【エリザベス女王杯】11年ぶりの外国馬参戦! マジカルラグーンは買えるのか?

東大ホースメンクラブ

2022年エリザベス女王杯に出走するマジカルラグーンに関するデータ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

例年難解なGⅠ、スパイスを加える外国馬

今週日曜、阪神競馬場でGⅠエリザベス女王杯が行われる。春のヴィクトリアマイルから舞台を中距離に移しての現役最強牝馬決定戦に、今年も才媛たちがエントリー。前哨戦の府中牝馬Sを勝ったイズジョーノキセキ、オールカマー覇者ジェラルディーナ、そのオールカマー6着から巻き返したい三冠牝馬デアリングタクトといった古馬勢に、今年の秋華賞ワンツー・スタニングローズとナミュール、春の二冠で健闘し、前走の3勝クラスを圧勝したピンハイなどの3歳勢が挑む。

昨年は10番人気のアカイイトが勝ち、3連単300万超え馬券が飛び出す大波乱の決着となった。そこに加えて今年は外国馬マジカルラグーンが参戦し、難易度がさらに上昇する。2010年・2011年連覇のスノーフェアリー以来となる外国馬の出走とあって快走に期待が高まるところだ。今週は馬券検討の一つのカギとなる「マジカルラグーンの取捨」に焦点を絞り、同馬のプロフィールや過去データからヒントを探していく。

マジカルラグーンの蹄跡

まずはマジカルラグーンのプロフィールを紹介。

アイルランド生まれの3歳馬、トレーナーはJ.ハリントン夫人、愛1000ギニーからGⅠ・4連勝を飾ったアルファセントーリなどを管理しており、直近2年のアイルランドリーディングではオブライエン親子に続く3位に位置する名伯楽だ。父はガリレオ、母はナイトラグーンという血統構成で、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスなどGⅠ・4勝馬のノヴェリスト(父モンズン)の半妹にあたる超良血。

初戦のマイル戦は4着に敗れたものの、次走のフレームオブタラS(GⅢ)では最内枠のスタートから中団後方に控え、ゴール前で末脚を伸ばす競馬で初勝利・重賞初制覇。3歳シーズンではリステッド2着から始動し、イギリス遠征となったアスコット・リブルズデールS(GⅡ)では道中3番手の競馬から、類まれな勝負根性でライバルを競り落として勝利。さらに大一番・愛オークス(GⅠ)でも2番手から迫るライバルを振り切ってついにGⅠ馬となった。ヨークシャーオークス(GⅠ)は5着だったが、勝ち馬アルピニスタはのちにGⅠ・6連勝で凱旋門賞を制し、2着チューズデイも今秋のBCフィリー&メアターフを制すなど、世界的に見ても現役最強クラスの牝馬が相手だった。

ヨーロッパ競馬の斤量体系の関係上、これまでの7戦で最も軽かったケースで57kg。エリザベス女王杯では54kgとかなり軽くなり、明確なプラス材料だろう。ただ同様にヨーロッパでは少頭数の競馬が珍しくない背景もあり、経験した最多の頭数はデビュー戦の14頭、それ以降は全て一桁の頭数でのレース。フルゲートがほぼ確定しているエリザベス女王杯ではスムーズに先行できるかがカギとなりそうだ。

3勝クラス以上で好走例のないガリレオ産駒

マジカルラグーン・関連データ,ⒸSPAIA


<マジカルラグーン・関連データ>
エリザベス女王杯・外国馬【2-0-1-8】勝率18.2%/連対率18.2%/複勝率27.3%
ガリレオ産駒・3勝クラス以上【0-0-0-22】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
フォーリー騎手・JRA【19-29-38-270】勝率5.3%/連対率13.5%/複勝率24.2%

さらにマジカルラグーンに関連するデータを多角的に確認していく。

エリザベス女王杯に参戦してきた外国馬は延べ11頭。前述したスノーフェアリーの連覇の他、2003年3着のタイガーテイルが好走した。アイルランド産馬のくくりでは【2-0-0-3】、2009年4着シャラナヤが馬券圏内に近づいた。なお、同コースとなる宝塚記念は海外馬【0-1-0-1】、2018年に香港のワーザーが10番人気2着と激走している。

マジカルラグーンの父、ガリレオ産駒のJRA成績は微妙。37頭とサンプルが少ないものの該当馬は2勝クラスまでしか勝ち鞍がなく、3勝クラス以上では馬券圏内が皆無。ハイレベルなレースではスピード負けするシーンが目立っている。

鞍上のシェーン・フォーリー騎手は2016年~2018年、2020年に来日経験があり、JRAで計19勝を挙げている。平均人気が7.2と主役級の馬とコンビを組むケースが少ないとはいえ、好走率はそれほど高くなく、単勝回収率42%・複勝回収率76%は強調材料に乏しい数字だ。阪神芝コースでは【0-1-0-10】とさらに信頼度が落ちるため、軸として馬券を組むのは避けた方が良さそうだ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

《関連記事》
【エリザベス女王杯】デアリングタクトら5歳馬は全消し! 本命候補は4歳馬の2頭
【エリザベス女王杯】古馬勢からイズジョーノキセキ、ジェラルディーナ、ウインマリリン 案外勝てない3歳の扱いがカギ
【エリザベス女王杯】秋の女王決定戦はリピーターの活躍多数 2019年・2020年連覇を果たしたラッキーライラック

おすすめ記事