【ジャパンC】スローからの瞬発力勝負適性に注目! 京大競馬研の本命はヴェラアズール

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昨年はコントレイル有終の美、今年は……
11月27日(日)にジャパンC(GⅠ・芝2400m)が東京競馬場で行われる。昨年は現役最終戦となったコントレイルが勝って有終の美を飾り、1~3番人気の馬が馬券内を占める堅い結果となった。今年はその3着馬シャフリヤール、天皇賞(秋)3着馬ダノンベルーガ、京都大賞典で強い勝ち方を見せたヴェラアズールなど注目の馬が揃った。過去のレースのラップなどを踏まえて予想していく。
展開を左右するユニコーンライオン

今回はユニコーンライオンの逃げが濃厚。そこで、まずユニコーンライオンがこれまで逃げてきた4レースについて前後半のラップを調べた。
はじめに前走福島記念(福島芝2000m)。前後半59.4-60.8、1.4秒の前傾ラップを刻んでおり、程度に差はあるがパンサラッサのような逃げを打っている。ただ、このようなラップになった理由としては、シャムロックヒルやロザムール、ベレヌスなど他の逃げ馬との争いを600m前後までしていたことが大きく、パンサラッサのように自発的にハイペースを作ったわけではないことに注意したい。
それ以前の3レース(21年鳴尾記念、21年宝塚記念、22年京都大賞典)は福島記念とは異なり、後傾ラップを作る逃げを打っている。鳴尾記念(中京芝2000m)は序盤に2度1F13秒台の区間があり、前半5F62.3秒でレースを進め、ラスト4F全てが12.0秒を切る典型的なスローペースの逃げ。宝塚記念(阪神芝2200m)はGⅠにしては先行馬が少ないレース、かつ自身の距離不安もあって、良馬場の阪神芝2200mとしては比較的スローな前半5F60.0秒という展開、前後半5Fでは1.5秒の後傾ラップ。今年、重馬場の同コースで行われたエリザベス女王杯の前半5Fが60.3秒で、0.1秒の前傾ラップ。これを比較対象にすると分かりやすい。
先日の京都大賞典(阪神芝2400m)での逃げは前半5Fが60.7秒となっていて、数字だけを見ればそこまでスローという風には見えない。しかし、スタート直後から出ムチを使ってまで先行しようとしたアフリカンゴールドとの争いで2F目が11.2秒と速くなっただけで、その後は1600m通過まで12秒台のラップ。スローの逃げというべきだろう。
以上より、他の馬が競りかけなければ比較的緩やかなラップを刻んでいることが分かる。今回はこの馬の距離適性的には長い2400mであり、一度怪我をしている身での中1週。まして、競りかけてくる逃げ馬はおろか、先行馬の数も少ない状況。スローな逃げを打つ可能性が高い。
さらに、騎手や陣営のコメントを見る限り、ヴェラアズールやダノンベルーガは当然として、シャフリヤールやオネストあたりも瞬発力勝負を望んでおり、有力馬が道中でレースを動かしてくる可能性は低い。動いてくるとすればユーバーレーベンやハーツイストワール、トラストケンシンあたりであるが、位置取りや力関係などを考えれば展開に大きな影響を与えることは考えにくい。基本的にスローからの瞬発力勝負と想定したい。
瞬発力勝負で分がある馬を評価
◎ヴェラアズール
「2400mの瞬発力勝負」という条件ではかなり高い能力を持つ馬。京都大賞典は先述のようにスローな展開で、レースが動き出したのはラスト3F辺りから。差しきるのは中々難しい展開になったが、結果は2馬身半差を付ける快勝。この馬にベストと思われる若干湿った馬場で、2着ボッケリーニでも上がり3F33秒台を出せたことを踏まえれば、上がり3ハロン33.2秒という数字自体は評価しにくいが、究極の瞬発力勝負で優れたパフォーマンスが出せることは示した。
前々走ジューンSは前半5F63.8秒というスローで進み、ラスト4Fから11秒台中盤のラップが刻まれたレースであった。逃げたブレークアップに有利な展開を差し切って着差0.3秒をつけており、こちらのレースでも瞬発力勝負への適性の高さを見せている。後に、ブレークアップがGⅡを勝利したことを思えば、レベル的にも評価できる一戦であったことは間違いない。
今回も得意な瞬発力勝負になることが濃厚。ここまでの調整過程も出走馬の中では順調な方で、鞍上にムーア騎手を用意するなど陣営も勝負気配十分。土曜日に若干ではあるが雨が降りそうなのもこの馬にとってはプラス。人気はしそうだが、本命にする価値は十分あり。好走を期待する。
◯ダノンベルーガ
前走はパンサラッサ以外実質スローからの瞬発力勝負になったレースで、その中で高いパフォーマンスを見せた。2400mは適性からすると若干長い印象を受け、実際ダービーでもハイペースを先行したアスクビクターモアと最後は脚色が一緒になった。しかし、ダービーは素人目でも分かるくらいにイレ込んでおり、少なくともあの時よりはいい精神状態で迎えられるだろう。スローペースで、他の馬と斤量差が2kgあることも踏まえれば、距離をごまかせる可能性はある。状態面で前走からの上積みはなさそうだが、元々の能力は高い。馬券圏内は狙える。
▲ハーツイストワール
前走は鞍上のエスコートが完璧で、2着という結果自体は評価しにくいが、左回りへの高い適性が分かったのはプラス点。距離もこれくらいがベスト。展開次第で33秒台の上がりは使えるので十分勝負になる。最近好調の鞍上にも期待できる。
△シャフリヤール
能力は高い。良くも悪くも全兄アルアインに似てきている。個人的に国内のGⅠで最も合うのは、このレースではなく大阪杯ではと思っている。
×ボッケリーニ
先行力はある。大外枠はマイナス。
×ヴェルトライゼンデ
左回りは合う。
買い目としては、◎から印を付けた馬への3連複流しで勝負。人気馬は買い要素が少なく、穴馬は強く推したいポイントが少ない、難しいレースだ。
▽ジャパンC▽
◎ヴェラアズール
◯ダノンベルーガ
▲ハーツイストワール
△シャフリヤール
×ボッケリーニ
×ヴェルトライゼンデ
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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