【スプリンターズS】重賞で1、2枠の先行馬は複勝率85.7% 東大HCが中山芝1200mを徹底分析

東大ホースメンクラブ

中山芝1200mのコースレイアウト,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は中山芝1200mを舞台に、GⅠスプリンターズSが行われる。秋GⅠシーズンの号砲を鳴らす電撃の6ハロン戦。前哨戦のキーンランドCを完勝し、悲願のタイトルを狙うナムラクレアを筆頭に、セントウルSで上がり32.4の豪脚を見せたアグリや、夏のスプリント重賞連勝でGⅠ獲りに挑むジャスパークローネなど、最速を決める戦いにふさわしいスピード自慢が揃った。

中山芝1200mが舞台の重賞は今週行われる短距離王決定戦・スプリンターズSと、高松宮記念の重要な前哨戦として位置付けられるGⅢオーシャンSの2レース。今週は同コースの特徴をデータで分析していく(使用するデータは2018年9月29日~2023年9月24日のもの)。

まずはコース紹介。外回りコース、2コーナー奥の下り坂をスタート。しばらくの間、下り坂が続くため序盤が速い展開になりやすいことが特徴だ。最後には中山名物の高低差2.4mの急坂が待ち受け、厳しいペースで削られたスタミナの限界を試される。タフさとスピードの両方を兼ね備えた実力馬が栄冠を手にする、スプリントGⅠの舞台としてふさわしいコースといえる。


重賞では内枠の先行馬が圧倒的

 中山芝1200m・過去5年の枠別成績,ⒸSPAIA


<中山芝1200m・枠別成績>
1枠【22-28-23-221】勝率7.5%/連対率17.0%/複勝率24.8%
2枠【20-20-24-244】勝率6.5%/連対率13.0%/複勝率20.8%
3枠【23-17-28-249】勝率7.3%/連対率12.6%/複勝率21.5%
4枠【28-22-22-253】勝率8.6%/連対率15.4%/複勝率22.2%
5枠【21-21-20-275】勝率6.2%/連対率12.5%/複勝率18.4%
6枠【24-24-20-276】勝率7.0%/連対率14.0%/複勝率19.8%
7枠【23-24-29-278】勝率6.5%/連対率13.3%/複勝率21.5%
8枠【19-24-14-300】勝率5.3%/連対率12.0%/複勝率16.0%

枠別成績では、やはり8枠が不振。外々を回すロスの影響は無視できないということだろう。対照的に、ロスなく立ち回りやすい1枠が複勝率24.8%でトップ。複勝回収率も104%とプラス域だ。

重賞に限定すると、この内枠有利、外枠不利の傾向はさらに加速。8枠の成績は【0-0-2-18】で連対すらなく、大きく割り引く必要がある。一方、1枠は【2-1-4-12】で勝率10.5%、複勝率36.8%と非常に優秀。単勝回収率は117%、複勝回収率は284%と妙味も十分だ。今年のオーシャンSではディヴィナシオンが15番人気2着、昨年のスプリンターズSでもジャンダルムが8番人気1着と、内枠の馬たちが続々と穴を開けている。

その他、4枠が【4-2-0-14】で勝率20.0%、単勝回収率222%と好調。また、3枠は【0-0-2-18】で8枠と同じく連対がなく、重賞では苦戦中である。

中山芝1200m・過去5年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<中山芝1200m・脚質別成績>
逃げ【39-30-22-89】勝率21.7%/連対率38.3%/複勝率50.6%
先行【77-79-65-440】勝率11.6%/連対率23.6%/複勝率33.4%
差し【47-44-69-784】勝率5.0%/連対率9.6%/複勝率16.9%
追込【17-26-24-782】勝率2.0%/連対率5.1%/複勝率7.9%

脚質別成績ではセオリー通り前が有利。コース形態もあいまって後方一気は決まりにくく、先手を取った馬たちがスピードで押し切る展開が多い。特に条件戦の予想で重視しておきたいポイントだ。

重賞では逃げが【1-1-2-6】で勝率10.0%とやや数字を落とし、その代わりに先行が【6-6-1-25】で勝率15.8%、単勝回収率186%と大きく数字を伸ばしている。特に1、2枠に入った先行馬は【3-2-1-1】で複勝率85.7%を記録。軸は内枠の先行馬で間違いないだろう。一方で差し【2-2-5-51】勝率3.3%、追込【1-1-2-47】同2.0%と、後方待機勢には厳しい数字が並んでいる。


