【小倉2歳S】アウクソーがゴール前で見せた瞬発力は強烈! レース映像を揺らす鋭い伸びに大いに期待

山崎エリカ

2022年小倉2歳S出走馬のPP指数,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

かなりのハイペースになりやすいレース

小倉2歳Sが行われる小倉芝1200mは、コース最高部の2角ポケットからスタートし3角までの距離が約480m。スタートしてすぐに下り坂となるため、テンが速くなり2歳戦でもハイペースになりやすい。

その上、今週末は雨予報。先週の芝1200mの1勝クラスで1分7秒台が出たように、元々は高速馬場だ。極端な道悪にならなくても、さすがに時計が掛かり、外差し有利になるだろう。

先々週の北九州記念のように、内から馬場が回復して、内が有利になる可能性もある。しかし、過去10年を見ても何が何でも逃げたい馬が不在だった昨年を除き、かなりのハイペースになっていることから、今回もその前提で予想を組み立てたい。

能力値1~4位タイ馬の紹介

2022年小倉2歳S出走馬のPP指数一覧,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


【能力値1位 プロトポロス】
6月の中京新馬戦では1番枠から好発を決め、行きたい馬を行かせて好位の最内で折り合う競馬。4角出口で外に出し、直線では徐々に後続を引き離して、今回出走している2着ウメムスビに3馬身半差をつけて圧勝。3着以下には大きな差をつけての好指数勝ちだった。

ラスト2Fは11秒1-11秒7と減速しているように、そこまで余裕があったわけではないだろう。しかし、本馬がこのレースで記録した上がり3Fタイム33秒8はこの日の中京では古馬を含めて最速だった。その点は潜在スピードを見せつける意味で高く評価できる。

新馬戦で感じたことは「強いことは確かで将来活躍する可能性は高いが、目一杯の走りで疲れが残ってしまう可能性がある」だった。しかし、今回は6月からレース間隔を十分にとっての出走。おおよそ能力を出せる状態に持ってきているはずだ。ならば上位争いに加わる可能性は高そうだ。

【能力値2位 ミカッテヨンデイイ】
新馬戦では今回出走するロンドンプランの3着だった。しかし、4着以下には大きな差をつけており、負けはしたが指数はしっかりとしたものを記録。その後は一戦ごとに着実に強くなり、前走のフェニックス賞は未勝利馬ながら快勝した。

前走は大外9番枠から五分のスタートを切り、一旦は好位に付けたが少し置かれて中団の外。そこから徐々に好位まで上がっていく競馬で4角では3番手。直線ではウメムスビや新馬戦を好指数勝ちしたタガノタントを交わして勝利した。

本馬はゲートを出てからスピードに乗るまでに時間が掛かる。エンジンの掛かりが遅い面はあるが、置かれ気味でも追っつけていくことでレース内容が一戦ごとに良化した。キャリアを積んでいるだけに大きな上昇は見込めないだろうが、順調かつ指数も良いだけに、ここに入っても十分にチャンスはありそうだ。

【能力値3位 クリダーム】
6月の函館新馬戦は、緩みないペースの2番手から4角先頭の強い内容で勝利した。レース内容の強さのわりにやや指数が低めだったため、余力があったのか次走の函館2歳Sでは逃げて2着に好走した。

函館2歳Sは3番枠。外から競られる形になって引けず、腹を括ってのハナという感じの逃げ。当日の馬場状態を考えるとかなり厳しいペースで逃げ粘っており、とても強い内容だった。

今回の小倉芝は前走ほど馬場が悪くなく、この馬にとってみれば楽な馬場状態。自分の形に持ち込めれば粘って当然の実力馬だ。しかし今回問題があるとすれば、自身の状態面だろう。前走の強すぎる内容の競馬が、疲れを残したかどうかがカギとなる。

