【札幌2歳S】「前走東京」はクラシック制覇に繋がるローテ 唯一の該当馬はシャンドゥレール

門田光生

札幌2歳Sの前走人気別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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優秀な前走東京組

2022年9月3日に札幌競馬場で行われる第57回札幌2歳S。昨年の勝ち馬ジオグリフは後に皐月賞を勝ち、また一昨年の勝ち馬ソダシは桜花賞を含むGⅠ・3勝と大活躍。来年のクラシックを占う意味でも、注目に値するレースだ。

そんな札幌2歳Sだが、これまでにどのような傾向が出ているのだろうか。今回も過去10年の成績を参考にしてデータを調べていきたい。

札幌2歳S出走馬の所属,ⒸSPAIA
 札幌2歳S出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆所属と性別
出走頭数は東西でほぼ互角(地方馬は7頭)。6勝(11連対)の美浦所属馬が、3勝(7連対)の栗東所属馬をリードしている。地方馬も2連対と善戦しており、この2頭(トラスト、ナイママ)はともにビッグレッド系の馬だ。ただし、今年は地方所属馬は出走しない。

性別では、牡馬・セン馬が7勝(14連対)、牝馬は3勝(6連対)。出走頭数は牡馬・セン馬の方が多いので、勝率、連対率で見るとほぼ互角の数字となっている。

札幌2歳S出走馬のキャリア,ⒸSPAIA
札幌2歳S出走馬の前走クラス(中央馬),ⒸSPAIA


☆キャリアと前走クラス
キャリア1戦組が7勝(11連対)。経験値より素質重視の結果が出ている。これらはすべて新馬戦を勝ち上がってきた馬。キャリア2戦の馬は2勝(4連対)。キャリア3戦以上で連対した5頭のうち4頭は前走オープン組で、残る1頭は未勝利戦を勝ち上がり、昨年2着に入ったアスクワイルドモアだった。なお、地方馬で連対した2頭はともにキャリア3戦、前走で中央の芝オープンを経験していた。

札幌2歳出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆前走人気
勝ち馬10頭すべてが、前走で3番人気以内に支持されていた。前走が人気薄だった馬は苦戦の傾向となっている。

札幌2歳S出走馬の前走競馬場,ⒸSPAIA


☆前走競馬場
前走で走った競馬場別に比較してみると、函館が4勝(7連対)、札幌も2勝(7連対)。勝ち馬、連対馬ともに北海道組で半分以上を占めている。函館と札幌は開催時期が一部入れ替わった年もあったが、ともかく北海道組が毎年1頭は連対する計算になる。

ほかで目立ったのは前走東京組の【2-1-0-2】。すべてデビュー戦からの直行で、サンプルは少ないが5頭走って3連対なら優秀だろう。逆に数字がよくないのは福島組で、該当する13頭から勝ち馬は出ていない。

札幌2歳Sにおけるプラスデータ,ⒸSPAIA
札幌2歳Sにおけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げてみる。まず前走着順。連対馬20頭中、18頭が前走1着馬。これはできるだけ満たしておきたい。生産牧場では、ノーザンファーム生産馬が過去10年で5勝をあげている。

種牡馬だと、ゴールドシップ産駒が【1-2-0-4】。3連対はここ10年で最多。父ステイゴールド産駒も【1-0-1-1】と好走しており、コース形態的にも相性がいいレースなのだろう。また、母の父キングカメハメハも【3-0-0-3】と好走率が高い傾向にある。

最後に前走の勝ちっぷりだが、後続に0.6秒以上の差をつけて勝った馬11頭中、連対したのは2017年の2着馬ファストアプローチだけ。残念ながら今年は該当馬がいないが、派手な勝ち方をした馬が危険な人気馬ということは来年以降も覚えておきたい。ちなみに、これは新潟2歳Sとは逆の結果で、このあたりがデータ予想の面白いところでもある。

期待を込めて、本命はシャンドゥレール

札幌2歳のデータを整理してみよう。まず勝率、好走率が高くなるパターンは、A「美浦所属」B「キャリア1戦」C「前走が東京競馬場」D「ゴールドシップ産駒、または母の父キングカメハメハ」。勝率、連対率が低くなるのはE「前走4番人気以下」F「前走2着以下」G「前走が福島競馬場」。

札幌2歳Sを調べていて思ったのは、函館や新潟の2歳Sと違って、癖のあるデータが少ないこと。1800mの距離や、クラシックにつながる重要なレースというのも関係しているのかもしれない。

さて、今回は4つのプラスデータのうち、3つを持っているシャンドゥレールとフェアエールング、ブラストウェーブの3頭に注目。特にシャンドゥレールはサンプルが少ないながらも好成績を挙げているC「前走が東京競馬場」に唯一該当。2020年2着ユーバーレーベン、2021年1着ジオグリフは東京競馬場でデビューしたのだが、ご存じの通り両馬とも翌年にクラシックを制している。近年のトレンドでもあり、また来年への期待も込めてシャンドゥレールに◎を献上したい。

フェアエールングは2019年に1、2着を独占したゴールドシップ産駒というのが強み。ただ、こちらは勝ち馬が出ていないG「前走が福島競馬場」に当てはまり、そのぶんで2番手。上記で書いた地方馬2頭をはじめ、2013年の2着馬マイネグレヴィルや前述のユーバーレーベンなど、ビッグレッド系の馬は活躍しており、この馬も好走する確率はかなり高いのではないかとみている。

ブラストウェーブは3番手に推したい。マイナス項目なしでデータ的にもクリアしているのと、ハービンジャー産駒も【1-1-0-6】と悪くない数字を残している。ステイゴールド系とハービンジャーは得意分野がかぶっているので、この条件は合うとみたい。

あとは連対馬の半分を占める1戦1勝馬で北海道デビュー組のアスクメークシェア、アースビートの2頭。アースビートはマイナスデータのE「前走4番人気以下」に引っかかるので、△アスクメークシェア、×アースビートの順番で印を回した。

◎シャンドゥレール
◯フェアエールング
▲ブラストウェーブ
△アスクメークシェア
×アースビート

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
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