【京都記念】ドウデュース以外もチャンス十分! Cアナライズからは血統と前走を評価しキラーアビリティに期待

貴シンジ

京都記念、人気別成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

先週のきさらぎ賞ではフリームファクシを推奨し1着。2着オープンファイアも本質的には向かないであろうペースで地力の高さを見せた。穴馬が上位に入るには上がりのかかる展開でと書いたが、レースはスローペースで上位2頭のワンツーとなった。

さて、今回は2月12日(日)阪神競馬場で行われる京都記念について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった13頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

重要データ:6番人気以下が5勝 思い切って人気薄から入る手もあり

人気別成績,ⒸSPAIA


重要データで取り上げるのは人気別成績だ。京都記念は荒れることが多いレース。ヒモ荒れのレースというよりは1着に穴馬がきていることはデータからも明白だ。5番人気以上が【5-9-8-28】で単勝回収率55.0%、複勝回収率85.0%。6番人気以下が【5-1-2-56】で単勝回収率176%、複勝回収率62.0%となっている。

京都競馬場で施行されたときのデータが中心だが、昨年の阪神開催でも12番人気→8番人気→6番人気という荒れた決着となった。加えて2013年以降のOPクラス以上、阪神芝2200mという条件でも全体の単勝回収率が95.0%、複勝回収率が89.0%。穴から入りやすい条件に変わりはないだろう。

前走不利データ:中日新聞杯のキラーアビリティ

キラーアビリティは前走中日新聞杯1着。中日新聞杯では前走距離が重要なファクターだった。前走2500m以上からの臨戦は【0-0-2-14】で連対馬が出ていない。キラーアビリティは2500mアルゼンチン共和国杯からの臨戦だったが、データを破って見事勝利した。2着マテンロウレオとはクビ差も、直線で進路が見つからない場面もあり、追い出しが遅れた感もあった。そういったことを踏まえると完勝と言える内容だった。

スタートが悪く、ポジションが後ろになってしまうことが不安要素だが、距離延長で頭数が少なくなる今回は前走より競馬がしやすそうだ。

前走不利データ:有馬記念のウインマイティー

ウインマイティーは前走有馬記念6着。グランプリと呼ばれる格の高いレースと言うだけあって、勝ち馬が出るローテーションが限られている。ウインマイティーはエリザベス女王杯からの臨戦だったが、同一ローテーションだった馬は【0-2-0-18】と勝ち馬は出ていない。

そんななか、京都記念にも出走予定のエフフォーリアと0.3秒差なら十分善戦したと言えるだろう。阪神コースでは昨年の京都大賞典3着やマーメイドS勝ちの実績があり相性は良い。そこまで人気しないようであれば抑えておきたい一頭だ。

血統解説:ウインマイティー、エフフォーリア、キラーアビリティ

・ウインマイティー
日本での牝祖は祖母コリンヌドゥブルイェール。母アオバコリンはカコイーシーズ産駒らしく地方ダート戦線で活躍しTCK女王盃やマリーンCで3着の実績がある。また4代母Arkadinaを根幹とするファミリーからはヘヴンリーロマンスが出ていて、その後アウォーディーやラニを輩出した。

ウインマイティーも6歳のシーズンに入ったがゴールドシップ×カコイーシーズで晩成タイプなだけに昨年以上の活躍も期待できる。オークス3着の実績はあるが、器用さが求められて上がりがかかる小回りコースがベストだと考えられ、今回の舞台は適条件だろう。

ウインマイティーの血統表,ⒸSPAIA


・エフフォーリア
日本での牝祖は祖母ケイティーズファーストだが、3代母Katiesを根幹としてその他の枝からも勢力を広げているファミリー。Katies自身は愛1000ギニー(GⅠ・芝1609m)を勝利している。牝系の活躍馬にはヒシアマゾンやスリープレスナイトなどがいて、芝特化でパワータイプの馬が多い一族だ。

中でも母ケイティーズハートはパワータイプの印象。成長とともにより牝系の影響が強くなってきており、前走の身体つきは筋骨隆々といった感じだった。阪神コースは問題ないし、距離短縮は現在の体型を考えれば歓迎だろう。もう少し短い距離に適性がありそうなので、前走よりは上積みを見込めるがベストは大阪杯の舞台か。

エフフォーリアの血統表,ⒸSPAIA


・キラーアビリティ
母キラーグレイシスは輸入繁殖で現役時にハリウッドスターレットS(GⅠ・AW8.5F)を勝利。4代母ミドルフォークラピッヅは日本でも産駒が走っていて京都新聞杯3着などの実績があるオースミステイヤーが代表馬だ。キラーグレイシスのハリウッドスターレットSも早めから動いての押し切り勝ち、オースミステイヤーも長く良い脚を使うタイプだったように持続性能の高い馬が多い一族だ。

Wild Againの影響が強そうなファミリーにNorthern DancerがきついCongareeを配して生まれたのがキラーグレイシス。本馬もディープインパクト産駒の中では長く良い脚を使えるタイプで、機動力もあるので先行できれば上積みは大きい。距離延長のここは連勝も狙える。

キラーアビリティの血統表,ⒸSPAIA

Cアナライズではキラーアビリティを推奨

今回のコンプレックスアナライズではキラーアビリティを推奨馬としてピックアップする。スタートが決まらず後方からの競馬となることも多いが、本来はホープフルS時のような先行して押し切る競馬で最も実力を発揮できるタイプ。前走も後方からの競馬で、直線での進路取りも苦労しながら勝ち切ったことは高く評価できる。今回は距離延長で前走よりもポジションが取りやすく、もう一度狙ってみても良いだろう。

今回の1番人気はおそらくドウデュース。荒れやすいレース、コースであること、今回が海外帰り初戦でなおかつ3月にドバイターフを予定していることからも、ここが最大目標ではないだろう。1倍台の人気になるならあえて相手の一頭という評価に留めてみたい。穴っぽいところだと前走不利データを持っていて、血統的にも適条件と考えられるウインマイティーは面白い存在だ。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。現在はWEBサイト『サラブレッド研究所』でも執筆を行い、競馬予想のほか一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統も独自の切り口から分析している。

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