父ロードカナロアの2頭に注目

中山芝1200m・過去5年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<中山芝1200m・種牡馬別成績>
ロードカナロア【14-11-10-97】勝率10.6%/連対率18.9%/複勝率26.5%
ダイワメジャー【10-14-12-86】勝率8.2%/連対率19.7%/複勝率29.5%
アドマイヤムーン【8-8-9-45】勝率11.4%/連対率22.9%/複勝率35.7%

続いては種牡馬別成績。トップは14勝でロードカナロア。スプリンターズS連覇を果たした父のスピードは、しっかりその産駒たちにも受け継がれているようだ。代表産駒のダノンスマッシュは、このコースで20年オーシャンS1着、20年スプリンターズS2着の実績を残している。

10勝で2位にランクインしたのはダイワメジャー。複勝率29.5%はロードカナロアを上回る好成績だ。17~20年のオーシャンSで4年連続2着のナックビーナスや21年スプリンターズS2着のレシステンシアがこの舞台で好走している。

3位は8勝のアドマイヤムーン。こちらも勝率11.4%、複勝率35.7%と高水準。複勝回収率に至っては111%とプラス域だ。代表的な活躍馬に18年のスプリンターズSを制したファインニードルがいる。

この3頭の種牡馬のうち、今週のスプリンターズSに出走馬がいるのはロードカナロア。該当馬はキミワクイーン、ジュビリーヘッドの2頭だ。その他の有力馬について、まずメイケイエールやナムラクレアの父ミッキーアイルは【2-3-1-25】で勝率6.5%とやや厳しい数字。ママコチャが該当するクロフネは【0-1-1-5】で勝ち星は0だ。その他、ウインマーベルの父アイルハヴアナザーが【1-4-1-21】で複勝回収率223%、オールアットワンスの父マクフィが【2-2-2-10】で単勝回収率213%と黒字域をマークしている。なお、アグリが該当するカラヴァッジオ産駒は今回がこのコース初出走だ。

中山芝1200m・過去5年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<中山芝1200m・騎手別成績>
C.ルメール【15-4-6-22】勝率31.9%/連対率40.4%/複勝率53.2%
横山武史【12-10-8-37】勝率17.9%/連対率32.8%/複勝率44.8%
M.デムーロ【11-2-4-30】勝率23.4%/連対率27.7%/複勝率36.2%

最後に騎手別成績。トップは15勝でC.ルメール騎手。勝率31.9%、複勝率53.2%と驚異の数字を残している。平均2.4人気という事情はあるものの人気馬できっちり結果を出しており、単勝回収率120%とベタ買いするだけでプラスだ。重賞に限ると【4-1-1-2】とさらに信頼度はアップする。

それに次ぐのが、若手屈指の中山マイスター・横山武史騎手で12勝。複勝回収率は104%と優秀。先行意識の高い騎手であるため、前目のポジションが取りやすい1枠に入った時の成績が、【4-1-0-3】で勝率50.0%、単勝回収率256%と好調だ。重賞では過去に2回騎乗しているが、意外にもまだ馬券に絡めていない。

3位は11勝でM.デムーロ騎手。不利な8枠で【3-0-1-2】と勝率50.0%の好成績を残しているのが特徴だ。ただ、こちらも横山武史騎手と同様に、過去5年で重賞には2回騎乗し両方とも4着以下に敗れている。

この中で今回のスプリンターズSで騎乗予定があるのは、キミワクイーンの横山武史騎手。それ以外の騎手については、まずナムラクレアに騎乗予定の浜中俊騎手が【2-0-0-10】、メイケイエールに騎乗予定の池添謙一騎手が【1-0-0-10】であり、2人とも1着か4着以下という極端な成績だ。

ママコチャと新タッグを組む川田将雅騎手は【3-2-1-9】。重賞に限定すると【2-1-1-1】でグンと信頼度がアップする。意外にもアグリの鞍上・横山典弘騎手は【0-3-4-22】で直近5年の勝ち星は0。その他、石川裕紀人騎手が【7-2-3-45】で単勝回収率294%と妙味十分であり、血統面でも妙味のあったオールアットワンスは、馬券的に面白い存在になりそうだ。

中山芝1200mデータ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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