【クイーンC】ノーザンファームの8連覇阻止へ デカさで勝負のニシノカシミヤ

佐藤永記

クイーンCの馬体重別成績(過去10年),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

もはや説明不要のノーザンファーム一強重賞

直近10年で【7-6-7-22】。ノーザンファーム生産馬のクイーンCでの成績である。これに追分、白老、社台ファームを加えると【9-8-8-47】で、かつノーザンファームが現在7連覇中。今年も特別登録19頭中9頭がノーザンファーム生産馬で、社台ファームからも3頭が登録している。

昨年の2歳芝全レースで1着となったのべ408頭のうち、ノーザンファームがのべ115頭、社台ファームが56頭、白老ファームが8頭、追分ファームが4頭で、約4割5分を占めているのだから、登録馬が多くなるのは当然といえよう。成長段階の時期において、最大手牧場の生産馬たちは育成の進みが早い面もあって、ノーザンファーム8連覇の可能性は正直高い状況だ。

さらに今年は阪神JF3着と実績十分のドゥアイズが出走してくる。ほかにも多彩なノーザンファーム生産馬が大挙出走するなかで、8連覇を阻止する馬はいるのだろうか。

頼りになるのは馬体重

ヒントは10年前にある。2013年に勝利したのはウキヨノカゼ。非社台系生産馬最後のクイーンC勝利馬で、生産したのはファニーフレンズファーム。もともとの名前は原口圭二牧場、と聞けばミホノブルボンの生産牧場と思い当たる方もいるのではないだろうか。ウキヨノカゼはその後、洋芝の札幌・キーンランドCや福島牝馬Sなど、パワーが求められるレースで活躍した。クイーンC出走時も馬体重は484kgで牝馬としては大型の馬だった。

クイーンC 馬体重別成績(過去10年),ⒸSPAIA


実際にクイーンCの馬体重別成績を見ると460kg以上の馬が直近10年で7勝と優勢だ。今の時期だとまだ馬体が成長していない馬や420kg前後の馬も多いので、成長度の差として注目したい要素だ。

そして今年の非社台生産馬のなかで馬体重が460kgを超えてきそうな馬が一頭だけいる。ニシノカシミヤだ。父ディスクリートキャットはアメリカのダートでデビューから6連勝し、ドバイWCにも参戦(7着)。母の父もゴールドアリュールで、バリバリのダート血統ではある。

普通に考えれば芝マイルの重賞では厳しそうな血統だが、前走快勝した1勝クラス・寒椿賞では馬体重474kg。デビュー時は484kgだったことを考えると、両親からパワーを受け継いで筋肉と大きな馬体を他馬より先に手に入れているともいえよう。

初めての芝で通用するかどうかは未知数だが、穴を期待できる一頭として注目してみたい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

《関連記事》
【クイーンC】アスパルディーコら好素材参戦も、ハイレベルだった阪神JFを素直に評価
【京都記念】ドウデュースvsエフフォーリア! 注目の一戦は両雄並び立たず?
【共同通信杯】ダノンザタイガーら実績馬より素質馬に期待 侮れないコレペティトール

おすすめ記事