【エリザベス女王杯】秋の女王決定戦はリピーターの活躍多数 2019年・2020年連覇を果たしたラッキーライラック
緒方きしん
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故・エリザベス女王に捧げる名勝負を
アルゼンチン共和国杯はブレークアップが勝利。父ノヴェリスト、母父クロフネ、母母父キングズベストという血統を興味深く見ていたファンも多いのではないだろうか。今後の飛躍についても期待が高まる。
さて、今週はエリザベス女王杯が行われる。今年の9月8日に96歳で亡くなったエリザベス女王は、競馬界の発展に大いに貢献した偉人でもあった。その訃報から最初のエリザベス女王杯となるが、果たしてどのようなレースになるだろうか。
過去にはホクトベガやヒシアマゾン、トゥザヴィクトリーやダイワスカーレットらが勝利した一戦。クィーンスプマンテの大逃げやスノーフェアリーの鋭い末脚など、記憶に残るレースが多い。今回は、そんなエリザベス女王杯の歴史を振り返る。
1番人気は苦戦中
ここ5年で1番人気は1勝。2020年にラッキーライラックが1番人気に応えた。この勝利は2011年のスノーフェアリー以来と、1番人気の苦戦が続いている。
昨年1番人気のレイパパレは6着に敗北。1着は10番人気のアカイイト、2着は7番人気のステラリア、3着は9番人気のクラヴェルと、伏兵が躍進した。馬連は518.7倍、三連単は33939.6倍と波乱が巻き起こった。
また、リピーターが多いのもエリザベス女王杯の特徴。ラッキーライラックやスノーフェアリー、アドマイヤグルーヴらが連覇しているほか、クロコスミアが3年連続2着、ヌーヴォレコルトやオースミハルカが2年連続2着、ラヴズオンリーユーやミッキークイーン、アパパネらが2年連続3着となっている。
3歳シーズンの悔しさを晴らしたラッキーライラック
メジロドーベルは吉田豊騎手、アドマイヤグルーヴは武豊騎手、スノーフェアリーはムーア騎手とのコンビで連覇を達成したが、2019年・2020年のラッキーライラックはそれぞれスミヨン騎手、ルメール騎手と、異なる2名の騎手を背に連覇を達成した。
オルフェーヴル産駒のラッキーライラックはデビューから4連勝で阪神JFやチューリップ賞などを勝利。クラシック路線での活躍も期待され、桜花賞では1.8倍の1番人気に支持された。しかし初対決となったアーモンドアイを前に2着に敗れた。そこからアーモンドアイが牝馬三冠を達成する中、ラッキーライラックはオークス3着、秋華賞は9着と敗れた。
強烈なライバル・アーモンドアイとの出会いを境に連敗のトンネルに突入してしまったラッキーライラック。古馬となってからも、中山記念で6番人気2着、府中牝馬Sで2番人気3着などなかなか勝ちきれない日々を過ごした。そんな中、乗り替わりでスミヨン騎手を鞍上に迎え臨んだ一戦が、2019年のエリザベス女王杯だった。
1番人気に推されたのは、3歳のラヴズオンリーユー。逃げるクロコスミア、2番手のラヴズオンリーユーが粘る中、ラッキーライラックが鋭い末脚で差し切った。上がりはメンバー中最速の32.8。上がり2位の33.2に大きく差をつけた。まさにレース史に刻まれる素晴らしい走りだった。
翌年の大阪杯ではM.デムーロ騎手を背に牡馬を撃破。宝塚記念では6着、札幌記念では3着と敗れたものの、ルメール騎手に乗り替わって挑んだエリザベス女王杯では1番人気に推された。大外枠となったラッキーライラックだったが、外から早めに仕掛けるとそのまま押し切る強い勝ち方をみせたのだった。3歳シーズンではアーモンドアイに苦汁を嘗めさせられたラッキーライラックが、古馬となって3人の外国人騎手でGⅠを制したことは、記憶に強く刻まれた。
古馬vs3歳馬の行方は
今年は昨年の勝ち馬アカイイト、4着馬ソフトフルートや5着馬イズジョーノキセキらが参戦を予定。また、登録馬にはオルフェーヴル産駒のライラックやクリノプレミアムらが名を連ねる。
3歳勢からはスタニングローズやナミュール、ピンハイらが登録。古馬勢もデアリングタクトやウインマリリンといった実績馬、勢いに乗るジェラルディーナらが参戦を予定している。今年のエリザベス女王杯もまた、古馬vs3歳馬の戦いでもある。
その年のオークス馬を撃破したラッキーライラックのように、古馬勢が分厚い壁として立ちはだかるのか。それとも、モズカッチャンやメイショウマンボのように3歳が古馬を打ち破るのか。今年のエリザベス女王杯にも、ぜひご注目いただきたい。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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