【毎日杯】GⅠ馬5頭に迫る好時計 シーズンリッチの可能性と、ようやく見えてきたクラシックの勢力図

SPAIA編集部

2023年毎日杯のレース結果,ⒸSPAIA

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GⅠ馬5頭に迫る勝ち時計

毎日杯が芝1800mで行われるようになったのは2007年以降。その勝ち馬を、決着タイム順に並べると下記のようになる。

21年シャフリヤール 1.43.9
08年ディープスカイ 1.46.0
13年キズナ 1.46.2
17年アルアイン 1.46.5
18年ブラストワンピース 1.46.5
23年シーズンリッチ 1.46.6
14年マイネルフロスト 1.46.7
(後略)

上位5頭は全てのちのGⅠ馬で、反対に7位以下だった10頭からGⅠ馬はダノンシャンティ1頭しか出ていないという、非常にキレイな結果になる。もちろん勝ち時計は能力だけでなく、馬場やペースによっても大きく左右されるものだからあくまで参考程度だが、6位シーズンリッチの記録は上々のもの。大化けの可能性はある。

レースは内からセレンディピティがハナを主張する意外な序盤から、1000m通過59.2秒、上がり3F35.6秒というラップになった。軽い馬場での直線末脚比べになりやすいこの重賞でラスト12.7の消耗戦は極めて異質、稀な展開といっていい。

シーズンリッチはスタートでやや出負けしたものの、角田大河騎手がしっかりと促してインの5番手に。ロスなく勝負所をやりすごすと、直線も決して広いスペースがあったわけではないなかで、前を行くエマヌエーレやドットクルーの脚勢、動きを丁寧に判断しながら、接触等もなく抜け出してきた。およそデビュー13か月の若手とは思えぬ好騎乗だ。同期の今村聖奈騎手に“新人賞”のタイトルこそ譲ったが、角田騎手もデビュー2連勝を飾ったスーパールーキー。この重賞初制覇でさらに自信と騎乗機会を得て、ぐんぐんと上昇していけるはずだ。

うっすら見えてきた勢力図

混戦と言われて久しい今年の牡馬クラシック戦線だが、共同通信杯4着のタスティエーラが弥生賞を制し、同6着のシーズンリッチが毎日杯を制した。今年もやはり主要3歳重賞のなかでは共同通信杯組のレベルが最も高かった。

また、スローペースの前残りが煙幕になっていたホープフルS組も、勝ち馬ドゥラエレーデがUAEダービー2着、トップナイフが弥生賞2着と走り、一定のレースレベルにあったことを証明しつつある。この2レースのレベルが担保されるのであれば、ホープフルS4着馬で共同通信杯を勝ったファントムシーフが素直にこの世代の最上位、でいいのではないか。トップナイフや賞金的に微妙なタッチウッドも皐月賞には向きそうなしぶとい先行型であり、第一冠では重視だろう。ようやく、勢力図がうっすらと見えてきた。

対する別路線組として存在感を放つ京成杯勝ち馬ソールオリエンスだが、同2着オメガリッチマンが今回6着、3着馬セブンマジシャンはスプリングS6着であった。ソールオリエンスの勝ちっぷりがズバ抜けていたことは確かだが、相手関係がかなり軽かったからこそ、あの芸当ができたと見る。あとは、モノサシになりそうな馬とほぼ対戦していないベラジオオペラがどこまで走るか、この見立てが焦点か。

最後に、心配なのが12着キングズレイン。「道悪を苦にした」という論調もあるようだが、前述のように速めの時計、同日2勝クラスのマイル戦で1.33.9が出ているコンディションでそれはちょっと考えにくい。中間の熱発が尾を引いて本調子ではなかったか……。敗因は判然としないが、とにかく収得賞金900万円の身でこの大敗は重い。立て直して、賞金を加算して、春の大舞台にいい状態で間に合わせるというのは、あまり現実味がない。ダービー戦線からは一歩、二歩後退だ。

2023年毎日杯のレース展開,ⒸSPAIA



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