【武蔵野S】とにかく東京実績を最重要視! 4連勝レモンポップ、反撃期すタガノビューティー、アドマイヤルプスに注目

勝木淳

武蔵野Sインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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6歳4勝、ベテランにも注意

東京ダート1600mはフェブラリーSの舞台なので、コースの価値は担保されているものの、他のコースとの適性の差に開きがある難しさを抱えている。芝スタート、ワンターン、かつマイル戦はここだけ。このコースなら滅法強い馬がいる反面、次走以降のつながりに困る。

武蔵野SもフェブラリーSにつながる可能性は高いが、本番のチャンピオンズCではこの10年【1-2-0-24】勝率3.7%、複勝率11.1%。なによりダート戦線は賞金水準が高く、ここでしっかり加算したい意欲とコース適性を買いたい。JBCやみやこSが近いここは新興勢力にとってチャンスでもある。データは過去10年間を使用する。


過去10年武蔵野S人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気の傾向から。1番人気【3-1-1-5】勝率30.0%、複勝率50.0%など3番人気以内6勝。まずは人気重視でいい。ただし、6~9番人気が1勝ずつ、複勝率では8番人気40.0%までは可能性アリ。10番人気以下の3着以内は4頭で、ゾーンを狭めたくない。


過去10年武蔵野S年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢は3歳が【2-3-2-16】勝率8.7%、複勝率30.4%とまずまず。今年はセキフウがスタンバイ。東京マイルはユニコーンS2着がある。一方で4歳は【1-1-1-19】勝率4.5%、複勝率13.6%と振るわず。年齢で狙うなら6歳【4-1-3-25】勝率12.1%、複勝率24.2%だ。4勝は8、9、3、3番人気。その顔ぶれはタガノトネール(前年2着)、ワンダーリーデル(当時東京2勝)、サンライズノヴァ(2年前覇者、当時東京6勝)、ソリストサンダー(前年2着)と東京巧者がズラリ。今年も6歳東京巧者は買い目に入れよう。


賞金を加算したいタガノビューティーとアドマイヤルプス

年齢傾向でも触れたように、このレースは東京実績がカギを握る。ここからは前走傾向を参考に前走成績から具体的に好走パターンに一致する馬を探り、さらに東京実績にも触れる。


過去10年武蔵野S人前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績が特徴的だ。ダートはJRA重賞が少ないため、前走重賞組は頭数も多くなく、好走も少なめ。その分、前走地方が【5-4-2-22】勝率15.2%、複勝率33.3%と目立つ。主な好走ルートはコースに類似点が多いマイルCS南部杯が【2-3-0-12】勝率11.8%、複勝率29.4%。今年は6着サンライズノヴァ、9着エアスピネルが参戦するが、5着以下は【0-2-0-4】複勝率33.3%。エアスピネルは昨年マイルCS南部杯6着から巻き返した。その前年も3着で、フェブラリーS2着と東京ダートは勝ち星こそないが、重賞で強い。サンライズノヴァともども候補に入れたい。


過去10年武蔵野S前走OP・L組コース別成績,ⒸSPAIA


中央では前走オープン・L【4-4-4-60】勝率5.6%、複勝率16.7%に注目。ここは前走東京が断然で、同舞台【0-1-0-3】複勝率25.0%、1400m【3-1-3-26】勝率9.1%、複勝率21.2%、2100m【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%と上位に並ぶ。

しかしこのデータは取り扱いに注意。なぜなら主要ローテのグリーンCC【2-0-3-19】勝率8.3%、複勝率20.8%が昨年までのダート1400mから今年1600mに変更されたからだ。傾向に変化があるか注目したい。

前走東京ダート1400mでグリーンCC以外は【1-1-0-7】。今年は天皇賞(秋)当日にダート1400mのオープン特別ペルセウスSが施行。レモンポップが4連勝を決めた。6勝すべて東京コースであり、屈指の東京巧者が満を持しての重賞初挑戦。時期はずれるが、ペルセウスSをグリーンCCのかわりと仮定し、前走オープン東京ダート1400m1着【2-1-1-4】勝率25.0%、複勝率50.0%を当てはめると買える。4連勝の内容も濃く、着差は0.5、1.0、0.4、0.7差とワンサイド。1600mは2歳カトレアS1着以来だが、スピード能力は証明済みだ。

今年のグリーンCC組は2着ギルテッドミラー、3着タガノビューティー、9着アドマイヤルプス。ギルデッドミラーはダート転向後1、2着。芝向きの馬が好走しやすい舞台だけに引き続き注目。またタガノビューティーは全6勝中5勝が東京。重賞Vはこの舞台しかない。アドマイヤルプスも休み明けの前走は崩れたが、東京は【3-4-0-2】。休養前は同舞台OP・Lで2、1着、巻き返し必至だ。

キタノヴィジョンの前走東京ダート2100mは3着以内【1-1-0-3】、6着以下【0-0-0-5】。前6着敗退のキタノヴィジョンはどうだろうか。またほかのコースでは中山ダート1800m【0-0-0-6】。ラジオ日本賞1着アシャカトブはコース替わりを克服したい。自身の東京成績は【2-1-1-5】。凡走もあるが、昨年OP勝ち。克服する余地はある。

前走3勝クラスもポイントは東京で、前走が東京ダート1600mだと【1-0-1-5】勝率14.3%、複勝率28.6%、それ以外は【0-0-0-7】と好走なし。東京ダート2100m赤富士Sで強かったペプチドナイルは初の1600m出走。スピード競馬への対応はどうか。

最後にJRA重賞からシリウスS【0-2-0-7】複勝率22.2%。今年は7着ハヤブサナンデクンが該当。6~9着【0-2-0-1】なので有望だが、ここも注意。シリウスSはこの3年中京ダート1900m。過去2年シリウスSは【0-0-0-3】で好走はない。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』(星海社新書)に寄稿。


武蔵野Sインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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