【日経賞】「4歳」「前走2番人気」の強データ併せ持つ 充電完了アスクビクターモア

門田光生

日経賞の年齢別成績,ⒸSPAIA

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天皇賞(春)の前哨戦

2023年3月25日に中山競馬場で行われる第71回日経賞。天皇賞(春)につながる、重要な長距離重賞である。ここ10年の平均出走頭数は14頭。長距離重賞にしては頭数が揃う印象がある。頭数が多いということはそれだけサンプル数も多くなるわけで、データ予想に適したレースといえるかもしれない。

今年の登録馬は、その平均より1頭少ない13頭。それでも、アスクビクターモア、タイトルホルダーという2頭のGⅠ勝ちステイヤーの参戦がレースを盛り上げてくれること間違いなしだ。そんな日経賞にはどんな傾向があるのか、今回も過去10年のデータを基にして検証していきたい。

日経賞の所属別成績,ⒸSPAIA

日経賞の性別成績,ⒸSPAIA

日経賞の年齢別成績,ⒸSPAIA


☆所属、性別、年齢
美浦、栗東とも5勝ずつ。2着に差があって、美浦3頭、栗東7頭。連対率で栗東勢がややリード。

連対馬20頭中、18頭が牡馬・セン馬。牝馬が馬券に絡んだのは、2016年のマリアライト(3着)、そして2021年のウインマリリン(1着)、カレンブーケドール(2着)だけ。そもそも牝馬は過去10年で8頭しか出走しておらず、そう考えると馬券に絡む確率は高いといえる。なお、マリアライトはエリザベス女王杯勝ち、ウインマリリンはオークス2着、カレンブーケドールはオークス、秋華賞、ジャパンCで2着の実績があった。GⅠ連対実績のある牝馬が出走していれば要注意だ。

年齢別で見ると、11頭の連対馬を出している4歳が抜けた存在。年齢別のデータで連対率40%超えは、なかなかお目にかかれない。7歳以上から勝ち馬が出ておらず、8歳以上となると連対馬もいなくなる。

日経賞の前走クラス別成績,ⒸSPAIA

日経賞の前走レース別成績,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
連対馬が出ているのは、前走3勝クラス、GⅡ、GⅠのみ。GⅢや海外組は結果が芳しくない。

勝率、連対率がいいのは前走GⅠ組。中でも有馬記念組は【3-3-3-8】で、半分以上の確率で馬券に絡んでいる強データである。また、「日経」つながりなのか、日経新春杯も3頭の勝ち馬を出しているが、今年は該当馬なし。

日経賞の前走着順別成績,ⒸSPAIA

日経賞の前走人気別成績,ⒸSPAIA


☆前走着順と前走人気
複数の勝ち馬を出しているのは、前走1、2、5着。いずれも連対率が25%を超えている。

前走人気に面白い傾向が出ていた。前走1、3番人気から勝ち馬が出ておらず、特に前走が1番人気だと【0-0-3-10】、連対馬すらいない。これは非常に珍しいパターン。結果が出ているのは前走2、4番人気で、ともに1着馬3頭、2着馬2頭を出している。特に前走2番人気だった馬は【3-2-1-5】。勝率27.3%、連対率45.5%は優秀だ。

日経賞のその他データ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げてみよう。まずローテーション。中4週以内で臨んだ馬33頭から連対馬は出ていない。スタミナが必要な長距離ということで、使い詰めはよくないのだろう。また、前走が2000m以下だった馬も、29頭出て連対した例がない。

強データを2つ持つ馬に注目

日経賞のデータをまとめてみよう。まず好走率が高くなるのはA「栗東所属」B「GⅠ連対実績のある牝馬」C「4歳馬」D「前走が有馬記念」E「前走1、2、5着」F「前走2、4番人気」

勝率、好走率が下がってしまうのはG「7歳馬」。連対がないのはH「8歳以上」I「前走がGⅢ、海外」J「前走1番人気」K「中4週以内」L「前走が2000m以下」。

今回の強データは、連対馬の半分以上を占め、かつ連対率40%を超える4歳馬。今年はアスクビクターモアとライラックの2頭だけ。また、有馬記念組の連対率35%超えも魅力で、これに該当するのはタイトルホルダーとボッケリーニ。この4頭のうち、ボッケリーニだけ過去10年で勝ち馬がいないG「7歳馬」に当てはまるので割引。というわけで、アスクビクターモア(プラスデータ3つ)、タイトルホルダー(プラスデータ2つ)、そしてライラック(プラスデータ3つ)の3頭が本命候補となる。

B「GⅠ連対実績のある牝馬」に当てはまるライラックだが、牝馬が連対したのは2021年(1着ウインマリリン、2着カレンブーケドール)だけ。この年だけ例外だった可能性もあるだけに、自信を持って本命には推しづらい。同じくプラスデータ3つのアスクビクターモアは、連対率40%を超えるF「前走2番人気」にも当てはまっている。というわけで強データを2つ持つアスクビクターモアが今回の本命でいいだろう。対抗はもちろん、ライラックとなる。

3番手はタイトルホルダー。プラスデータが2つで、そのうち上記で説明したF「前走2番人気」にも当てはまっている。続いてマカオンドール。前走が4番人気で、こちらもなかなかの連対率。ボッケリーニはG「7歳馬」で割引と書いたが、2着馬は出ている(2015年ウインバリアシオン)ので、押さえてもいいだろう。

◎アスクビクターモア
◯ライラック
▲タイトルホルダー
△マカオンドール
×ボッケリーニ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
先週、JRAのスト関連で関連業界はかなり混乱したとか。私も20年以上前に経験したことがありますが、ネット情報がなく、本社待機だったので電話で現場からの情報を待つのみ。仕事も進まず、終始フワフワしていた記憶があります。



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