【マイルCS】逃げ馬不在のスローペースならサンデーサイレンス系 有力馬の血統解説
坂上明大

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近年のマイルGⅠはスローペース傾向
下半期の芝マイル王決定戦・マイルチャンピオンシップ。今年も阪神芝1600mを舞台に行われますが、近年のマイルGⅠはスローペースの傾向が強く、今回の登録馬を見ても確固たる逃げ馬不在で速い流れは見込めない印象。ペース適性も含め、マイルCSに強い血統を整理していきましょう。
傾向解説
過去10年の古馬混合の阪神芝1600m重賞を「a.前後半3F前傾0.1秒以上」と「b.前後半3F後傾0.0秒以上」で分類すると適性差、そして血統傾向が見えてきます。
まずは「前走距離別成績」。bでも回収率は距離延長の方が優秀ですが、好走率においては距離短縮の方が優秀な成績を残しています。ただ、aでは圧倒的に距離延長の方が成績が良く、反対に距離短縮で好走したのは1頭のみという極端な成績差となっています。これにはペース適性の差が大きく関係しており、スローペースでは中距離寄りの適性が求められ、ハイペースでは短距離寄りの適性が求められるというわけです。
次に「父系別成績」。aとbではサンデーサイレンス系の好走率に大きな差があることがわかります。サンデーサイレンスは1990年代以降の日本の血統地図をたった一頭で塗り替えた大種牡馬ですが、JRAでのGⅠ勝ちの2/3は芝2000m以上でのものという芝中距離指向の強いタイプ。同父系の成績差からも、スローペースなら中距離血統、ハイペースなら短距離血統といった狙いが立つのではないでしょうか。
今年は確固たる逃げ馬不在でスローペースになりそうなメンバー構成。実績的にも血統的にも中距離指向の強いタイプを狙うのが良さそうです。
血統解説
・シュネルマイスター
母セリエンホルデは2016年独オークス馬。父Kingmanは欧州のマイルGⅠを爆発的な瞬発力で制しており、本馬は芝1600~1800mでの瞬発力勝負がベストではないでしょうか。サンデーサイレンスの血は持ちませんが、スローペースの阪神芝1600mはピッタリの舞台です。
・サリオス
母サロミナは2012年独オークス馬。父ハーツクライも中長距離で結果を残したサンデーサイレンス系種牡馬で、本馬も芝1600~2000mが適距離でしょう。シュネルマイスターほど瞬発力に長けたタイプではありませんが、デインヒルなどが入る分持続力ではこちらが上。仕掛けどころ次第では逆転もありそうです。
・ソダシ
クロフネ×キングカメハメハ×サンデーサイレンスという配合形で、好走実績も1600~2000m。ただ、サンデーサイレンスの血は持ちますが、相対的にはパワーやタフさに長けたタイプで、芝マイルGⅠではハイペースの方がチャンスは大きいでしょう。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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