【CBC賞】最有力は指数上位のスマートリアン 激走の魅力あるスティクスとレジェーロに要警戒

山崎エリカ

2022年CBC賞指数アイキャッチ,ⒸSPAIA

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今年の小倉開幕週も超高速馬場が濃厚

昨夏の小倉開幕週の芝はレコード連発のコンクリート馬場。CBC賞では驚異のタイム1分06秒0が飛び出した。上級条件の1200m戦では外枠の差し馬は3~4角で外に張られ、前に行ける馬と内目の枠の馬にしかチャンスがない状態だった。

今開催も昨年同様、野芝のみの使用で中間エアレーション及びシャタリングを実施。クッション値も昨年よりやや低い程度であることから、超高速馬場が予想される。それだけに外枠の差し、追い込み馬は評価をを下げたい。前に行ける馬と内目の枠の馬が優勢と見て、予想を組み立てていく。

能力値1~5位の紹介

2022年CBC賞PP指数,ⒸSPAIA


【能力値1位 スマートリアン】
昨年はリステッド競走・谷川岳S、米子Sで連続2着。京成杯AHでも3着とハナ差の4着と好走しているマイル路線の安定株。

前走は初の芝1400mに出走。スタートこそ五分だったものの速い二の脚で楽に2列目の内、3角手前で少し位置を下げて3列目の内とレースの流れにあっさり乗れたあたり、非凡なスピード、短距離適性を感じさせた。

ただ3角で馬群に包まれ、4角でも進路がない状況。4列目付近まで位置を下げ、直線序盤では進路がなく仕掛けを待たされる形。そこから何とか捌いてラスト1Fで外に出されると、3着争いに加わった。結果はクビ差4着だったが、自身初の短距離戦でレースの流れに乗れるスピードを見せた内容は上々。今回は短距離戦にもさらに慣れが見込めるだろう。

また前走で全力を出し切る結果とならず、今回に向けてお釣りが残っている点も好感が持てる。今回は小倉開幕週で超高速決着になる可能性が高く、斤量差、枠順が能力や状態よりも重要になる可能性がある。しかし、ある程度ペースが流れ、能力が求めらえるレース展開になれば、ここでは最有力と言えるだろう。

【能力値1位 ファストフォース】
レコード連発のコンクリート馬場で行われた昨夏のCBC賞で初重賞制覇を達成。昨年はピクシーナイトがトップスタートを切り逃げる勢いだったが、3番枠からやや出遅れたものの押して押してハナを主張し先手を奪った本馬。そこからペースを緩めず最短距離を通り、直線序盤でリードを広げての1着。このレース自体も1分06秒0のレコード決着となった。

本馬はテンがそれほど速くないものの、前に行ってこその馬。CBC賞では初のブリンカー着用で、それまで以上に行きっぷりが良かった。そこからコーナーをロスなく立ち回り、3~4角で外枠の差し馬が外を回らされたのが勝てた要因の一つ。それが自己最高指数の記録に繋がった。

ただ今回は一転して大外枠。近走、自分の型のレースに持ち込めていないように、テンに置かれる面を見せているが、テンの速いスティクスを見ながら追走できるこの枠順は悪くない。

しかし、昨年のような超高速馬場になると、この外過ぎる枠がマイナスになる可能性がある。今年も当然チャンスはあるが、好走するには昨年のように緩みなく流れて欲しい。

【能力値1位 タイセイビジョン】
昨秋の時計を要した5回阪神最終日に行われた京阪杯の2着馬。このレースはファストフォースが押して押して逃げ、ペースを引き上げたことで、追い込み馬エイティーンガールの大外一気が決まる展開となった。

タイセイビジョンは5番枠からやや出遅れ。そこから促してもあまり進んで行かず、3角でようやく中団まで挽回。4角でかなり外を回るロスはあったが、同馬も勝ち馬ほどではないにせよ、展開に恵まれる形でのクビ差2着。自己最高指数を記録した。

