【中京記念】GⅠ上位馬と渡り合ったファルコニア スタミナと機動力活きるコースで重賞制覇に期待

坂上明大

2022年中京記念、参考レース,ⒸSPAIA

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上位馬がGⅠでも好走

昨年同様に小倉競馬場を舞台に行われる中京記念。中京芝1600mから小倉芝1800mとまったく異なる条件に移り、小回りの非根幹距離特有の機動力が求められる一戦となりそうだ。多路線からメンバーが集まったため、まずは参考レースから各馬の特徴を整理していきたい。

【小倉大賞典】
稍重発表のタフな馬場状態での競馬。特に内目は傷みが激しく、一日通して外伸びが目立つトラックバイアスだった。レースはノルカソルカが先手を取り、前半3Fは37.1秒とかなり緩い流れ。ただ、向正面に向いてから一気にペースが上がり、後半1000mは先行勢にとっても苦しいロングスパート勝負となった。

3着カデナは最後方でジッと脚をタメ、直線は大外からの追い込み。同じく外を回した1着アリーヴォが大阪杯3着、5着スカーフェイスが同6着だから展開がハマッただけの好走ではないが、終い一辺倒の脚質だけに展開の助けは必要だろう。

7着ダブルシャープは発馬で後手を踏み、後方からの競馬。展開や馬場は向いたが、直線でも目立った脚を使えなかった。先行策が好走パターンなので発馬を決めて前々で運びたい。

8着スーパーフェザーは先行勢の後ろでリズムよく運べたが、直線は荒れた内目を走る形に。ハンデをもらってはいたが、今回も同斤量で当時ほどの着差はつかないだろう。

課題が浮き彫りになる敗戦

ダービー卿CTレース経過


【ダービー卿CT】
木~金曜昼に23.5mmの雨が降ったが、ダービー卿CT時には良馬場まで回復。Bコース替わり初日でもあり、内外のトラックバイアスは見られず。レースはリフレイムがハナを主張して前後半3F34.2-35.2の前傾1.0秒。中山芝1600m重賞らしい速い流れだったが、3番手以降はイーブンペース程度で極端な有利不利は認められない。

7着カイザーミノルは中団馬群で脚をタメ、勝負どころではスムーズに先行勢をパスしたが、直線急坂区間でバタッと脚が止まってしまった。馬体重12キロ減も響いた感はあるが、距離は1600mまでがベターだろう。

9着カテドラルは出足が鈍く最後方から。残り1000mからペースを上げて先行勢を追いかけたが、スパートが早かった分ラスト1Fでは脚が止まってしまった。スタートが改善されない限り展開の助けは必要だ。

GⅠ上位馬と接戦の3着

【マイラーズC】
朝からの降雨により稍重馬場での開催。連続開催の影響もあり馬場の痛みが進行したため、直線では内を大きく空ける競馬となった。レースはベステンダンクが気風良く逃げて、前後半3F34.6-35.8の前傾1.2秒。ただ、後続は無理せず。2番手で同34.9-35.3の平均ペース。どの馬にもチャンスのある展開だったとみる。

3着ファルコニアは好位追走からしぶとい粘り腰。勝ち馬ソウルラッシュには離されたが、2着ホウオウアマゾン(2021年マイルCS5着)とクビ差には一定の評価が必要。さらに本馬は父ディープインパクトの牝系を刺激した配合形で、スタミナと機動力が持ち味。小回りの中距離戦がベストと見ており、小倉芝1800mに替わる点は大幅なプラス材料だ。

4着ベステンダンクは気風のいい逃げを打ち、直線もラチ沿いで粘り込む形。馬場の悪い位置を走ってはいるが、ラチ沿いを走れたアドバンテージも大きい。着順通りの評価。久々の1800m戦については、母や弟妹に中距離馬が多く、自身もオールマイティなマイラーなので大きくパフォーマンスを落とすことはないだろう。

念願の重賞制覇に期待

ファルコニアは母カンビーナ(2011年アメリカンオークス)の4番仔で、トーセンカンビーナを筆頭に兄弟の勝ち鞍はすべて1800m以上でのもの。母は父ディープインパクトの牝系を刺激する配合形であり、本兄弟は父の持ち味である瞬発力ではなく機動力やスタミナを増幅したタイプだ。

前走は荒馬場でスピードの要求値が低かったことが味方したが、舞台としては阪神芝1600mよりも小倉芝1800mの方が向く。念願の重賞タイトル獲得に期待したい。小倉2戦2勝のモズナガレボシにも要注意。

注目馬:ファルコニア、モズナガレボシ

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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