【共同通信杯】初年度から重賞制覇! 今注目のグレーターロンドン産駒【マイナー種牡馬応援団】

緒方きしん

グレーターロンドンの種牡馬成績,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

名門牧場が送り出した未完の大器、グレーターロンドン

先週の東京新聞杯にはストロングリターン産駒のプリンスリターンが登場。結果は14番人気11着だったが、2021年11月以来、久々の実戦としては上々の滑り出しだったと言える。元々は4歳シーズンに小倉日経OP、ポートアイランドS、キャピタルSとオープン・リステッド競走を3連勝した実績馬。次につながる走りを続け、完全復活を狙ってほしいところだ。

さて、今週は日曜東京メインで共同通信杯が開催される。ジャングルポケットやアドマイヤムーン、ゴールドシップといったGⅠ馬を輩出してきた出世レースに挑戦する馬のなかから、今回はキョウエイブリッサとロードプレイヤーの2頭に注目した。両馬ともに父は新種牡馬のグレーターロンドンである。

グレーターロンドンは、昨年の2歳王者ドルチェモアらを輩出している名門・下河辺牧場の生産馬。その下河辺牧場を象徴する血統のひとつにロンドンブリッジが築き上げた牝系がある。ロンドンブリッジはファンタジーS勝ち、桜花賞2着の実績を残して繁殖入り。初仔であるダイワエルシエーロ(父サンデーサイレンス)がオークスを制覇すると、その半弟ビッグプラネット(父ブライアンズタイム)がアーリントンC、京都金杯を制覇。さらにカペラS2着馬のダイワディライト(父アフリート)など、次々に活躍馬が登場した。

名牝ロンドンブリッジ10頭目の仔がグレーターロンドンである。父ディープインパクトの超良血馬で、デビュー戦では単勝1.3倍の圧倒的人気を集め、難なく応えて2馬身半差の快勝を収めた。距離が600m延びた2戦目こそ2着と取りこぼしたものの、そこから5連勝でオープン競走まで制したグレーターロンドンは安田記念に挑戦する。初めての重賞挑戦がGⅠとなったが、そこでも4着と好走。サトノアラジン、ロゴタイプの巻き起こした大波乱のなか、1番人気イスラボニータ、2番人気エアスピネルには先着するポテンシャルを見せた。

その後も毎日王冠3着など重賞戦線で好走していたが、なかなか勝ちに手が届かなかったグレーターロンドン。しかし、6歳シーズンに京王杯スプリングC(4着)から挑んだ中京記念を制し、見事に重賞馬の仲間入りを果たした。その後、体調面の不安などから結果的にこれがラストランとなり、GⅠ制覇の夢は産駒に引き継がれた。

活躍馬が続々登場、勢いにのるグレーターロンドン産駒

グレーターロンドンの種牡馬成績,ⒸSPAIA
グレーターロンドン産駒の通算成績,ⒸSPAIA


引退後のグレーターロンドンはブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬入り。現3歳世代が初年度産駒である。初年度は65頭に種付けし、44頭が血統登録された。2年目以降も毎年30~50頭ほどの種付けが続けられている。

初年度産駒がデビューし始めると早速、下河辺牧場が生産したロンドンプランがデビュー2連勝でGⅢ小倉2歳Sを制して話題を呼んだ。さらにはダートの新馬戦で勝ち上がったキョウエイブリッサが年末の芝GⅠ朝日杯FSで4着と好走。グレーターロンドンの持つ種牡馬としてのポテンシャルがファンの間で認知されるようになった。先週のリステッド・エルフィンSではユリーシャが逃げ切りを決めている。

グレーターロンドン産駒はこれまで25頭が中央競馬に出走し、現在10勝をあげている。小倉2歳Sをはじめとした芝1200m戦で3勝、芝1600~1800mで5勝をあげているほか、ダートでも3勝をあげるマルチな活躍を見せている。特に年明け1/28のダート新馬戦を勝利したハッピーロンドンも素質を感じさせる走りで、芝ダートどちらで才能を開花させていくのかにも注目したい。

芝2000m以上は7戦して【0-1-0-6】で、うち4戦が二桁着順という点からは、ややスプリント~マイル寄りの適性を持っている可能性がある。ただロードプレイヤーは既に2000mの百日草特別で2着に入っていて、それもホープフルS3着のキングズレインを相手に1馬身半差なので価値は高い。1800mの距離に問題はなく、共同通信杯での好走にも期待がかかる。

もう一方のキョウエイブリッサは、母父がルーラーシップという点に注目。グレーターロンドンは甥に菊花賞馬キセキがいるが、キセキは父ルーラーシップ・母父ディープインパクト・母母ロンドンブリッジという血統だった。キョウエイブリッサも、父父ディープインパクト・母父ルーラーシップ・父母ロンドンブリッジと、キセキを彷彿とさせる血統構成をしている。こちらはダート1400mデビューだが、前走の朝日杯FSではマイルに距離延長しながらも4着と好走。今回のもう1ハロン延長にも対応してくる可能性はある。

まだまだ未知数な面も多い一方で、新馬戦で5勝をあげるなどポテンシャルは広く知られつつあるグレーターロンドン産駒。今年の種付け数を増やすもう一押しの働きを、2頭に期待したい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

《関連記事》
【京都記念】ドウデュースvsエフフォーリア! 注目の一戦は両雄並び立たず?
【共同通信杯】ダノンザタイガーら実績馬より素質馬に期待 侮れないコレペティトール
【クイーンC】アスパルディーコら好素材参戦も、ハイレベルだった阪神JFを素直に評価

おすすめ記事