【みやこS】サンライズホープが流れを味方にイメージ一新! オメガパフュームは偉業へ好発進
勝木淳
ⒸSPAIA
乾燥したダート、息の入らない流れ
5回京都が阪神に代替されて3年目。開幕週のみやこSは2020年1、4、9番人気、21年5、6、10番人気、そして今年が11、2、1番人気と波乱度を増す。特に昨年と今年は差し決着。基本的に先行勢が強いダートの差し決着はことさら予想が難しい。チャンピオンズCへのつながりも判断しにくく、差し決着は次につながることが少ない点はまず大前提として押さえておくべきだろう。
阪神芝は連続開催中でもクッション値9.6前後で安定。頑健な馬場は10月から標準より速い状態を維持する。これはつまり開催中も含め、最近一ヵ月降雨が少ないことを意味する。言いかえれば、冬の入り口特有の乾燥状態。乾燥したダートは重く、芝とは対照的に時計を要していく。みやこSも決着時計1.51.6が直近2年と比べると遅く、これが波乱を呼んだのは事実だ。
遅い決着の要因は流れにもある。ハナ候補と目されたメイショウフンジン、メイショウドヒョウのメイショウ2騎に対し、4番人気ウィリアムバローズがスタートを決め、先手を主張した。1、2コーナー付近400~600mで13.7と一気にペースダウンし、ペースを作ったが、メイショウフンジン、アイオライト、メイショウドヒョウのマークがきつく、その後、向正面で12.3-12.1とラップが上昇。先行勢にとって息が入りにくく、前半1000m1.01.7は馬場を考えれば、平均的で決してウィリアムバローズのマイペースではなかった。
まして、先頭を走るのは上位人気馬。前半1000m通過後12.5とわずかにペースを落とした時点で、後続に見逃されず、動かれてしまった。最初に上昇開始したヒストリーメイカーを合図にサンライズホープが進出開始。自然とペースアップを余儀なくされ、4コーナーで外からマクられると、先行勢に余力はなかった。それでも一旦は突き放す形をみせたウィリアムバローズは意地こそ見せたものの、そこまでだった。
惜しかった2着ハギノアレグリアス
ヒストリーメイカーを目標に動いたサンライズホープが最後にねじ伏せた。最初に動いたヒストリーメイカーは7着だったので、サンライズホープのタイミングは絶妙にハマった。昨年シリウスS勝利は先行抜け出し。最近は馬が競馬を止めてしまっており、最後まで集中できていない。それを補う意味で控える競馬を。幸英明騎手の頭にはそんな作戦はあったらしいが、今回はプランが違った様子。たまたまスタートで後手を踏み、先行出来なかった結果のプランBだったという。その切りかえはいかにもベテランらしい。かねてから頭にあった控える競馬で最後まで集中して走れたのは収穫で、今後はこのスタイルで挑むだろう。しかし、今回は先行勢が早めに脚を失い、まくり合戦にタイミングよく乗れたのも事実。ましてサンライズホープは元々、ムラッ気タイプ。安定は求められない。ハマる舞台を選んで買うべきだろう。
2着ハギノアレグリアスは前半、先行勢のキツいラップに巻き込まれない絶妙な中団前のポジションどりが光った。4コーナーで外からまくられたため、馬群に突っ込む形になり、その分、末脚全開といかなかった。敗れたのはその差だろう。3連勝でOP入り後、屈腱炎で1年8カ月の長期休養。脚元に不安を抱える一戦必勝タイプなだけに、勝てる場面では勝ちたかった。かつては阪神や中京で上がり最速の決め手を発揮した。徐々にその姿に戻りつつある。今回のような上がりが速くなり過ぎない舞台ならまだ戦える。
3着オメガパフュームはドン尻から直線だけの競馬に徹した。目標は東京大賞典5連覇。無理な消耗は避けたかった。悲観することはなく、むしろ直線一本で3着まで押し上げたのはさすが。5連覇は不可能ではない。そんな手ごたえを感じる。
3歳勢ハピとタイセイドレフォンは4、5着。ハピは最後の直線で狭い内を攻め、一瞬抜け出すかという見せ場があった。馬群を割る経験はこの先いきるにちがいない。タイセイドレフォンも直線はしぶとく差し脚を伸ばした。差す形を作れたことで、今後は作戦の選択肢が増えそうだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』(星海社新書)に寄稿。
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