【中京記念】70年の歴史を持つ伝統の一戦 春開催時代にはメイショウドトウが重賞初勝利

緒方きしん

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中京競馬、伝統の一戦

アイドルホース一族の飛躍が止まらない。函館記念は白毛馬ハヤヤッコが勝利。2019年レパードS以来の重賞制覇で、芝ダート両方での重賞タイトル獲得となった。札幌記念で同じく白毛馬であるソダシとの激突も噂されており、この夏は目が離せない存在になりそうだ。

さて、今週は小倉競馬場で中京記念が行われる。今年で第70回という非常に長い歴史を持つ伝統の一戦に、昨年の2着馬カテドラルやマイラーズCで3着のファルコニア、昨年末にターコイズSを制したミスニューヨークなど、重賞実績馬が揃った。

タニノハローモアやヤマブキオー、ケイキロクといった名馬たちも制した重賞で、2000年以降もツルマルボーイやシャドウゲイト、サダムパテックやグレーターロンドンといった実力派が勝利している。今回は、中京記念の歴史を振り返る。

1番人気は好調

中京記念、過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA



ここ5年間で、1番人気は2勝。グレーターロンドンとアンドラステが人気に応えた。また、2019年プリモシーン、2017年ブラックムーンも3着になっていて、1番人気馬が掲示板外に敗れたのは2020年ギルデッドミラーの6着のみ。1番人気の信頼度は高いと言える。

その2020年は、18番人気の超大穴・メイケイダイハードが勝利。単勝は163.0倍の万馬券となり、馬連800.1倍、三連単33023.9倍の大荒れとなった。中京記念の馬連が万馬券となるのは2015年の1着スマートオリオン(6番人気)、2着アルマディヴァン(13番人気)の170.7倍以来のことだった。

しかし、この荒れた2020年を除けば、近年はやや手堅い決着が多い。馬連オッズも、2017年26.4倍、2018年24.3倍、2019年25.8倍、2021年23.3倍と似たり寄ったり。現在は3年連続で2着に6番人気馬がきていて、5番人気馬もここ5年で3回馬券圏内にきている。2020年を例外とすれば、4〜6番手評価の馬と1番人気馬による決着が多い傾向にある。

メイショウドトウの重賞初制覇となった2000年中京記念

今となっては「中京記念」といえば、夏の強い日差しの中で開催される一戦というイメージを抱くファンも多いかもしれない。しかし2011年までは、2〜3月というまだ肌寒い時期に開催されていた。

その時代にもオサイチジョージやレッツゴーターキン、チョウカイキャロルやエリモエクセルといった錚々たるメンバーが勝利。オサイチジョージが中京記念(1着)→大阪杯(2着)→安田記念(3着)→宝塚記念(1着)のローテでグランプリを制し、ムービースターが中京記念(1着)→安田記念(3着)で伏兵評価をひっくり返し、秋には天皇賞(秋)で2着に食い込んだように、その年の飛躍を誓う素質馬たちがぶつかり合うレースだった。

2000年の中京記念を制したメイショウドトウも、その年の飛躍を目指す1頭だった。この年は、前年度覇者エリモエクセルや重賞2勝馬スエヒロコマンダーなど、実力派が勢揃い。4歳馬メイショウドトウはそうしたメンバーの中で3番人気に推された。デビューは3歳の1月、そのデビュー戦でも敗れるなどクラシックどころかトライアルレースとも無縁だったが、秋に条件戦を2連勝。年明け初戦の日経新春杯で8番人気ながら2着に食い込んだことで、評価をあげていた。

レースでは4番手あたりで先行し、直線に入る前には進出を開始。そのまま上がり2番手の末脚を繰り出して、2着に3馬身差をつける完勝劇を演じた。鞍上は、前年にブゼンキャンドルで秋華賞を制していた安田康彦騎手。メイショウドトウとはデビュー戦から引退までほとんどで手綱をとる名コンビだった。この勝利が、宿命のライバル・テイエムオペラオーと出会う3か月前の出来事であった。

リピーターか、重賞初制覇か

2012年に夏開催となってから、2年連続でフラガラッハが勝利。さらに2013年と2014年に連続してミッキードリームが2着に食い込み、リピーターが多いレースになるかと思いきや、そこからはリピーターと言える馬は登場していない。2017年覇者ウインガニオンは翌年8着、2020年覇者メイケイダイハードは翌年7着に敗れた。

むしろここ6年間は、重賞未勝利馬がここで初制覇を成し遂げるパターンが続いている。上述したウインガニオンもその1頭であり、他にも、素質を認められながらも怪我などでなかなか手が届いていなかったグレーターロンドン、3歳ながら古馬を撃破したグルーヴィットらがいる。

今年は昨年の2着馬カテドラルや同4着馬ミスニューヨークらが参戦。一方で、重賞初挑戦となるヴァリアメンテや重賞好走歴がありつつもなかなか勝ちきれていないカイザーミノルやファルコニアといった勢力も参戦を予定している。今年はリピーターか、今年も重賞初制覇か。以前とは様変わりした夏の風物詩・中京記念にご注目いただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。



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