【マイルCS】出走馬唯一の「前走GⅠ」組 シュネルマイスター、今年こそ頂点へ

門田光生

マイルCSの性別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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「最も堅く収まるGⅠ」?

2022年11月20日に阪神競馬場で行われる第39回マイルチャンピオンシップ(マイルCS)。下半期のマイル王者を決める注目の一戦。ひと昔前は「最も堅く収まるGⅠ」と言われたが、果たして近年はどのような傾向が出ているのか。今回も過去15回の成績を基にしてデータ検証していきたい。

 マイルCS出走馬の所属,ⒸSPAIA
出走馬の年齢,ⒸSPAIA
出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆所属、年齢、性別
近15年で美浦5勝(9連対)、栗東10勝(21連対)。出走頭数は栗東所属の方が倍以上多いことを考えると、東西ほぼ互角と考えていい。

性別で見ると、牡馬・セン馬が27連対(12勝)。牝馬は2008年ブルーメンブラット、2020、2021年グランアレグリアの3勝だけ。勝ち星だけでなく、連対率も牡馬に比べて数字が低く出ている。安田記念は牝馬優勢の傾向だったが、同じマイルのGⅠでも傾向が少し違うところが面白い。

最も連対馬を多く出している世代は4歳馬で、13連対(5勝)。次いで5歳馬の10連対(5勝)。勝率、連対率だと4歳馬がほかの世代を大きくリードしている。7歳以上は24頭が出走して、勝ったのは2009年のカンパニー(8歳)だけ。近5年では6歳以上で馬券に絡んだ馬は出ていない。

出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと主な前走
連対した馬はすべて前走で重賞を使っていた。その内訳は、GⅠ組7勝(10連対)、GⅡ組4勝(11連対)、GⅢ組4勝(9連対)。勝率、連対率では前走GⅠ組が大きくリード。また、クラス関係なく前走でハンデ戦に出走していた馬は、1頭も連対していない。

最も勝ち馬を多く出しているステップレースは天皇賞(秋)の4勝(5連対)。連対馬が最多なのは富士Sの8連対(3勝)。ただ、8連対はすべてGⅢ時代のもので、GⅡに昇格後は【0-0-1-7】と、もうひとつ結果が出ていないのが気になるところ。また、ステップレースであるスワンSも、近5年で【0-0-2-16】と連対馬が出ていない。

マイルCSにおけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げていく。まず前走着順だが、10着以下だった59頭はすべて本番で4着以下となっており、ふたケタ着順から巻き返した馬はいない。前走で1秒以上負けていた馬48頭もすべて馬券圏外。そして、前走が7番人気以下だった馬は86頭が該当し、連対したのは2012年1着馬サダムパテック(10番人気)だけ。この3つのデータに当てはまると、評価を下げた方が無難。

続いて脚質だが、前走で逃げた馬25頭中、連対したのは2016年1着馬ミッキーアイルのみ。マイルCS本番で逃げ切ったのもミッキーアイルだけなので、ハナにこだわる馬には厳しいレースのようである。

前走GⅠ組が1頭だけ

マイルCSのデータをまとめてみよう。まず好走確率が上がるのはA「4歳馬」B「前走GⅠ」。

好走確率が下がってしまうのはC「牝馬」D「6歳以上」E「前走7番人気以下」F「前走で逃げた、または今回で逃げそうな馬」。そして連対例がないのはG「前走10着以下」H「前走で1秒以上の負け」。

今回の登録馬を見て気づいたのは、最も勝ち星を挙げている天皇賞(秋)組が1頭もいないこと。それどころか、好走データB「前走GⅠ」に該当するのが、シュネルマイスターしかいなかった。シュネルマイスターは、同じく好走データのA「4歳馬」でもあり、マイナスデータが1つもない。というわけで、今回はこの馬が中心でいいだろう。ペルシアンナイト、インディチャンプ、そしてグランアレグリアと、近年は2年続けて馬券に絡んでいる馬が出現しており、昨年2着だったこの馬も、連続で馬券に絡む可能性は高いとみた。

その意味でいえば、昨年の3着馬ダノンザキッドも同様。好走率の高い4歳馬で、しかも目立った減点材料はなく、これが対抗評価。

天皇賞(秋)の次に相性がいいのは富士Sなのだが、前述のとおり、GⅡに昇格してから1頭も馬券に絡んでいない。また、6頭の連対馬を出しているスワンS組もここ5年は不振。これらを使ってきた組は思い切って切ってみる。

代わりに、近年も安定して結果を出している毎日王冠組のサリオス、ジャスティンカフェが3、4番手。最後にウインカーネリアンを。今回のメンバーを見ると逃げ馬が見当たらず、この馬がF「今回で逃げそうな馬」の有力候補になるのだが、それ以外に減点なし。関屋記念組は【0-0-0-2】だが、サンプルが少ないのでそこまで気にしなくていいだろう。

◎シュネルマイスター
◯ダノンザキッド
▲サリオス
△ジャスティンカフェ
×ウインカーネリアン

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
ステップレースや前哨戦という言葉がありますが、GⅠでも休み明けで挑むのが日常になった今、この言葉は使いづらくなってきましたね。時代の流れを感じます。

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