エリカヴィータ、ホウオウイクセルの2頭に注目したい。
<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。
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