【きさらぎ賞】少頭数なら2強は崩れない 京大競馬研の本命はフリームファクシ

京都大学競馬研究会

きさらぎ賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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歴史は語る、少頭数なら両雄並び立つ

2月5日(日)に中京競馬場できさらぎ賞(GⅢ)が行われる。ディアドラの弟フリームファクシと、ディープインパクト産駒の高額馬オープンファイアなどの8頭立てで、シンザン記念、京成杯に続いて、またもや少頭数の3歳重賞になった。オッズの上では先に名前を出したフリームファクシとオープンファイアの「2強」となることが濃厚だ。今回は3歳重賞の2強が並び立つのかを中心に調べた。


1986年以降3歳春重賞2強体制人気別成績,ⒸSPAIA


ここでは2番人気馬の単勝オッズが5倍以下、かつ3番人気の単勝が10倍以上ついたものを「2強」と定義して、3歳春(1~6月)の芝重賞における人気別成績を調査した。データのある1986年以降、該当レースは31レース。

1番人気馬が【12-5-4-10】、2番人気馬が【10-7-7-7】で勝ち数では1番人気が上回るものの、複勝率では2番人気の方が77.4%と高くなっている。1番人気は1倍台になることもありながら複勝率67.7%。同時期の3歳芝重賞全体での1番人気複勝率が63.3%であることと比較すると、心許ない。

しかし2強とそれ以外という括りで詳しく見ると違う側面が見えてくる。2強のワンツーで決まったものが31回中9回、両方馬券外に飛んだケースが31回中3回ある。両方トビは2011年シンザン記念以降なく、近年のトレンドは2着に穴馬が突っ込む紐荒れだ。

今回も紐荒れに期待したいところではあるが、9頭以下の少頭数重賞(3戦)に絞ると、2強になった6頭中5頭が連対しており、残りの1頭も3番人気馬に後れを取っただけの3着と、残念ながら過去少頭数の2強重賞は荒れていない。1番人気が馬券圏内から外れるのは紛れや不利に因ることが多く、不利なく走れる少頭数であれば順当に上位になることが判明した。どちらも馬券になることを前提として、2強に強弱をつけていきたい。


フリームファクシとオープンファイア、データの後押しがあるのは?

次に過去10年のきさらぎ賞のデータを用いて、2頭に該当するデータを確認する。


フリームファクシデータ,ⒸSPAIA


まずは1番人気想定のフリームファクシから。これを満たすとまず上位人気は間違いない、前走1勝クラス1着馬は【3-4-1-2】。また、継続騎乗の1番人気馬も【2-2-2-1】。川田騎手のきさらぎ賞成績が【1-2-1-1】で、勝ち切れるかといわれると微妙なデータだが、本来は重賞からの巻き返しが多い当レースで、前走重賞組がゼロであれば、1勝クラスを勝った馬が繰り上がってくることは自然なことだ。大きなマイナスデータがなく評価を下げられない。


オープンファイアデータ,ⒸSPAIA


次にオープンファイアを見ていく。前走オープン以上で3着だった馬は【2-1-0-1】。ただし4頭全て前走は重賞で、リステッド3着からの参戦はないため、あくまで参考程度にしたいデータだ。今年外せないこのネタ、ディープインパクト産駒の成績は【3-6-3-11】で、中京開催だった2年前はディープ産駒が2頭出走で2、3着だった。能力上位は認めるが、中京では上がり一辺倒では届かないことも覚えておきたい。さらに「前走で差し届かなかった馬」を掘り下げて、「前走上がり最速ながら2着以下に敗れた馬」の成績を見ると【0-2-0-3】と厳しいものになっている。

若い今の時期に急な脚質変更は難しく、さらにオープンファイアはスローペースでも追走に苦労している面があるため、やはり今回いきなり差し届くとは考えにくい。フリームファクシ>オープンファイアの構図は崩せないだろう。


2着だとダービー出走が怪しい、確実に勝利を

◎フリームファクシ
新馬戦は素質馬ミッキーカプチーノの2着。その後2戦は先行して危なげなく勝利。阪神の未勝利戦で上がり3ハロン33.6となかなかの末脚を見せるなど、レースセンス抜群で完成度が高い。今回は倒すべき相手がオープンファイアのみ、しかも少頭数で不利を受ける可能性も激減と大変恵まれた。確実に賞金を積むという点で陣営の作戦勝ちと言ったところか。2着だと収得賞金が1700万円となりダービーの出走ボーダーギリギリ(昨年であれば除外対象)で危ないため、勝ってダービー出走を確実なものにして欲しい。

◯オープンファイア
ディープインパクトのラストクロップとしてデビュー前から話題だった。ゲートが下手で、促しても前半ついていけていないなど、成長が必須。2000mに延びるのはプラスであるが、切れ味があるとはいえ後ろ過ぎると届かない可能性大。先述した「前走上がり最速で届かなかった馬」の成績が【0-2-0-3】というデータも、このことを証明している。他の人気薄と評価は変わらないが、順列をつけるなら持っている末脚の差で2番手。

▲ロゼル
東京でキレ味のある所を見せている。ただし東京の2戦はどちらも2着で、ゲートがそこまで上手くないことと、それによって先行策が取れないことが詰めの甘さに繋がっている。このメンバー内では上位だがフリームファクシやオープンファイアに不利なく走られると敵わない。

レミージュのエリカ賞はスローの逃げに持ち込めたことが勝因で、上がりもパッとせず能力に疑問符がつく。あとは1勝クラス突破も怪しい面子であるため、今回の馬券は三連単◎-◯-▲の1点で勝負する。おそらく10倍もつかなさそうで、高配当を狙いたい方は、当たればラッキー程度でフリームファクシ1着固定の馬単で人気薄に流して遊んでみるのはいかがだろうか。人気薄は特に買い要素がなく、馬単でも案外良い配当がついてくれるかもしれない。(文:福山)

きさらぎ賞 予想印
◎フリームファクシ
◯オープンファイア
▲ロゼル

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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