【阪神JF】Cアナライズで4頭が浮上もリバティアイランドを推奨 前走アルテミスS組は当日人気がカギ

貴シンジ

阪神JF過去10年、前走着順別成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

先週のチャンピオンズCでは推奨したシャマルが7番人気5着。直線踏ん張っていたがラスト100mで甘くなった。レースを見る限りはこれまで主戦場としてきたスプリントが最適という感じはせず、マイルがベストだろう。1ハロンの距離短縮で狙いたい。

さて、今回は12月11日(日)阪神競馬場で行われる阪神JFについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「好走&消しデータ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

今回は特別登録のあった29頭を検討対象とし、過去10年のデータを採用する。

好走&消しデータ

◆前走重賞組が中心 1勝クラス組とOP組は条件付き

阪神JF 前走クラス別成績,ⒸSPAIA


最初はローテーションのデータから見ていく。前走重賞組が中心でGⅢ【8-4-6-57】、GⅡ【0-1-1-7】となっている。OP組は【1-1-0-16】と馬券内に好走した2頭はいずれもアイビーSからの臨戦だった。1勝クラス組は【1-4-2-42】だが馬券内に好走した馬は全て前走1着。新馬戦組は【0-0-1-13】で好走は1頭のみ。14年のロカは鮮やかな新馬勝ちで1番人気に支持されたが凡走した。こういった例もあるため過信は禁物。未勝利戦組は馬券内の好走がない。

【前走アイビーSを除く、OPクラスからの出走予定馬】
・ウンブライル
・モリアーナ

【前走1勝クラスかつ、2着以下の出走予定馬】
・エイムインライフ
・コンクシェル
・ダンシングニードル
・メイショウコギク

【前走未勝利戦の出走予定馬】
・ハウピア
・ユリーシャ

◆前走連対馬が狙い 3着以下は重賞での好走歴必須

阪神JF 前走着順別成績,ⒸSPAIA


続いて前走着順別成績を見ていく。勝ち馬が出ているのは前走2着まで。前走3着は【0-1-1-7】で好走した2頭は重賞からの臨戦。4着以下に関しては【0-1-1-51】、馬券内に好走した2頭は過去に重賞での連対経験があった。2着以内の好走を見せている勢い、もしくはこれまでに重賞で通用した実力、どちらかを有している必要がある。

【前走重賞以外で3着、もしくは前走4着以下で重賞連対歴がない出走予定馬】
・アロマデローサ
・エイムインライフ
・コンクシェル
・サラサハウプリティ
・マラキナイア
・ミシシッピテソーロ

◆キャリアは2戦or3戦がベスト 5戦以上は好走例なし

阪神JF キャリア別成績,ⒸSPAIA


ここまで積んできたキャリアの数も重要なファクターの一つとなる。キャリア2戦が【5-4-4-32】、3戦が【5-4-5-50】でほとんどの好走馬はどちらかに当てはまる。1戦と4戦の馬は好走例があるが、キャリア5戦以上の馬に関しては全く馬券に絡めていない。多くてもキャリア4戦以内の馬から狙っていくのが良いだろう。

【キャリア5戦以上の出走予定馬】
・ミスヨコハマ

◆アルテミスS連対馬が人気なら素直に信頼

前走アルテミスS連対馬の人気別成績,ⒸSPAIA


続いてはアルテミスS組に関する好走データ。前走アルテミスSで連対していた馬が当日3番人気以内だった場合は【4-2-0-4】と高い確率で好走している。今回は1着ラヴェル、2着リバティアイランドがともに出走予定、実力を認められ上位人気となる場合は軽視禁物だ。

前走不利データ:アリスヴェリテ、キタウイング

・アルテミスS、アリスヴェリテ
アリスヴェリテの前走はアルテミスS3着。2走前は野路菊Sだが、アルテミスSでは前走OPクラスで4番人気以下だった馬は【0-0-0-8】。アリスヴェリテは野路菊S5番人気でこのデータに該当していたが、3着と好走した。多少の展開利はあったかもしれないが、今回上位人気が想定される2頭とは差のない3着、今回通用しても不思議はない。

・新潟2歳S、キタウイング
キタウイングは前走新潟2歳Sで1着。この時は前週の未勝利戦を勝利し、連闘での挑戦だった。新潟2歳Sに中1週以下で出走した馬は【0-0-0-7】、同馬は見事に不利データを覆して勝利した。今回はしっかりと間隔をあけたローテーションだけに、状態面での上積みは見込める。

血統解説:ラヴェル、リバティアイランド

・ラヴェル
父はキタサンブラック。日本での牝祖は10代母シユリリーと長く日本で繋がってきた牝系だ。オグリキャップなどもこのファミリーだが、近いところでは3代母キョウエイマーチから活力を見せていて、叔母にはBCディスタフ勝ち馬のマルシュロレーヌ、半姉にはチューリップ賞勝ちのナミュールがいるという血統で非常に活力がある。

サンデーサイレンス3×3を中心にきつめのインクロスを持っているが、しなやかなスピードと瞬発力を有しており近親交配が上手く成功している一頭あd。父キタサンブラックも本格化は古馬になってからで、牝系も成長力のある一族だけに本格化はまだ先。本質的な距離適性はもう少し長いところにありそうで、そこまで追走力を求められない展開になればこの舞台でも有力な一頭だ。

・リバティアイランド
父はドゥラメンテ。母ヤンキーローズは現役時オーストラリアでスプリングチャンピオンS(GⅠ・芝2000m)とATCサイアーズプロデュースS(GⅠ・芝1400m)を勝利した。牝系を辿ればビコーペガサスやシンボリグランなども同じ一族だ。

母が早期から活躍したように、現時点での完成度も高い。初戦のインパクトが強く瞬発力が魅力の一頭だが、トライマイベストとEl Gran Senorの全兄弟の血も有していて、決して一瞬のスピード一辺倒の馬ではなく、阪神の急坂も難なくこなしてくるだろう。前走は追い出しを待たされる形となりラヴェルに一歩届かなかったが、GⅠのペースになれば逆転も可能だ。

前走で最も強い競馬を見せたリバティアイランドを推奨

好走データで取り上げた2頭に前走不利データはなく、前走不利データで取り上げた2頭も消しデータには当てはまらなかった。ゆえに今回のコンプレックスアナライズは難しい。

今回はその中でもリバティアイランドを推奨馬として取り上げたい。同馬は前走不利データこそ持ち合わせていないが、当日は人気が予想されるため、アルテミスS組の好走データには当てはまる可能性が高い。また血統面からも2歳戦で推奨できる早熟性と、GⅠで通用するだけの活力を有している。中内田厩舎は2歳重賞で【11-3-1-7】と強い厩舎であることも加点材料だ。前走のラスト1Fはラヴェルより本馬の方が速く、完全に脚を余した形だっただけに、今回は逆転する可能性は十分ある。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。現在はWEBサイト『サラブレッド研究所』でも執筆を行い、一口馬主クラブ募集馬や、セリ馬の血統を独自の切り口から分析している。

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