【きさらぎ賞】Cアナライズでは名牝系のフリームファクシが一歩リード レミージュなどは展開次第でチャンスあり

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

根岸Sは堅いレースと見てレモンポップとギルデッドミラーの2頭を推奨したが、その2頭でのワンツー決着。やはり武蔵野Sとは1、2着が入れ替わる結果となったが、1400mの舞台であればレモンポップが一枚上手だったということだろう。

さて、今回は2月5日(日)に中京競馬場で行われるきさらぎ賞について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった10頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

重要データ:前走3着以内が好成績、4着以下からの勝利はGⅠ組

前走着順別成績,ⒸSPAIA


重要データで取り上げるのは前走着順別成績。こちらは明確な傾向が出ていて、前走1着【5-6-3-24】、2着【1-1-3-7】、3着【2-2-1-3】と、前走3着以内だった馬が8勝を挙げている。

前走4着以下からの臨戦は【2-1-2-26】で2勝を挙げている。勝ち馬は22年マテンロウレオ(ホープフルS6着)、17年アメリカズカップ(朝日杯FS9着)で、2頭とも前走はGⅠでの敗戦だった。GⅠ以外で4着以下だった馬については割引が必要だろう。なお今年は前走GⅠ組の登録はない。

【前走3着以内の出走予定馬】
・オープンファイア
・クールミラボー
・シェイクユアハート
・フリームファクシ
・レミージュ
・ロゼル

前走不利データ:エリカ賞のレミージュ

レミージュは前走エリカ賞1着。人気決着が多いレースで当日人気が6番人気以下は【0-1-0-32】となっていて、勝ち馬は一頭も出ていなかった。レミージュは当日11番人気で単勝170.6倍、全く評価されていなかったが勝利した点は評価できる。またエリカ賞は前走人気別成績で見ても6番人気以下だった馬は【0-0-1-17】でこちらも壊滅的な数字。レミージュは未勝利戦8番人気からの臨戦、このデータにも該当していた。

デビューから2戦はゲートが決まらずポジションを下げる競馬だったが、前走はしっかりとスタートを決めて逃げの競馬で勝利。後述するが血統的にも高速逃げの競馬が一番実力を発揮できる形と考えられるだけに、初めて本領発揮したレースだったのだろう。2着以下の次走も1勝クラスで好走している馬が複数いて、決してレベルの低いレースではなかった。好走してもあまり人気にならないタイプにみえ、今回も少頭数で展開が向くなら妙味のある一頭になるだろう。

※エリカ賞のデータは12~14年、18~21年の計7年分(15~17年は開催無し)

前走不利データ:アイビーSのオープンファイア

オープンファイアは前走アイビーS3着。同レースは前走時の脚質が重要なファクターで、前走が追込みだった馬は【0-3-0-6】と勝ち馬が出ていない。また当日の脚質においても追込みは【1-1-0-17】と決して有利なポジションだったとは言えない。

オープンファイアは前走の新馬戦、アイビーSともに追込みでの競馬。スタートを改善することができれば上積みとなる。またアイビーSでは出遅れながらも上がり最速33.3秒の末脚で0.4秒差の3着まできている点も評価できる。斉藤崇史厩舎の中京芝2000mの通算成績は【12-4-5-49】と好相性、単勝回収率125%と配当妙味もある。

※アイビーSのデータは14~21年の8年分(12~13年は開催無し)

血統解説:オープンファイア、フリームファクシ、レミージュ

・オープンファイア
母ゴーマギーゴーは輸入繁殖で現役時ガルフストリームパークオークス(GⅡ・ダート8.5F)など重賞を2勝。叔父にはホールオヴフェイムS(GⅡ・ダ8.5F)勝ち馬のWallyannaがいる血統。北米牝系らしくGhostzapper、Tale of the Catなどが血統表にならび現時点ではスピード性能の高さを見せている。

瞬発力は父ディープインパクト譲りで、加齢とともにパワータイプにシフトしていきそうな馬だ。2000mはベストな距離で中京なら前走同様差しの競馬でも十分通用しそうだが、上がりがかかる展開が希望で、スタートもポイントになるだろう。

オープンファイア血統,ⒸSPAIA


・フリームファクシ
日本での牝祖は祖母ソニンク。母ライツェントは未勝利馬だったが繁殖としては優秀で、秋華賞などGⅠ・2勝のディアドラをはじめとして重賞級の産駒を多数輩出している。ソニンク牝系はパワーとスタミナに優れたタイプが多く、時計のかかる馬場は大得意。

本馬の場合は父がルーラーシップだから持続性能に優れた中長距離馬といった感じだろう。日本の名牝系の一つと言っても過言ではないファミリーの出身で、兄弟にも活躍馬多数となれば重賞で上位争いしてもなんら不思議ない。極端な時計勝負にならなければ十分上位争いの一頭だ。

フリームファクシ血統,ⒸSPAIA


・レミージュ
母バイコースタルは現役時プレステージS(GⅢ・芝7F)2着の実績がある。バイコースタルは輸入繁殖だが祖母Ocean Queenを根幹とするファミリーは日本でも広がっていて、現役OP馬のスマートダンディーやスマートリアンは本馬の従兄弟にあたる。本馬の3代母は英セントレジャー勝ちLeading Lightの祖母で、一族としてはそれなりに活力を見せていると言えるだろう。スピード性能の高いファミリーで、短距離での活躍馬が多く出ているのが特徴だ。

スマートリアンと本馬は同じキズナ産駒で母父もMr. Greeley(Gone West産駒)とGone Westだからかなり配合としては近いのだが、本馬はキズナとZilzalの影響が強そうで中距離タイプに出ている。とはいえ瞬発力タイプではなく、エリカ賞の後半1000mのように緩めず一定のペースで押し切るタイプ。スローペースとなると苦戦を強いられそうで、スタートを決めて自分の形の競馬をできるかが課題となる。

レミージュ血統,ⒸSPAIA


Cアナライズではフリームファクシを推奨

今回のコンプレックスアナライズでは2勝馬のフリームファクシを推奨馬としてピックアップする。血統解説で挙げたその他の2頭も前走不利データを持ち合わせていて侮れないことは間違いないが、一番安定感があって軸向きなのはフリームファクシだろう。

おそらく後方からの競馬となりそうなオープンファイアは上がりがかかる展開が希望だろうし、レミージュもゲートを決めて自分のペースでいきたいだろうから求める展開が合致している。2頭の馬連やワイドも面白い馬券だろう。

他のデータ突破馬だと、シェイクユアハートは前走でフリームファクシに力負けした内容だっただけに逆転は望みにくい。ロゼルは成長の余地を残している馬体で完成度もそれほど高くなく、試金石の一戦となる。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。現在はWEBサイト『サラブレッド研究所』でも執筆を行い、競馬予想のほか一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統も独自の切り口から分析している。

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