パワーを求められる芝で買い ハービンジャー産駒の「買える条件・買えない条件」

ⒸSPAIA
存在感を発揮してきた英国産馬
今週日曜、東京競馬場を舞台にGⅢ東京新聞杯が行われる。タイトルをつかめなかった3歳牝馬三冠の悔しさを晴らしたいナミュール、豪脚一閃で初重賞を狙うジャスティンカフェ、関屋記念勝ち馬ウインカーネリアン、西宮Sを快勝したピンハイ、カウントダウンS勝ちでオープン入りを果たしたインダストリア、京都金杯3着プレサージュリフトなどがエントリーしてきた。
中でも注目を集めそうなのがナミュール。東京芝1600mは2歳時に赤松賞を勝っており、自身の唯一の重賞タイトル・チューリップ賞を制した距離とあって最適条件といえそう。4歳シーズンの始動を最高の結果で飾りたいところだ。
同馬とプレサージュリフトはハービンジャー産駒。「キングジョージ」で衝撃の11馬身差勝ちの実績を引っ提げて日本にやってきた英国産馬は、父として日本の競馬界で確固たるポジションを確保している。今週はハービンジャー産駒の「買える条件・買えない条件」を調査し、馬券での付き合い方を考えていく(データは2014年6月7日以降)。
芝の重馬場で妙味十分

<ハービンジャー産駒の「買える条件」>
芝・重馬場【34-25-36-296】勝率8.7%/連対率15.1%/複勝率24.3%
キャロットファーム所有馬【57-47-42-276】勝率13.5%/連対率24.6%/複勝率34.6%
京都芝【69-72-81-599】勝率8.4%/連対率17.2%/複勝率27.0%
障害【22-16-12-61】勝率19.8%/連対率34.2%/複勝率45.0%
まずはハービンジャー産駒を買える条件について検討する。
力の要るコンディションでの成績がよく、特に芝の重馬場では単勝回収率145%と頼りになる。降雨の中を後方から差し切ったディアドラの2017年秋華賞のようにキレのある馬がより走っており、同条件では前走上がり最速だった馬が【5-5-8-25】複勝率41.9%、単勝回収率165%とパワーアップ。該当馬がいればチェックしておきたい。
馬主別ではキャロットファーム所有馬が最多の57勝。ナミュールをはじめ、京都2歳S、京都大賞典と重賞2勝のドレッドノータス、京成杯を制したプロフェット、フェアリーSを勝ったフィリアプーラを輩出している。好走率を取るなら複勝率4割近い関東馬、妙味の観点なら単勝回収率104%と黒字域の関西馬をおすすめしたい。
競馬場別では洋芝の2場(札幌・函館)と京都芝コースで数字を上げる。京都芝2000mは【30-17-27-136】複勝率35.2%、芝2400mは【5-10-4-31】複勝率38.0%と上々で、今春から帰ってくる京都開催で狙いたい。
変わり種では障害戦をピックアップ。昨年の中山大障害をニシノデイジーが制したのが記憶に新しいが、同馬は外れ値ではなく、全体の複勝率45.0%、単勝回収率187%と高い適性を示している。2021年以降に限れば【7-5-6-7】複勝率72.0%だ。初障害だった馬も単複回収率ともに100%を上回っており、平場から応用してみたい。
ダート、新潟芝で割引

<ハービンジャー産駒の「買えない条件」>
ダート【51-67-88-1180】勝率3.7%/連対率8.5%/複勝率14.9%
新潟芝【34-32-35-433】勝率6.4%/連対率12.4%/複勝率18.9%
57.5kg以上(平地)【2-1-1-36】勝率5.0%/連対率7.5%/複勝率10.0%
次に買えない条件についても確認する。
ダートでは明確に割引が必要で、1200m【3-5-9-117】複勝率12.7%、1600m【4-4-3-71】複勝率13.4%などメジャーな距離で結果が出ていない。2勝クラス以上を勝った馬が2頭しか存在せず、適性の外とみてよいだろう。
競馬場別では新潟を最も苦手としている。極限の上がり勝負になりやすい舞台では分が悪いようで、大半の馬がキレ負けでの敗戦を喫している。芝1400m、1600m、2000mでは単勝回収率が30%台と不振で、見送りが妥当だろう。
サンプルが少ないものの、平地競走で57.5kg以上を背負った場合は凡走が目立つ。58kgを背負うGⅠでは【0-0-0-11】と好走がなく、全体の2番人気以内でも【1-1-0-6】と信頼感に欠けるため、消して馬券の威力を高めるのも手だ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
《関連記事》
・【東京新聞杯】ハイブリッド消去法でプレサージュリフトは消し! ジャスティンカフェの取捨は枠次第
・【東京新聞杯】参考レース振り返り 好データは前走エリザベス女王杯組、得意条件に戻るナミュールが中心
・【きさらぎ賞】好データは「キャリア2戦」「新馬勝ち」 ディープ産駒オープンファイア、クラシックへ名乗り
