【きさらぎ賞】好データは「キャリア2戦」「新馬勝ち」 ディープ産駒オープンファイア、クラシックへ名乗り

門田光生

きさらぎ賞のキャリア別成績,ⒸSPAIA

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今年も少頭数

2023年2月5日に中京競馬場で行われる第63回きさらぎ賞。伝統ある重賞だが、ここ10年の平均出走頭数は10頭を切っている(9.2頭)。今年の登録馬は10頭だから、登録馬全頭が出走すれば、だいたい平均通りとなる。

ここを使う馬の目標が皐月賞(または桜花賞)として、直接向かうとなると間が空きすぎるし、もう1走挟むと間隔が詰まり過ぎるという、微妙な日程にあるのが原因なのか。最近まではそう思っていたのだが、間隔空きでGⅠを使うのが当たり前になりつつあり、このきさらぎ賞の日程はちょうどいいところに位置している気がしている。今後、出走頭数が増えてくるのではと思っているのだが、今年の登録数を見る限り、そう単純なものではないようだ。

それはさておき、ほぼフルゲートが見込めるGⅠに比べてサンプル数が少ないこと。また日経新春杯と同じで、京都施行時の距離と違う(1800m→2000m)ことにも注意が必要だろう。そんなきさらぎ賞にはどのような傾向があるのか。今回も過去10年の成績を基にして調べていきたい。

きさらぎ賞出走馬の所属,ⒸSPAIA
きさらぎ賞出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆所属と性別
栗東所属馬が9勝、そして牡馬・セン馬も9勝。例外は両方とも2015年の1着馬ルージュバック(美浦・牝)。美浦所属、牝馬とも出走頭数が少ないため、勝率や連対率で比較すると、どちらが有利かはっきりといえない。

きさらぎ賞出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走着順
1着馬10頭中、半分は前走で勝っていた。残りの5頭中、3頭が前走で3着以内。例外は2017年のアメリカズカップと2022年のマテンロウレオ。特に2017年は馬場が悪く、人気馬が力を出し切れなかった影響があったのかもしれない。また、前走が10着以下から馬券に絡んだ馬は2017年のダンビュライトしかいない。

きさらぎ賞出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
きさらぎ賞出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと主な前走
1勝クラスからの参戦が最も多く、また9連対(3勝)も最多の数字。特にシクラメン賞【0-3-0-0】(今年は該当馬なし)やエリカ賞【0-2-0-1】の相性のよさが目立っている。

GⅢ組が3勝、GⅠ組が2勝と好成績だが、今年は不在。あと、前走でダートを走っていた馬はすべて馬券圏外となっている。

きさらぎ賞出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆キャリア
キャリア2戦、3戦の馬がそれぞれ7連対。勝率、連対率もこの2組が上位。続くキャリア4戦は3連対と少し差が開く。キャリア2戦、もしくは3戦の馬を中心に考えてよさそうだ。

きさらぎ賞におけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで目についたデータを挙げてみる。まず目についたのは、ノーザンファーム(NF)生産馬の連対が13頭と多いこと。この10年できさらぎ賞には91頭(取消1頭)が出走しているのだが、3分の1以上にあたる33頭がNF生産馬。連対馬が最多というのも当然か。それにしても、連対した半分以上の13頭がNF生産馬だから、今年も連対する可能性はかなり高い。また勝ち馬10頭中、8頭が新馬勝ち。これは満たしておきたい。

マイナスデータでは、5月以降の遅生まれで連対した例がない。

10月以来の出走も問題なし

きさらぎ賞のデータをまとめてみよう。まず好走率が上がるのはA「前走1~3着」B「前走がエリカ賞」C「キャリア2~3戦」D「NF生産馬」E「新馬勝ち」。

連対がないのはF「前走がダート」G「5月以降の生まれ」。

今回の登録馬を見て気づいたのは、前走で重賞を使っている馬が1頭もいないこと。これは珍しいと思って過去の出走馬を調べると、2014年、そして2016年も前走で重賞を走っていた馬がいなかった。今年がレアケースというわけではなさそうだ。

話を元に戻して、今回プラスデータに最も当てはまっているのがオープンファイア。B「前走がエリカ賞」以外の4つを満たしている。気になる点があるとすれば、10月22日以来の実戦ということか。

過去10年の連対馬20頭で、最も間隔が空いていたのは2014年の1着馬ルージュバック(前走が11月9日、中12週)。オープンファイアはこれよりも空いていることになるが、前走が11月だった馬は合計5頭連対しており、この馬もそこまで気にする必要はないと判断したい。年明けのシンザン記念でディープインパクト産駒のライトクオンタムが勝利。ここもディープの忘れ形見が存在感を見せてくれそうだ。

続いてプラスデータを3つ持つのはクールミラボー、フリームファクシ、レミージュ。この3頭の順位付けだが、キャリア2戦の方が3戦の馬より勝率、連対率が高いのでクールミラボーが対抗。続くのはレミージュで、エリカ賞組は勝ちこそないが、【0-2-0-1】と高確率で連対していることを評価したい。

◎オープンファイア
◯クールミラボー
▲レミージュ
△フリームファクシ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
先週の姫路競馬は25日(水)が積雪により開催中止。姫路は競馬だけでなく、交通網、そして輸送も大混乱。朝の9時になっても、コンビニや某ファーストフードチェーンが閉まっていたのにはびっくりしました。

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