【阪神JF】実績と信頼のアルテミスS勝ち馬  ラヴェルが無傷で戴冠だ

門田光生

過去15年の阪神JF、前走人気別成績,ⒸSPAIA

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今年も将来有望なメンバー

2022年12月11日に阪神競馬場で行われる第74回阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神JF)。勝ち馬の名前を見ると、クラシックはもちろん、古馬になってからもGⅠで勝ち負けする馬の名前がズラリと並ぶ。現代の2歳GⅠは、スピードと完成度だけでは勝てないということだろう。今年も将来有望な馬が多数登録。そんな阪神JFにはどのような傾向があるのか。今回も過去15年の成績を基にして検証していきたい。

阪神JFの所属別成績,ⒸSPAIA


☆所属
美浦5勝(13連対)、栗東10勝(17連対)。例によって出走頭数は栗東の方が倍以上多い。勝率では互角だが、連対率だと美浦所属馬が大きく上回っている。二択、三択で迷った場合、美浦所属馬を上にとってみたい。

阪神JFの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


阪神JFの前走レース別成績,ⒸSPAIA


☆前走クラスと主な前走
勝ち馬15頭中、8頭が前走でGⅢを走っていた。続いて1勝クラスの3勝。新馬、未勝利、オープン、GⅡからも1勝ずつ出ており、どのクラスを経由してもチャンスはある。最も連対馬を多く出しているステップレースはアルテミスS。同じ前哨戦であるファンタジーSと比べて、勝率、連対率ともに倍以上の差をつけている。別路線ではサフラン賞組にも注目したい。出走した8頭中、3頭が馬券に絡んでいる。

阪神JFの前走着順別成績,ⒸSPAIA


☆前走着順
前走1着馬が12勝、前走2着馬が3勝。つまり、前走3着以下から勝ち馬は出ていない(2着は3回)。これはクリアしておきたいデータだ。

阪神JFのキャリア別成績,ⒸSPAIA


☆キャリア
勝ち馬はキャリア2戦と3戦から計14頭。残る1頭はキャリア1戦(2011年ジョワドヴィーヴル)。キャリア4戦以上の馬からは勝ち馬が出ておらず、キャリア6戦を超えると、馬券に絡んだ馬がいなくなる。

阪神JFの前走距離別成績,ⒸSPAIA


☆前走距離
前走で同じマイル戦を使っていた組から、最多の17頭の連対馬が出ている。勝率、連対率で見ると、1800m組が最もいい。前走1200m組は、該当する23頭がすべて馬券に絡めていない。

阪神JFのその他データ,ⒸSPAIA

☆その他
そのほかで気になったデータを挙げてみる。まずは前走人気。1、2番人気に支持されていた馬が11勝。前走着順ほどではないが、これもできれば満たしておきたいデータ。

逆にマイナスとなるのは、まずは連闘、もしくは中1週で挑んできた馬。29頭が該当し、連対したのは2017年の2着馬リリーノーブルだけ。続いて前走馬体重が418キロ以下だった馬。該当する16頭はすべて馬券圏外。また、前走で8頭立て以下のレースに出走していた馬も、すべて4着以下となっている。

サフラン賞勝ちは魅力だが……

阪神JFのデータをまとめていこう。まず好走確率が上がるのはA「美浦所属馬」B「アルテミスS組ofサフラン賞組」C「キャリア2or3戦」D「前走1800m」E「前走1、2番人気」。

勝率、もしくは好走確率が下がるのはF「前走3着以下」G「中1週以内」。

連対がないのはH「キャリア6戦以上」I「前走1200m」J「前走馬体重が418キロ以下」K「前走8頭立て以下」。

キャリアの浅い2歳GⅠ、しかも牝馬限定ということで使えるデータが限られており、しかも登録馬も多く、なかなか絞り切れない。そこで、近5年のデータも合わせて見ていく。

特筆すべきはサフラン賞。そこを勝った馬が4頭出走して、3頭が馬券に絡んでいる(2019年マルターズディオサ、2020年サトノレイナス、2021年ウォーターナビレラ)。今年はサンティーテソーロが挑む。美浦所属、キャリア3戦、そして前走1番人気と、プラスデータも満載。ただ今年のサフラン賞は8頭立てで、連対がないK「前走8頭立て以下」にも当てはまってしまう。さすがに本命にはできないが、人気的にも魅力で、印は入れておきたい。

過去15年でも、また近5年でも上位馬をたくさん出しているアルテミスS組から本命馬を選びたい。近5年でアルテミスSを経た勝ち馬3頭は、いずれも勝っての参戦。今年ならラヴェルで、マイナスデータを持っていない。これが本命でいいだろう。3戦3勝で阪神JFを制したのはここ5年で2頭いて、そのうち2017年のラッキーライラックは新馬→アルテミスS。ラヴェルと同パターンだ。

もう一つの前哨戦・ファンタジーS勝ち馬の、ここ5年の阪神JFでの成績を見ると、2017年ベルーガ(不出走)、2018年ダノンファンタジー(1着)、2019年レシステンシア(1着)、2020年メイケイエール(4着)、2021年ウォーターナビレラ(3着)。4頭中、2勝、3着1回なら悪くない成績といえる。というわけで、今年のファンタジーS勝ち馬リバーラも有力候補となる。

あとは、最多となる4つのプラスデータを持つモリアーナ、次点で3つのプラスデータを持つドゥーラとリバティアイランドが押さえ。

◎ラヴェル
◯サンティーテソーロ
▲リバーラ
△モリアーナ
×ドゥーラ
×リバティアイランド

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。



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