【京成杯】マイラー苦戦、重厚なSadler's WellsやRobertoの血が活躍 有力馬の血統解説

坂上明大

京成杯の傾向と血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

皐月賞と同じ中山芝2000mを舞台に行われる京成杯。GⅠ戦線に乗り遅れた馬のための賞金加算の舞台ともいえ、春のクラシック本番に向けて非常に重要な一戦です。血統面を中心に、京成杯のレース傾向を整理していきましょう。

まず、紹介したいデータは前走距離別成績。過去10年では前走距離が長いほど成績が良い傾向にあり、マイラーにはなかなか厳しいレースとなっています。これは、前年末からの連続開催により馬場の消耗が進んだ開催後半に行われることから、豊富なスタミナが求められるためだと考えられます。先行馬の苦戦傾向もこの適性予想を後押ししており、やはりスピードだけでは乗り切れない舞台設定といえるでしょう。

京成杯の前走距離別成績,ⒸSPAIA


血統面では、Sadler's WellsRobertoといった重厚な中長距離血統の活躍が目立ちます。先述の通り、スピード重視のマイラーには厳しいレースですから、中長距離血統の活躍は当然の血統傾向といえるでしょう。特に、2016年1着プロフェットと2022年3着ヴェローナシチーはRobertoのクロス、2015年3着クルーガー、2018年3着イェッツト、2020年2着スカイグルーヴ、2022年1着オニャンコポンはNureyev≒Sadler's Wellsの3/4同血クロスを持つなど、近年は同血脈を増幅した配合馬の好走が目立ちます。

また、現役種牡馬ではハービンジャーの産駒に注目。2015年にはベルーフ、2016年にはプロフェットが2年連続で本レースを制し、昨年もロジハービンが5番人気で2着と穴を空けています。

京成杯の血統別成績,ⒸSPAIA


血統解説

・セブンマジシャン
母ハピネスダンサーはSadler's Wells系メイショウサムソンの産駒で、母方にはRobertoの血も内包します。母自身が芝1800~2000mで5勝挙げており、中山芝2000mなどの小回りコースでの実績も十分。本馬はジャスタウェイ産駒の分、現状は緩さが目立ち本格化はまだまだ先ですが、中山芝2000mの舞台適性は十分に見込めるでしょう。

・ソールオリエンス
2021年ドバイターフ2着馬ヴァンドギャルドの半弟。母父MotivatorはSadler's Wells→Montjeu系のなかでも瞬発力に優れた種牡馬で、日本の芝適性も非常に高い血統です。Blushing GroomやDanzigで機動力を強化した点も良く、少頭数の中山芝2000mはピッタリの舞台といえるでしょう。

・シャンパンカラー
3代母バルドウィナにTale of the Cat、Reckless Abandonとスピード種牡馬を掛け合わせたのが母メモリアルライフ。本馬は6代目にRobertoの血を持ちますが、マイル戦を逃げて勝利している通りスピード色が強く、今回は2000mへの距離延長がカギとなりそうです。

2023年京成杯の傾向と血統解説,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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