【注目2歳馬】外国産馬ヤクシマが次元の違う末脚で新馬勝ち 最大の武器はラスト1F11.1の瞬発力

三木俊幸

7/23新馬戦勝ち馬ヤクシマ,ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

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1頭だけ次元の違う末脚

母Satsumaから連想し、鹿児島県にある島の名前をとって、ヤクシマ(栗東・寺島良厩舎)と命名された英国産・芦毛の2歳馬が、7月23日(土)の小倉芝1200mの新馬戦を見事に快勝した。

出走8頭と少頭数でのレースとなったが、単勝2.6倍の1番人気に支持されてのゲートイン。ゲートの出は遅く、すぐに巻き返したものの道中は中団5番手からレースを進める。

レースの主導権を握ったナムラミシェルが刻んだラップは、12.5-11.1-12.1-12.0。ペースが上がることなく4角へと差しかかり、ラスト2Fは瞬発力が問われる展開となった。

横並びとなった前3頭の直後、2列目の外までポジションを押し上げて直線で大外に持ち出されると、肩ムチと見せムチだけで楽々と交わしていき、レースのラスト2Fのラップは11.3-11.1。

勝ちタイムは時計が出やすいコンディションにも関わらず1:10.1と遅く、2着との着差も1馬身だったものの、1頭だけ次元の違う末脚だった。

素質の片鱗は1週前の栗東CWでの調教でも垣間見ることができ、しまい重点の形ながら、ラスト1F10.7を計測。調教と同様に脚をためて瞬発力を活かすという形で結果を残してみせた。

父Havana Greyは英国で2歳の4月にデビュー。その後、芝1000mGⅢ・モールコームS、3歳時には同じく芝1000mのフライングファイブSでGⅠを勝利している快速馬。ヤクシマが日本で初めて出走した産駒だった。

父譲りの仕上がりの速さとスピードを兼ね備えていながらも、ヤクシマは道中しっかりタメが効いており、スピード任せの一本調子な短距離馬ではないという印象。瞬発力を活かせる展開、コースであれば先々1400mに距離が伸びても全く問題なさそうだ。

口取りの撮影が終わって引き上げていく際に、ヤクシマに駆け寄ったのは今村聖奈騎手。レースでは岩田望来騎手が騎乗していたが、寺島厩舎に所属していることもあり、嬉しそうに顔を撫でていた姿も印象的だった。

ヤクシマと今村聖奈騎手,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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7/23新馬戦勝ち馬ヤクシマ,ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

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今週末から新潟と札幌の変則2場開催

新潟と札幌の変則2場開催となる今週末も良血馬が続々とデビュー予定だ。

7月31日(日)の新潟芝1800mの新馬戦には、父ロードカナロア、母は2016年のエリザベス女王杯を制したクイーンズリングという血統のシャザーン(栗東・友道康夫厩舎)や、ハーツクライ産駒のダノントルネード(栗東・中内田充正厩舎)などが出走予定。前者は2021年のセレクトセールでは2億4,200万円で落札され、後者も1億8,150万円で落札された高額馬だ。

同日の札幌では芝2000m戦が予定されており、こちらには今年の米子Sを勝利したウインカーネリアンの全弟ウインアイオライト(美浦・手塚貴久厩舎)、藤田晋氏が所有するハービンジャー産駒ブレイクボーイ(栗東・四位洋文厩舎)がデビュー予定となっており、注目したい。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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