前走の春雷Sもそれなりに速い流れになったことで、後方からレースを進めた同馬はやや展開に恵まれる形となった。また、前走時は13番枠からまずまずのスタートを切って促されながらも、後方に下がってしまったように、二の脚が遅い。このため4角で一気に動く必要があり、4角で大外を回ることに繋がっている。

前に行ける脚がないだけに、超高速馬場が予想される今回は、レースの流れに乗れない可能性が高い。昨年も1番枠から五分のスタートを切ったものの、追走に苦労していた。しかし、1番枠と枠に恵まれたことで最短距離を通り、4角出口でひとつ外に出す競馬ができたことで、際どい3着争いには加わった。今年は昨年より手薄なメンバー構成も、超高速馬場では狙いにくい。

【能力値4位 ロードベイリーフ】
デビュー8戦目にようやく初勝利。当初は芝1600m、1800m を使われることが多かったが、短距離路線に転向すると少しずつ上昇。4走前のサンライズSで3勝クラスを突破してオープン馬になるまで成長した。

前走は直線1000mの韋駄天Sで2着と好走。着実に力をつけている。ただ前走は12番枠と枠に恵まれた点も大きかったのも確か。また今回は、休養明けの前走で自己最高指数を記録した直後の一戦で体調面に不安を感じる。まだまだ強くなりそうな馬ではあるが、過大評価できないところも多い。

【能力値5位 アネゴハダ】
ダートの新馬戦でデビューし、次走初芝の小倉2歳Sではいきなりの3着。高い芝適性を見せた馬。その後は芝の世代トップクラスと戦い善戦止まりだったが、3走前のフィリーズレビューで3着と再上昇。そして前走の2勝クラス・由比ヶ浜特別では古馬との初対決も3馬身差の圧勝。3勝クラス超級の指数を記録した。

今回は前走から斤量がマイナス3kg減の49kgとさらに軽くなる。机上の計算なら前走並みに走ればここは優勝できることになる。しかし、今回の問題は体調面。前走の走りはかなり優秀なものだけに、お釣りがどれだけあるか。今回はこの馬の底力が問われる一戦と言えそうだ。

穴馬は激走の魅力あるスティクスとレジェーロ

【スティクス】
デビューから2戦はダートを使われたが、3戦目の初芝となった未勝利戦を逃げて圧勝し、非凡なスピード能力を見せた。その後はマイペースの競馬ができず、すんなり上昇とはいかなかった。しかし、昨夏の3回小倉1日目の1勝クラス・芝1200mを1分06秒9の走破タイムで逃げ切り勝ちした。

その後もすんなり逃げた場合は好成績を残し、3勝クラスも突破。オープン昇級後の近3走は成績が悪いが、前走の韋駄天Sでは不利な内枠からハナを切るスピードを見せた。体調面、スピード能力が上がっていることが感じられる競馬だった。

今回は前走で見せたスピードが生きてきそうな舞台設定。すんなりハナ奪取に成功すれば、一気の逃げ切りもある馬だ。

【レジェーロ】
3歳春の葵Sで2着の実績を持つ馬。ただその後の2戦は大敗続き。しかし、オープンのカーバンクルSは10番人気で勝利。昨冬のタンザナイトSでは後の高松宮記念勝ち馬ナランフレグと差のない2着、この時は15番人気での激走だった。

同馬の能力は芝短距離重賞で十分通用する。しかし、レースを使われると体重を減らす面があり、休養明けからの数戦はムラ駆けする馬だ。

前走は休養明けで初ダートの一戦。おそらく体重を減らしたくなかったため、不得意条件のダートを使い、得意条件のここに目標を定めたと推測される。全ての力を出し切れば重賞で十分通用する能力を秘めるだけに、ここでの一変は大いに期待できる。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)タイセイビジョンの4走前の指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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