【高松宮記念】参考レース振り返り 高評価はシルクロードS組、ナムラクレアら4歳勢
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
参考レースを振り返る
3月26日(日)に中京競馬場で行われるのは高松宮記念(GⅠ・芝1200m)。春の短距離王者を決める一戦だ。主な参考レースを過去10年のデータとともに振り返っていく。
シルクロードS【データ:A メンバーレべル:A】
過去10年の成績【4-2-1-23】勝率13.3%、連対率20.0%、複勝率23.3%
前走レース別では最多の4勝をマーク。しかし中京競馬場での開催となった近2年は7頭が挑むも、いずれも4着以下に終わっている。
レースは4連勝で参戦したマッドクールが逃げ、前半600mを33.8で通過。ゴール前は粘るマッドクールにナムラクレアとファストフォースが襲いかかり大混戦となった。最後は3頭の真ん中を割ったナムラクレアが勝利、勝ちタイム1:07.3で決着した。
牝馬ながらハンデ56.5kgを背負い、上がり32.9で差し切ったナムラクレア。昨秋のスプリンターズSは大外を回して5着だったがさらに力をつけている印象で、GⅠの舞台でも好勝負になりそうだ。
ハンデ57.5kgで2着だったファストフォースは、10番人気という低評価を覆す好走。セントウルSでも2着となるなど、中京コースが合っている印象だ。あまり人気にはならないタイプだが、引き続き警戒が必要だ。
連勝で京阪杯を制して挑んだトウシンマカオは4着。直線では伸びかけるも前との差が詰まらなかった。ハンデ58.5kgの影響があったと考えられる。
7着ウインマーベルも59kgという斤量が堪えた印象。スプリンターズ2着の実績からも巻き返してくるはずだ。
キルロードは好位追走から失速して12着に終わったが、昨年の高松宮記念では3着に好走。自身が得意とする、時計のかかる馬場になれば再び上位への好走も考えられる。
阪急杯【データ:B メンバーレべル:B】
過去10年の成績【3-2-3-38】勝率6.5%、連対率10.9%、複勝率17.4%
2013年ロードカナロア、2014年コパノリチャード、2019年ミスターメロディが勝利。ほかにも、2021年2着レシステンシア、同3着インディチャンプなどの好走例がある。
好スタートからアグリが逃げるかと思われたところ、内からメイショウチタンがハナを奪った。やや縦長の隊列で前半600mは33.9で通過した。直線に入って早め先頭に立ったアグリ、そこにダディーズビビッドがジリジリと迫るも、追い上げは届かず。アグリがクビ差押し切って重賞初制覇、勝ちタイム1:19.5の高速決着だった。
この勝利で4連勝とし、重賞の壁も難なく突破したアグリ。非凡なスピードは1200m戦にも十分対応可能で、時計は2021年にレシステンシアがマークした1:19.2に次ぐ過去2番目の好記録。このタイムで駆け抜けたことからも、GⅠで通用する素質は証明したと言える。
2着ダディーズビビッドは勝ち馬の直後を追走。勝利こそできなかったが、着実に力をつけている。高速馬場に強いタイプでセントウルS4着という実績もあるが、1400mがベストか。
7着グレナディアガーズはベスト条件の阪神芝1400mだが、直線では弾けずという内容だった。これまで1200mでの実績はないが、昨年の高松宮記念は道悪で内有利の馬場状態の中、大外枠から0.5秒差。良馬場であれば、まだ見限ってはいけない。
14着ホープフルサインは中団追走するも、残り200mの標識を過ぎたあたりで一杯となった。中京コースでは2走前に淀短距離Sを勝っているが、GⅠでは荷が重い。
オーシャンS【データ:C メンバーレべル:C】
過去10年の成績【1-2-5-54】勝率1.6%、連対率4.8%、複勝率12.9%
昨年はナランフレグが優勝、キルロードが3着に入った。人気薄が3着に激走するケースはしばしばあるが、全体的にみると相性が良いとは言えない。
先行争いを制したレイハリアが前半600m33.4というペースを刻む。各馬が横に広がって直線へと向き、大外から手応えよく先頭に立ったのはヴェントヴォーチェ。後続の追い上げを許さず2馬身差で快勝、勝ちタイムは1:07.4だった。
ヴェントヴォーチェは道中は8番手を追走するも、4角から徐々に進出を開始。キーンランドCに続いて重賞2勝目を飾った。初の左回り、さらなる相手強化となるが、自身は充実期にあると言えるだろう。
2着ディヴィナシオンは中団からロスなく立ち回って、直線では外に持ち出すレースぶり。15番人気の低評価だったが、鞍上の菅原明良騎手が上手く乗った。
9着ナランフレグはただ一頭59kgを背負っての出走。スタートで出遅れ、直線も徐々に外に持ち出そうとするもスムーズに捌けなかった。悲観するほどの負け方ではない。
オパールシャルムは、ハナを主張していったようにも映ったが結局番手に控える形。4角で後退して15着に終わった。この内容ではGⅠの舞台において厳しい戦いになると言わざるを得ない。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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