【皐月賞】ハイレベルだった共同通信杯勝ちを評価 東大HCの本命はファントムシーフ

東大ホースメンクラブ

2023年皐月賞、前走レース別成績,ⒸSPAIA

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混戦模様の一冠目

今週日曜日、中山競馬場で牡馬クラシック三冠第一戦の皐月賞が行われる。今年は弥生賞からタスティエーラ、トップナイフなど4頭、スプリングSからもベラジオオペラ、ホウオウビスケッツはじめ4頭、共同通信杯からファントムシーフ、タッチウッド、ウインオーディンの3頭が出走。また京成杯馬ソールオリエンス、きさらぎ賞馬フリームファクシ、すみれS勝ちのシャザーンといった実力馬もエントリーしている。

ホープフルSを勝ったドゥラエレーデはUAEダービー(2着)から日本ダービー直行が決まっており、また朝日杯FSを制したドルチェモアがマイル路線に向かったことで、今年の皐月賞は2歳GⅠ王者が不在となった。これはホープフルSがGⅠに昇格して以降では初めてのことだ。果たしてこの群雄割拠の混戦を制し、皐月賞馬の栄冠を手にするのはどの馬か。今週は過去10年のデータと各参考レースの内容から予想していく。


カギ握る共同通信杯組

過去10年の前走レース別成績,ⒸSPAIA


<皐月賞の主な前走レース別成績(過去10年)>
共同通信杯【5-0-2-9】勝率31.3%/連対率31.3%/複勝率43.8%
スプリングS【2-1-2-31】勝率5.6%/連対率8.3%/複勝率13.9%
弥生賞【0-5-3-33】勝率0.0%/連対率12.2%/複勝率19.5%
若葉S【0-1-1-21】勝率0.0%/連対率4.3%/複勝率8.7%

過去10年では前走・共同通信杯組が5勝をあげ、勝率も31.3%と突出した成績を残している。特に昨年のジオグリフ、一昨年のエフフォーリアと2年連続で勝ち馬を輩出しているだけに、ファントムシーフらには自然と注目が集まるだろう。

今年の共同通信杯を振り返ると、前半5Fは60秒5、最後の3Fは11秒3-11秒3-11秒5(34秒1)というペースで、ファントムシーフの勝ちタイムは1分47秒0だった。レースは出遅れながらも向正面でハナに立ったタッチウッドが直線でもそのまま粘り込みを図る展開。それを唯一捉えたのがファントムシーフで、差しに回ったダノンザタイガー、タスティエーラ以下を封じての勝利だった。当日の東京芝コースはこのレース含め全て4角4番手以内の馬が勝利しており、馬場の恩恵もあっただろうが、それ以上にスピード感があった。

ここで昨年、一昨年の共同通信杯と比較してみたい。ダノンベルーガが制した昨年は(稍重馬場で行われたことも考慮する必要はあるが)前半5Fが61秒1、最後の3Fが34秒3というラップで、勝ちタイムは1分47秒9。エフフォーリアが制した一昨年は良馬場で前半5F61秒9、後半3Fは33秒8、勝ちタイム1分47秒6。ともにスローからの瞬発力勝負となっている。今年も大別すればスローペースに違いないが、前半5F、勝ちタイムともに近2年よりも速いものだった。また4着のタスティエーラはのちに弥生賞を、6着のシーズンリッチはのちに毎日杯を制しており、レースレベルは高かったと言えるだろう。

弥生賞組は【0-5-3-33】と相手として堅実。昨年はドウデュースが3着、一昨年はタイトルホルダーが2着に入っているだけに、今年も見逃せない。この組からはやはりタスティエーラに注目。新馬戦の上がり3Fラップ11秒2-11秒1-11秒2が目を引く数字で、加えて1分47秒2という勝ちタイムも11月の東京芝1800m新馬としては歴代1位タイ。その素質は高く評価したいところだ。

スプリングS組はまずベラジオオペラの勝ち方に目がいくが、スプリングSで4角5番手以下だった馬の皐月賞での成績は【0-1-0-19】で、馬券圏内は15年リアルスティールのみ。そのリアルスティールも本番では4角3番手から進めており、スプリングSのようにうまく差しが決まるかは微妙なところ。むしろグラニットが作り出した前半5F59秒4という重馬場にしては速いペースの中、4角2番手から2着に残ったホウオウビスケッツに注目したい。


一冠目を奪い取る

◎ファントムシーフ
ハイレベルの共同通信杯を制したというだけでも食指が伸びるが、操縦性の高さもGⅠという舞台で生きてくる。タッチウッドの出遅れで途中まで先頭に立つ形となっても人馬ともに冷静で、その分息を入れることができ、直線でよく伸びて1着。まさに理想的なレース運びで、C.ルメール騎手もレース後に「乗りやすい」と評した。キャリア唯一の敗戦となったホープフルSは発馬でやや後手を踏み、前々決着にも泣いた。前走のようにしっかりスタートできれば。

◯タスティエーラ
弥生賞ではややズブい面を見せたものの、先行集団に取り付いて進め、直線で力強く伸びて重賞初勝利を飾った。共同通信杯は4着だったが、2着タッチウッドとはタイム差なし、ファントムシーフとも0秒2差と大きな差はない。GⅠの厳しい流れに対応できる力もある。2週前に美浦南Wでラスト1F11秒2を馬なりでマークしており、3頭併せの最終追い切りも馬なりで軽々と先着。状態面に関しても問題なしだ。

▲ホウオウビスケッツ
ハイペースのなか最後まで懸命に粘ったスプリングSも良かったが、2戦目のフリージア賞の内容もまた高く評価したい。逃げを打ち、前半5F61秒6というスローペースに持ち込むと、後半5Fは11秒8-11秒6-11秒2-11秒2-11秒9(57秒7)と緩みなく逃げ続け、そのまま押し切っている。そのスピードは「最も速い馬が勝つ」とされる皐月賞にピッタリだ。1週前追い切りでは横山和生騎手が乗り、一杯に追ってラスト1F10秒9。絶好調にあるのではないか。

以下フリームファクシ、トップナイフ、タッチウッドまで印を回す。馬券は◎-◯軸、▲以下相手の3連単マルチとする。

▽皐月賞予想▽
◎ファントムシーフ
◯タスティエーラ
▲ホウオウビスケッツ
△フリームファクシ
×トップナイフ
×タッチウッド

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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