【能力値4位 ロンドンプラン】
新馬戦は6番枠からトップスタートを切ったが、パラシュラーマの二の脚が速く、2列目の外からの競馬となった。ラスト1Fで同馬に並びかけ、そこから突き抜けて堂々の勝利を飾った。後のフェニックス賞勝ち馬ミカッテヨンデイイを3着に下し、好指数をマークしての勝利だった。同馬との対比からも、今回のメンバーなら上位争いになると考えられる。

前走のラスト2Fは11秒3-11秒6。そこまで余裕があったわけではなさそうだが、悪くはない。走破タイム1分08秒2は、当日のCBC賞で1分05秒8が出ているように、優秀過ぎるわけではないが、今回に向けて余力がなくなるほどでもない。

何とも評価が難しい馬だ。1番枠がマイナスにならないように進路取りが上手くいけば、チャンスはあると考えるべきだろう。

【能力値4位 メイショウヒュウガ】
新馬戦は7番枠からやや出遅れたが、その後は緩みないペースでも流れに乗り、好位の後ろを追走。3~4角で前の馬との差を詰め、4角は2列目の3番手。直線では前2頭が外に出したことで開いた内に潜り込むと、ジワジワ伸びて勝利した。ラスト2F11秒6-11秒7の数字が示す通り、本馬は長く良い脚を使っていた。

走破タイムは1分08秒3。この日の小倉は馬場状態が悪く、古馬2勝クラスや北九州記念と比較するとかなり優秀。そして強かった。ただ、かなり緩みない厳しいペースの競馬で勝利しており、余力が残せたかどうかは微妙。強さは確かだが、今回は半信半疑の面がある。

穴馬はアウクソーとメイショウコギク

【アウクソー】
新馬戦は大外14番枠からトップスタートを切ったが、内から前を主張してくる馬が多く、すっと抑えて折り合うセンスの良さを見せた馬。一旦はやや離れた5番手を追走したが、そこから徐々に位置を上げ、4角では抑えきれない手応えで先頭列に並びかけた。そこから直線では豪快に突き抜け5馬身差の圧勝を飾った。

特に印象的だったのはゴール前の伸びが鋭すぎたため、レース映像の画面から飛び出しそうになったこと。レース映像はレースの流れに合わせて同じようなペースで馬を追うが、あまりにも鋭い伸びを見せるとそれに対応しきれず、画面が揺れることがある。

この現象を起こしたような馬はかなり強いことが多い。新馬戦のタイムが1分11秒0と平凡かつ、負かした馬も次走以降で大凡退していることから、今回あまり人気にならなそう。しかし、秘めた瞬発力は相当なものを感じさせる新馬戦の内容だっただけに、ここであっさり勝利しても驚かない。

【メイショウコギク】
新馬戦は12番枠から好ダッシュでハナを主張し、脚をタメながらのマイペースの逃げ。最後の直線で追い出されると一気に加速し後続を突き離した。一瞬で加速したのもあり、内ラチに接触する場面もあったが、独走で6馬身差の圧勝だった。

ラスト2Fは11秒0-11秒6と減速。そこまで余裕があったとは評価できないが、最後の直線で一瞬にして後続を引き離したスピードには非凡なものを感じた。

また内ラチに接触するなど、全能力を出し切っていない推測できる点も好感が持てる。最後の直線で後続を一瞬で引き離したスピードを、差す競馬の瞬発力に生かせれば、かなりキレそうだ。脆さを持っていることは確かで、当てにならない面もある。ただ、ハマればまとめて差し切るスピードを秘めている。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)プロトポロスの前走指数「-7」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●指数欄の茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

《関連記事》
【新潟記念】ハイブリッド式消去法でサンレイポケットは消し 本命候補はエヒトなど3頭
【新潟記念】サマーシリーズ転戦組はハンデに要注意! 七夕賞勝ちエヒト、斤量増も歓迎材料
【小倉2歳S】今年も出るか、クラシック有力馬! 最有力はミカッテヨンデイイ、対するプロトポロス、ロンドンプラン

おすすめ記事